ナカムラ テツ

作詩と表現、太宰治、森鴎外、樋口一葉が好きです。

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自己紹介

昨年、サラリーマン生活50年を終えてリタイアしました。いまは妻が働いているため、専業主婦(夫?)です。毎日、献立、買い物、料理をしています。朝から晩まで、ときには土日の休みもなく働き詰めだったころが遠い過去になりつつあります。 50年間で勤めていた会社は2社で同じ業界でした。その間に離婚、再婚も経験しました。人生、いろいろとあります。 いまは、音楽と言っても女性ヴォーカル、中島みゆき、五輪真弓、ユーミンなどを流しながら、料理や掃除をします。妻はクラシック系なので妻がいない

    • ドストエフスキー「地下室の手記」を読了しました。 以前に中途で挫折したのですが、本書の重要性を再認識して今回はなんとか読み終えました。 中編小説にもかかわらず、相当の時間を要しました。 かなり難解の印象を受けました。 感想文をまとめるつもりですが、まだ時間がかかりそうです。

      • (詩) 源流への回帰

        わたしの生まれる前の 遠く遥かな 源へ 辿る道を 清らかな湧水の 源へ 還る道を 見極めるように ひとつひとつの仮面を 脱ぎ捨てて 人々の仮装行列を外れ 天空へ上ってゆく けっして記憶にはない 途を探し求めて

        • 夏目漱石「私の個人主義」

          漱石「坑夫」を読んで、次は漱石を離れてと思い、小説ではないのですが高名なある作品を読み始めました。 実は、もう何回か挑戦しているのですが、やはり途中で気が乗らなくなりました。 けっして難しい作品ではないのですが、わたしにはなかなか入って行けません。 仕方なく、もう一度目をとおそうと思っていた漱石「私の個人主義」を再読することとしました。 漱石の主要な作品を読み終わりましたので、なにか新しい発見があるかもしれないとの思いからです。 概要を以下に記しますが、本書についてわたし

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        • ドストエフスキー「地下室の手記」を読了しました。 以前に中途で挫折したのですが、本書の重要性を再認識して今回はなんとか読み終えました。 中編小説にもかかわらず、相当の時間を要しました。 かなり難解の印象を受けました。 感想文をまとめるつもりですが、まだ時間がかかりそうです。

        • (詩) 源流への回帰

        • 夏目漱石「私の個人主義」

          夏目漱石「坑夫」を読んで

          漱石「坑夫」を読了しました。 本書は、漱石を訪ねてきた人から実際の体験談を聞いて、それをまとめたとのことです。 たしかに他の作品とは趣をだいぶ異にしているようです。 内容は、以下のとおりです。 家にいられなくなったか、いたくなくなった青年が出奔し、途中で坑夫の斡旋人に会って銅山へ連れていかれます。 そこでの坑夫の劣悪、かつ、危険な労働環境を実体験します。 初めて坑道に連れて行かれた際に、道を間違えて他の坑夫とは違う人格者の「安さん」に会い、家に帰るように強く勧められます

          夏目漱石「坑夫」を読んで

          (詩) 老木と鶯

          切り倒される 桜の老木 危険だからか そのまま朽ちて 土に還りたかったろうに チエンソー鋸の音 断続して響く 公園の空 歩きながら音が遠のく そのはざまに もしかすると・・・・ 立ち止まって耳を澄ます まだ鳴き慣れない囀り ホーホケキョ 高らかにではなく 切なく悼むように 幼い鶯の初音 わたしの胸に沁みる 老木への労りの声

          (詩) 老木と鶯

          夏目漱石「虞美人草」

          漱石「野分」に続いて「虞美人草」を読了しました。 少し時間がかかりましたが、「虞美人草」は「野分」とは異なり、わたしには大変に面白く読むことができました。 それはストーリーの面白さではなく、登場人物の描き方の巧みさに惹き込まれたからです。 「明暗」における性格描写に対する漱石の技量が、すでにこの作品に感じられます。 それは小説を読むときのわたしの好みかもしれません。 登場人物がリアルに描けてないと、わたしには興が冷めてしまうのです。 本書の内容を簡略します。 甲野藤尾は、

          夏目漱石「虞美人草」

          漱石の「虞美人草」を読んでいますが、まだ読了していません。寝る前と家事の隙間時間に読んでいるのですが遅々として進みません。しっかりと読書の時間をとって読まないといけないようです。もともと読む速度が遅いのかもしれません。週に数冊読んでいる人もいるそうで信じられない思いです。

          漱石の「虞美人草」を読んでいますが、まだ読了していません。寝る前と家事の隙間時間に読んでいるのですが遅々として進みません。しっかりと読書の時間をとって読まないといけないようです。もともと読む速度が遅いのかもしれません。週に数冊読んでいる人もいるそうで信じられない思いです。

          (詩) 雪の帳

          雪が降りしきる わたしの目の前に 未来も過去も遮断するように 雪が降りしきる 風は一つもない わたしの目の前は ただ真っ白な壁が 立ち塞がっている 足を踏み出せる 筈なのに 一歩も出ない もちろん前は見えない 恐る恐る後ろを振り返る 雪は降っていない 天には日も月も星も 地には山も川も海も しかし誰一人いない廃墟の街 逝った、けれど消えない人へ わたしの一歩を預けよう 雪の帳は自から開き 明るみの道へと

          (詩) 雪の帳

          漱石の「二百十日」に引き続いて「野分」を読了しました。主人公については興味深く読んだのですが、残念ながら一部流し読みになってしまいました。感想文をまとめるまでに至りませんでした。現在は、次の作品である「虞美人草」を読み始めています。

          漱石の「二百十日」に引き続いて「野分」を読了しました。主人公については興味深く読んだのですが、残念ながら一部流し読みになってしまいました。感想文をまとめるまでに至りませんでした。現在は、次の作品である「虞美人草」を読み始めています。

          (詩) 冬の一日

          きょうという冬の日が 水平線に没しようとしている 光は夕暮れの海に溶けて きょうだけの静謐が わたしの胸に充たされた

          (詩) 冬の一日

          夏目漱石「二百十日」

          「明暗」読んだあとに、ほかの小説家、遠藤周作、森鷗外と読みました。 ここで漱石にもどり、まだ読んでいない作品を読むことにしました。 中編、長編小説としては、「二百十日」、「野分」、「虞美人草」、「坑夫」です。 「二百十日」は、圭さんと碌さんの二人の会話を主とした小説です。 ふたりの軽妙なやり取りが、なんとも面白く、またふたりの性格描写も巧みでそれぞれの個性あふれる人柄を描いています。 内容は、阿蘇山に登る話で、特にストーリー的なものはありません。 四苦八苦して登りながらの

          夏目漱石「二百十日」

          森鷗外「高瀬舟」

          久しぶりに鷗外を読んでみようと思いました。 どの作品にしようか、迷ったのですが代表作ともいえる「高瀬舟」を読みました。 もうすでに幾回も読んでいるのですが、変わらずに快い読後感です。 ご存じの方も多いとは思いますが、簡単にあらすじを紹介します。 江戸は寛政年間の頃です。 遠島を申し付けられた罪人は、京都から大阪まで高瀬川を下って送られます。 この舟に同行する同心にとっては、あまり気分の良くない仕事です。 というのも舟に親族が乗り合わせて、別れを惜しむ哀れな情況を目の当たり

          森鷗外「高瀬舟」

          (詩) 機影はいづこへ

          海を見続けている人 いつからだろうか 年老いた人 もう100歳を超えただろうか 終戦の直前から見続けている その日 兄は戦闘機に乗って出撃した 南へ向かって飛行する 筈だったのに 途中から東へ向かい まったく別の方向へと 水平線の彼方へ 機影は消えていった それから海を見続けていた 眼をそらすことなく 兄の意志、兄の思いは 迷いなく操縦桿を握った なぜ、なぜ、兄は 見ていたすべての人が愕然とした しかし終戦とともに忘れ去られた 今でも兄

          (詩) 機影はいづこへ

          遠藤周作「死海のほとり」

          本書を読むのは、3回目になります。 1回目は30代前半、2回目はそれから5,6年経ってからでしょうか。 もともと遠藤周作は、ユーモア小説ともいえる「狐狸庵閑話」などを読んではいました。 30歳のころに聖書を読むキッカケがあり、それ以後キリスト教関連の小説や解説書などを読み始めました。 そのキッカケは、以下のnote記事として書きましたので、興味のある方は覗いてみてください。 本書は、ヨーロッパを旅行していた筆者が足を延ばしてイスラエルにきたところから始まります。 目的は、イ

          遠藤周作「死海のほとり」

          (詩) 明けない空に求めて

          地平線を一心に 見つめる 建物がなくなった 廃墟の街を 身じろぎもせずに 太陽が昇る一条の 光を求めて 暁の空を求めて いつまで待っても 明けることのない空 たとい明けなくても 前だけを見つめる 父も母も姉も妹もいない もれてこない一条の光を 地平線に求めて 廃墟にひざまづく ひとり残された 少年の後姿

          (詩) 明けない空に求めて