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(詩) 水溜り


雨はいつしか上がっていた

日差しを受けて

いくつかの水溜り

一つ目を覗き込むと

幼い顔が浮かんでいる

二つ目を覗き込むと

若い顔が浮かんでいる

三つ目を覗き込むと

中年の顔が浮かんでいる

霧がかかった脳裏に

しかしながら

紛れもなく刻印された

その時々の情景を

片時も離れず

年老いた人は

雨が降るたびに

水溜りに浮かぶ

過ぎし日々の己の顔を

今一瞬に凝結して

時を反芻するように

覗き込んでいる

永遠の日差しを浴びながら

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