ゼロ年代

【読書感想文11】『ゼロ年代の想像力』

 本書は、ゼロ年代に生まれたマンガ、小説、ドラマ等の物語を広く視野に入れ、その歴史、特徴、美点、課題、そしてこれからを考察するものです。刊行は2008年、ゼロ年代末期です。

1. ゼロ年代前夜 ~ポストモダンへの消極的反応としての90年代~

 ゼロ年代を語るには、まずはその時代をもたらす直接原因としての90年代、そしてさらにその前段階の80年代以前における人々の意識について、見ていく必要があり

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『雪の名前はカレンシリーズ』あとがき:誰にでも忘れられない夏がある。

『雪の名前はカレンシリーズ』(著・鏡征爾/絵・Enji)
https://www.amazon.co.jp/dp/B08P4M4WCK/
より抜粋:
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 あとがき
 
 
 誰にでも忘れられない夏がある。それはおそらく十代の頃だ。
 
 十代の頃に読んだそんな蔵書の一節を、いまでも覚えている。十代の頃、すべてを手に入れているような錯覚と、す

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No.1 拝啓、透明な地獄の君へ ―鏡征爾『雪の名前はカレンシリーズ』―

 第1回の読書レビューは、鏡征爾先生の『雪の名前はカレンシリーズ』について。

 我らがゼロ年代の申し子、鏡先生のおよそ十年ぶりとなる新作でございます。

 これから読まれる方々のために、今回は可能な限りネタバレを廃して書かせていただこうと思います。

 ただ、まず前もってこれだけは書かせていただこうかな、というのが一つあります。

 この作品は百人が読んで、百人全員が両手を上げて喝采する作品では

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『M-1グランプリ』とお笑い民主主義

※この記事は、2014年11月、同人誌『F vol.14』への寄稿した記事を転載したものです。

はじめに――『M‐グランプリ』と「ゼロ年代」

 ある時代を任意に切り取って、そこにその時代特有の空気なり欲望なり傾向なりを読み取るのはいったんやめにしよう。いわく、「虚構の時代」(見田宗介)「動物化の時代」(東浩紀)「不可能性の時代」(大澤真幸)「リトル・ピープルの時代」(宇野常寛)など……。見田の

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『AIR』を観て、「”ループもの”の功罪」について考えた

 タイトルにある通り、今更ながら往年の名作アニメ『AIR』を観たので、感想を述べつつ、それに付随して「ループもの」に関する考察を展開したいと思います。

 さて、『AIR』ですが、ゼロ年代初頭に隆盛を極めた、同タイトルの「美少女ゲーム」が原作です。二十年近く前に発売されたにも関わらず根強い人気を誇る作品で、「不朽の名作」という惹句をひしひしと感じさせられます。
 アニメのop「鳥の詩」はYoutu

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読んでくれてありがとう
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『Life is like a Melody ―麻枝准トリビュート』を再頒布します

こんにちは。meta2です。

2015年に制作し、サークル「死んだセカイ戦線」で頒布した同人誌『Life is like a Melody ―麻枝准トリビュート』を再頒布します。

時期的には『Charlotte』放送終了直後に発行した同人誌となります。

麻枝准氏への思い入れの強い寄稿者が集まり、『Charlotte』までの麻枝准作品を語り尽くした一冊になっていますので、ぜひ読んでもらえればと

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砂場から見たゼロ年代

✳︎記事後半である映画についてネタバレ全開で触れているので、気になる人はその段飛ばして読んでください。

ケータイ、ハリポタ、オレンジレンジ。
フレンドパーク、プラズマTV。
LISMO、ミニモニ。、ほしのあき。
ヤンクミ、嬢王、911。

97年生の僕にとってゼロ年代とは、あらゆる原初体験の詰まった期間だった。また僕にとっては、自発的に音楽や本に触れる前の、垂れ流しのTVCMが唯一流行との接点だ

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休刊、休刊、また休刊!廃刊されたオタク向け雑誌(2010年『現代視覚文化研究』vol.4)

※画像が一部発掘できず大きいのと小さいのが混じってます。

2000年代のオタク雑誌を「萌え」をキーワードに見てみれば、イラストがカラーで綺麗に載っているビジュアル誌が席巻したといっていいだろう。しかし一方で1999年の『アニメ批評』休刊を踏まえ、オタク文化向けの評論誌はどうすれば成り立つのかを探し続けた10年だったようにも思える。ネットと競合する情報誌は次々と休刊する一方、読者の所有欲を刺激すべ

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2000年代雑誌ガイド 日本の場合 The magazines of the decade 2000 - 2009 in Japan(2010年『アイデア』339号)

これは2000年代の日本の雑誌を客観的ではなく主観的に選出したものである。この10年の動向を一まとめに語ることはできないが,広告主との共犯関係をより強めたファッション誌,今いる読者と年齢を重ねることを決めた専門誌,ウェブのまとめと追随を選択した情報誌,これらは特に目立ったと思う。デザイン面では余白が増え,ロゴがキラキラし,モリサワ書体が席巻した。速報性ではウェブが先陣を切り,手軽な情報集約は新書が

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【ゼロ年代後半】YUIから銀杏へ導く彼とメディア

静かな教室で、誰かの"着メロ"がなった。女性歌手のようだが、JUJUの「明日がくるなら」でも、加藤ミリヤの「Love Forever」でも、青山テルマの「そばにいるね」でもない。

校則が厳しかった中学で、携帯を持ち込むことは御法度中の御法度。
「あーあ、誰かやっちゃったな」とニヤニヤしながら携帯の持ち主を探る。カバンに入っているのか、音がこもって聴きとりにくい。しかし、耳なじみのいい曲。

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