秋永真琴

ふつうの小説をしずかに書いています。日本SF作家クラブ会員。ご依頼、ご連絡は【sorc…

秋永真琴

ふつうの小説をしずかに書いています。日本SF作家クラブ会員。ご依頼、ご連絡は【sorcery@hotmail.co.jp】

マガジン

  • ほろよい日記

    札幌に暮らす作家のよくわからない日記のような何か

最近の記事

入口で不良がたむろするコンビニ

 例えば、お着物とか。  宝塚とか。ガンダムとか。  長く続いている文化や作品についてSNSで議論していると、必ず出てくる言葉がある。皆さんもどこかで見聞きしたことがあると思います。もはや定型文と化した感がある。  これらは確かにその通りだし、私も強くそう思っていた。いまも思っています。作家の端くれなので、本については特に、恐がらないで、構えないで、気軽に読んでほしいといつも願っている。  だがしかし。  最近は、カスタマーハラスメント的というか、部下から上司への逆パワハラ

    • ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険』を観た

      『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』を観ました。  生まれて初めてミュージカルを劇場で観た……という人が多い作品なんじゃないだろうか。私がそうだから。ジョジョだから観てみた。  なぜか(なぜかって言うなよ)(でもなんではるばる?)札幌公演があったので嬉しかったです。東京公演だけだと、検討はしたけど行かなかったかもしれないし、もしチケットを取ってもその日が公演中止になってしまって茫然と東京に行くだけ行き、有楽町のガード下の餃子バーか何かでTwitterを見ながらレモンサ

      • 『窓ぎわのトットちゃん』を観た

        2024/01/20(土)  今日じゃないんだけど『窓ぎわのトットちゃん』を観た。もう日記じゃないなこれ。まあいいや。『ゲゲゲの謎』と同じく、Twitterで絶賛の声をいくつも見かけたので興味をもった。観るものがTwitterに支配されている人間です。  原作は、小学校の図書館で読んだ記憶がある。トットちゃんが異常な好奇心でくみ取り式のトイレの汚物槽に飛び込むような場面があったのと、学校でお弁当に「海のもの」と「山のもの」を必ず入れること……戦況が悪化するとそれすら叶わなく

        • 「ウェブ小説は似たような作品ばかり」

          2024/01/08(月・祝)  小説家になろうやカクヨムに代表される投稿サイトの小説……いわゆるウェブ小説は、似たような作品ばかりが人気になり、書き手も読み手も進取の気性に欠けていて不満だという意見がTwitterで定期的に話題になる。  この日記を書いている現在のウェブ小説は令嬢もの、勇者もの、配信者ものなどのライトノベルが主流であり、それ以外の作品はなかなかPV数が上位にならないという事実はある。そこに、Twitterで問題提起したくなるほどの悩みと怒りを感じる原因と

        入口で不良がたむろするコンビニ

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        • ほろよい日記
          64本

        記事

          『ゲゲゲの謎』を観た

          2023/12/22(金) 『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を観た。  SNSでの口コミで人気が広がっている映画である。 『ゲゲゲの鬼太郎』アニメ6期のエピソード0でありつつ『墓場鬼太郎』の1話にも繋がるように作ってあり、地方の権力者一族のドロドロした相続争いやおぞましいしきたりを描いた「因習村ホラー」の傑作であり、鬼太郎の父と水木青年が反駁しつつしだいに心を通わせていくブロマンス要素も素晴らしい、という具合だ。  私は天邪鬼なのでネットの「大げさ感想」にはやや食傷ぎみだけど、交

          『ゲゲゲの謎』を観た

          『探偵はBARにいる』を観た

          2023/12/06(水) 『探偵はBARにいる』を観た。  すすきのに新しい映画館ができて、オープン記念のリバイバル上映ということだと思う。名画座(っていうのかな、今も)ではない。TOHOシネマズなので、今の目玉は『ゴジラー1.0』だ。本当はゴジラを観るべきだろぉ、クリエイターの端くれなら最新の話題作をさぁ、と右耳で黒い天使が囁いてきたが、すすきののシネコンですすきのが舞台の傑作映画を掛ける支配人の心意気を汲むことこそクリエイターの役目ではありませんか、と左耳で白い悪魔が

          『探偵はBARにいる』を観た

          目にうつる全てのことはメッセージ

          2023/11/30(木) 『マッドマックス 怒りのデスロード』の続篇(前日譚)『フュリオサ』が来年アメリカで公開されると知った。  高い評価のわりに興行成績はそれほどでもなかったので続篇の企画は凍結されたなんて噂も聞いたけど、ちゃんと作られていたんだな。すごく嬉しい。まさか日本で劇場に掛けないってことはないと思うけど、最悪、配信でもいい。ぜったいに観たい。  私はどんなに面白くても同じ映画を2回以上観ることはあまりなく、まして、劇場にお金を払って複数回行ったことは数えるほ

          目にうつる全てのことはメッセージ

          好きなものにはどうしても

          2023/11/19(日)  最近は雨が降りがちです。  寒いんだけど雪にはならない。いいんだか悪いんだか。マフラーや手袋のお手入れをしないといけない。      *  宝塚が、俳優同士のパワハラや俳優に負担が大きすぎる組織のあり方で揺れている。歴史が深く、熱心なファンも多く、門外漢が安易に言及できないジャンルではありますが、一般論として「自分の才能に前半生を懸けた若者たちが全国から集まって切磋琢磨し、限られたスターの座を競う場所」について思うところはある。高校野球、相

          好きなものにはどうしても

          詩情を汲み取る

          2023/11/13(月)  数日前にTwitterで槇原敬之の『もう恋なんてしない』の歌詞がやり玉に挙げられていた。  ご存じかとは思いますが説明しますと、これは同棲を解消した恋人のことを歌った30年以上前のヒット曲で、ひとりで生活しているとふとした瞬間に否応でもその人のことを思い出してしまうようすを巧みに描写している。  その内容が、いわゆる「亭主関白」すぎるというのが批判の主旨と思われる。君がいないとどこに何がしまってあるかわからない、とか、君の料理になら文句も言えた

          詩情を汲み取る

          あったりめえのこと

          2023/11/02(木)  私は教養がないので、パレスチナとイスラエルのあいだで大きな争いが起こるたびに「5分でわかるパレスチナ問題の概要」みたいなまとめ記事を読み返す(わけのわからない人が書いたブログとかじゃなく、NHKのサイトなどに載っている文責が確かなものなので安心してください)  国家、民族、宗教の問題が複雑にからみあっていて、どれかを外して考えることができないのはわかる。簡単にどちらかが愚かだとか、両方が愚かだとか言えないよ。  一方で、軍師ぶって高いところから

          あったりめえのこと

          人が、人に言っているだけ

          2023/10/30(月)  今月は体力的にきつかった……。  日記もあまり書けなくなってしまった。まぁ有料マガジンとかじゃないからいいんだけど。  宣伝をする。12月に新作小説を発表する予定です。  どういう内容にしようかけっこう悩んだけど、いまの自分に書けるものを精いっぱい書きました。結局それしかできない。 「申し訳ありませんがこのクオリティでは載せられません」とは言われなかったのでたぶん載ると思う。  この特集だけでアンソロジー(短篇集の本)1冊分のボリュームがあ

          人が、人に言っているだけ

          俺の涙でわかめを戻すぜ

          2023/10/21(土)  日記を丁寧に書く余裕がなかったし、いまだにあまり余裕がないので、こういうときは無理をせず数日間をひとまとめにして追いつく。  7月下旬以来に美容院に行ったり、遠方から友だちが来たのでいっしょにご飯を食べたり、用事をこなしたり、小説を書いたり、うまく書けなくて泣いたりしていました。今日も泣いてます。俺の涙でわかめを戻すぜ~。俺の涙でわかめを戻すぜ~。いま作った歌です。  本の話題その①  本を飾りにすること自体は何もおかしいと思いません。だっ

          俺の涙でわかめを戻すぜ

          僕は仮眠ができない

          2023/10/11(水)  大阪万博の建設が間に合わないから残業を無制限にしようという会議で政治家が「災害だと思えばいい」と言ったのが面白すぎる。災害なんだ。じゃあ最初から起こさないほうが……というツッコミは当然生まれる。  比喩って間違えるとこういうことになる。小説を書くときも気をつけているところです。  昔読んだ、有名な俳優が書いた小説に「脱獄囚のように駆け出した」みたいな比喩があった。思いついたときは「気の利いた表現だ」とニヤッとしたんだろうと思う。でも、ぜんぜんそ

          僕は仮眠ができない

          こっちにはなりきれず、あっちにも入れず

          2023/10/06(金)  朝から大雨だった。  幾億の水滴が地面をさわさわと叩く音を窓越しに聞きながら、小原晩『ここで唐揚げを食べないでください』を読む。  個人出版だけど、私が通販で取り寄せた本は1年で9刷まで達したバージョンだった。要は異例の人気ということ。私も桜庭一樹さん(!)が推薦していたツイートで存在を知った。  若い歌人(短歌を詠む人。長いほうです。57577のほう)のかたが、地元から飛び出して東京で暮らす悲喜こもごもを、平易でかろやかな文章でおかしく切な

          こっちにはなりきれず、あっちにも入れず

          強い言葉を遣うなよ

          2023/10/01(日)  小樽文学館で行われる山田正紀先生の講演会を聴いてきた。  小樽に行くのは久しぶりだ。快速電車で30分ちょっとなので、関東などに住んでいる人だと「私の通勤・通学時間より短いじゃん」となるかもしれない。でも、心理的には遠いんですよね。    講演会は約1時間。戦前の小樽を舞台にした『人喰いの時代』という小説のお話が中心だった。  愛読者ならわかると思うけど、山田先生はキャリア50年(!)、著作は200作近いのではないか? 日本SF大賞や日本推理作家

          強い言葉を遣うなよ

          だいたい好みは定まっている

          2023/09/29(金)  前日から首と肩がひどく凝ってはいたんだけど、昼くらいから頭が痛んで手が痺れてきた。  お前に必要なのは早急な手術だ!(ギュッ)という危険な状態の可能性も考えて、手足が自分の意志で正常に動くか、しゃべってろれつが回るか、記憶が混乱せず名前や誕生日などを言えるかを確かめてから、倒れるように寝た。  起きたら夜だった。あまり状態は変わらない。  雲のすき間から満月が見えた。  鎮痛剤を飲んで、金曜ロードショーの『葬送のフリーレン』を観る。  少年サ

          だいたい好みは定まっている