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好きなものにはどうしても

2023/11/19(日)

 最近は雨が降りがちです。
 寒いんだけど雪にはならない。いいんだか悪いんだか。マフラーや手袋のお手入れをしないといけない。

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 宝塚が、俳優同士のパワハラや俳優に負担が大きすぎる組織のあり方で揺れている。歴史が深く、熱心なファンも多く、門外漢が安易に言及できないジャンルではありますが、一般論として「自分の才能に前半生を懸けた若者たちが全国から集まって切磋琢磨し、限られたスターの座を競う場所」について思うところはある。高校野球、相撲部屋、映画界、歌舞伎、女性アイドル、男性アイドル……いろいろな団体が、同様の問題で揺れてきた。そのたびに思ってきたことを少しだけ書きます。

 ふだん特に興味のない人やアンチではない、宝塚ファンと思われる人の複雑な心境がにじむ意見をTwitterで見かけると、じっくりと読んでしまう。例えば「これは演劇界全体が抱える問題である」とか。あるいは「運営が悪い。俳優も会社の被害者である」とか。
 それは全くその通りなのでしょうけど、実際に下級生に暴行を加えた俳優への批判はほぼ見られない。心身が追い詰められる環境のせいであっても、その事実は重く、関わっていた人たちは処罰されても仕方ないと思うのだが、そのあたりへの言及が不自然なほど抜けている。(退団なのか、所属している組全体が謹慎や解散をするのか、どのくらいの処罰が妥当なのかは私には判断できないけど)
 でも、気持ちはよくわかる。自分の好きなものにはどうしても甘くなるのは何もおかしくない。掌返しで「これまで大ファンだったけど、もうぜんぜん応援できません」みたいな人のほうが個人的には若干怖い。「正しいもの」を応援している「正しい自分」がほしかっただけなんだろうか、などと意地悪なことを思う。
 私も、好きなロックミュージシャンがだんだん胡乱な政治的発言をするようになってきて「う、うーん……?」と思うけど、今のところはファンであり続けていたりする。ナタリーなどのインタビュー記事を見ていても、失礼にならない程度に「流す」ように、ライターが苦労して書いているのがうかがえる。たぶん実際はもっと長く、強い語調で語っていたんだろうな、というのが想像できる。

 俳優やスポーツ選手が、一般的な学生や会社員と同じように自分を労るわけにはいかない。人並み以上のことをするから、人並み以上の成果が生まれるわけで、過酷な稽古や減量が避けられないときはどうしてもある。
 でもそれは、専門家のメンタルケアまで含めた確かな指導のもと、撮影や試合の当日までの短期間限定で行うものです。
 無意味に厳しく、果てしなくつらいことに人は耐えられない。
 すげえバイオレンスな映画を撮る監督が、撮影前に自分もスタッフも俳優もパワハラや働き方改革の教習を受けるようにしているとか、明るい報せもある。少しずつよくなってきているとは思う。
 そのせいで成り立たなくなる団体はあるだろう。「そんなところはバンバン滅んでいい」なんて「正しいこと」は言えないけど……
 これからも少しずつ、よくなっていってほしいと思う。

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 本が読めない。
 10月から忙しくなって、読む時間と気力がうんと削られている。ふつうの厚さの本を1週間に2冊がやっと。1冊しか読みきれない週もある。
「本なんて娯楽! 読みたいときに読めばいい! そんなの個人の自由!」というわけにはいかないところがある。いちおう書く側なので、読んでおくべき本というのがどうしてもありまして……。
「読みなくない」のではなく「読みたいけど読めない」。
 今日は少し時間があるので、意識して時間を作り、1冊読み切ろうと思います。これから書こうとしている話の参考になりそうな本にしようか、純粋な娯楽の小説にしようか迷う。
 迷っているうちに夜になってしまいそうだ。

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