木屑問屋

業務中こっそり読むのに適した散文

木屑問屋

業務中こっそり読むのに適した散文

マガジン

最近の記事

箱根小旅行 2024(彫刻の森美術館、ユネッサン他)

 三ヶ月に一度は近場でも旅行したいと思っている。  9月はもともと熱海に行く予定であったが、過去記事でも取り上げた舟越桂氏の展示が彫刻の森美術館で見れることを知り、箱根に行くことにした。 【1日目】■ロマンスカーで箱根へ  朝8時。  新宿から小田急のロマンスカーに乗る。  箱根湯本まで1時間40分程度。  乗車券・特急券あわせて約2,400円なので、ロマンスカーってけっこうお得かも…。  朝食は、新宿駅構内で買ったストロングスタイルの幕之内弁当。  うまい。 ■箱根

    • 稲川淳二 怪談ナイトの思い出

       昔、深夜のテレ玉(テレビ埼玉)をボーッと眺めていたら 「今年もあいつがやってくる…」 というおどろおどろしいナレーションが流れてきて、何ごとですかいと思ったらそれは「稲川淳二の怪談ナイト」のCMだった。  「あいつ」というのは本来幽霊や怪物などの向こう側の世界の住人を指し示す言い方だと思うのだが、怪談を語る側の方である筈の稲川淳二氏が「あいつ」呼ばわりされていてなんか笑ってしまった。  その頃の私は興味のあるライブは何でも見に行ってやろうという時期だったので、この怪談ライブ

      • 「くろなん」おもしれ~って話

         これから「くろなん」おもしれ~って話をします。  「くろなん」とは何かを順を追って説明しますと……  にじさんじが誇る男性VTuberの二大巨頭、葛葉と叶。  二人は「ChroNoiR(くろのわーる・略称『くろのわ』)」というユニットを組んでいて、YouTubeで同名のユニットチャンネルを持っています。  そこでやっているにじさんじの公式番組「くろのわーるがなんかやる」の略称、それが「くろなん」でございます(毎週月曜19時に配信)。  これは一体どういう番組か。  タイ

        • 日記 ぼくのなつやすみ 2024

           某月某日。  歯医者に行く。  親知らずのところにちっちゃい虫歯ができているとのことでへこむ。毎日歯みがきを頑張っているつもりだが、まだまだ精進が足りないらしい。歯みがきムズすぎる。ちっちゃい虫歯の治療は次回から開始。  某月某日。  ブックオフに行き、2冊購入。  コメダ珈琲店に寄り、買った本を読む。  午後いっぱいを使ってがんばってnoteを書き上げる。あまり無いことだが、精魂尽き果てた。  YouTube。ましろ爻さんの「視聴者投稿の心霊写真・動画を見る」のアーカイ

        箱根小旅行 2024(彫刻の森美術館、ユネッサン他)

        マガジン

        • VTuber
          16本
        • 書評
          8本
        • 笑い
          10本

        記事

          mocopi から学ぶ戌神ころねの身体的没入感

          ■mocopiって何?  皆さんはmocopi(モコピ)をご存知でしょうか?  ……という書き出しをした以上は、mocopiについて熟知した感じのことを書かなくちゃいけないのでちょこっと調べてみたのですが、なんだかどうも説明が難しい。  画一的な説明でいうと、mocopiとは「SONYが販売する小型・軽量のモバイルモーションキャプチャー」のことです。  「ユーザーは、6つの小型センサーを全身に装着し、専用スマホアプリを組み合わせることで、高精度かつリアルタイムでのモーシ

          mocopi から学ぶ戌神ころねの身体的没入感

          川上弘美「物語が、始まる」は何故グッとくるのか? 最終夜

           全7回に渡って川上弘美「物語が、始まる」の魅力を紹介します。  本日最終回。 ↓ 前回 最終夜 「生きながらえる」ということ  「物語が、始まる」を考えるシリーズの最後の夜となりました。  本作のラストを読むたびにわたしは心が揺さぶられるのですが、最後にその部分を鑑賞していきましょう。  本作を読み返すたびに“私”の「これが、生きながらえるということなのかもしれない」という想いは一体どのような意味合いなのだろうかということを、ずっと考えてきました。  わたしの解

          川上弘美「物語が、始まる」は何故グッとくるのか? 最終夜

          川上弘美「物語が、始まる」は何故グッとくるのか? 第六夜

             全7回に渡って川上弘美「物語が、始まる」の魅力を紹介します。 ↓ 前回 第六夜 「物語が、始まる」  前にも少し触れましたが、本作「物語が、始まる」は、川上弘美の第一作品集『物語が、始まる』(1996)の表題作です。  この作品集には、表題作以外には「トカゲ」「婆」「墓を探す」という三つの短篇が収録されています。  「トカゲ」には“座敷トカゲ”という不気味で巨大なトカゲが出てきます。  「婆」には、主人公に「私は婆ですよ」と呼びかける、謎に満ちた“婆”が登場しま

          川上弘美「物語が、始まる」は何故グッとくるのか? 第六夜

          川上弘美「物語が、始まる」は何故グッとくるのか? 第五夜

           全7回に渡って川上弘美「物語が、始まる」の魅力を紹介します。 ↓ 前回 第五夜 「私たちのもっとも幸せな時間」  三郎との日々について、“私”が「たぶん、あれが私たちのもっとも幸せな時間だったのかもしれない」と振り返る場面が出てきます。  時系列としては、三郎が「古くなり始めている」ことが発覚する少し前の出来事です。  ある日、二人は小さな美術館を見つけます。それは、三郎を拾った砂場の裏手にありました(「それまでそのような場所に美術館があるのに気づかなかった」)。

          川上弘美「物語が、始まる」は何故グッとくるのか? 第五夜

          川上弘美「物語が、始まる」は何故グッとくるのか? 第四夜

           全7回に渡って川上弘美「物語が、始まる」の魅力を紹介します。 ↓ 前回 第四夜 ずれる世界  第二夜と第三夜であらすじを追ってまいりました。  それにしても不思議な話です。  作中にはしゃべって動く人形(雛型)が出てきますが、言うまでもなく人形というのは普通はそういう振る舞いをしない“モノ”です。人形が動くというのはシチュエーションとしては本来ならホラーの分類にでも入りそうなものですが、これはホラー小説ではありません(見方によってはそういう風にも読めますが)。  し

          川上弘美「物語が、始まる」は何故グッとくるのか? 第四夜

          いつも見ている天気予報サイトより。 14時に世界一瞬終わったんか?

          いつも見ている天気予報サイトより。 14時に世界一瞬終わったんか?

          川上弘美「物語が、始まる」は何故グッとくるのか? 第三夜

           全7回に渡って川上弘美「物語が、始まる」の魅力を紹介します。 ↓ 前回 第三夜 「物語が、始まる」ってどんな話?(後半)    さっそくあらすじの続きを追ってまいりましょう。 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆  とうとう“私”と本城さんは破局する。  別れ際、三郎について「あまり深入りしすぎないように。なんといっても人間じゃないものなんだから」と本城さんは“私”に忠告する。  そして、三郎は外で働きはじめるようになる。  ある日、三郎の帰りが遅い夜があった。  三郎の身

          川上弘美「物語が、始まる」は何故グッとくるのか? 第三夜

          川上弘美「物語が、始まる」は何故グッとくるのか? 第二夜

           全7回に渡って川上弘美「物語が、始まる」の魅力を紹介します。 ↓ 前回 第二夜 「物語が、始まる」ってどんな話?(前半)  それでは早速、「物語が、始まる」はどういう話なのかをなぞっていきます。  この作品は一言でいうと、「人ならざるモノとのラブストーリー」です。  以下、本作の書き出しです。  ある日“私”は、「団地の端にある小公園の砂場」で、“男の雛型”を拾う。その雛型は、「生きている」。  のっけから「雛型」という単語が出てくるので「そういや雛型って何だっけ

          川上弘美「物語が、始まる」は何故グッとくるのか? 第二夜

          川上弘美「物語が、始まる」は何故グッとくるのか? 第一夜

          第一夜 はじめに  上には上がいるのでこんなことは畏れ多くて言えないのですが、蛮勇を振るって言うと、わたしは昔から本が好きで、そこそこの数の本を読んできました。  今も家には溜まった積ん読が常にスタンバイしていて、しばらく前からもう読むものには困っていません。  少しでも住環境をよくするために(読んだ本を片っ端から処分するために)次から次へと読書をこなしていきたいという欲望がある一方、そんな狂騒状態を一旦お休みにして昔読んだ名作をもう一回読み返すこともあります。  なかでも

          川上弘美「物語が、始まる」は何故グッとくるのか? 第一夜

          湊あくあの卒業に思うこと

           ホロライブプロダクション所属の人気VTuber・湊あくあさんが今月6日、自身の生配信において8月28日に卒業することを発表しました。  VTuberの卒業・引退については過去に記事を書いたことがあり、その内容と重複するところもあるかもしれませんが、そのときからまた新たな考えが浮かぶようになったこと、そして心の整理のためにも改めて書きたいと思います。 ■卒業発表  VTuberの卒業・引退の発表には、いつまで経っても慣れることがありません。  そして、ニュースはいつも突然

          湊あくあの卒業に思うこと

          【名古屋】男三匹サウナ&ジブリ&食いだおれ旅【2日目】

           名古屋旅行2日目の模様をお届けしてまいります。 ↓ 1日目 【2日目】■名古屋といえば“モーニング”  午前7時半起床。  すこやかな目覚めだった。  窓の外ではさっそく太陽がギラついている。  “今日も暑ーい1日になりそうです”  スチャダラパーの名曲「サマージャム’95」の冒頭の歌詞を思い出した。  早々にホテルをチェックアウト。  名古屋といえばサービスもりもりのモーニング!  まずはホテル近くのBUCYO COFFEE(ブチョー コーヒー)の様子を覗いてみ

          【名古屋】男三匹サウナ&ジブリ&食いだおれ旅【2日目】

          描いて描いて生き延びろ――「ルックバック」感想

           先日、劇場アニメ「ルックバック」を見た。 ■2度の放心  去年、知人から藤本タツキ「ルックバック」の単行本をもらい、読んだ。  ご多分に漏れずその内容に圧倒され、読了後はしばらく放心した。  作者の藤本タツキ氏は天才だと確信し、他の作品も読んでみようと思ったが、自宅には「読んでくれ、次は俺は読んでくれ……」と怨嗟の声を上げる積ん読たちが鬼のように溜まっている。そいつらにかまけている内に、当初の「読むぞ!」という気持が日々薄れていき、いつしか忘れてしまった。  そして今年

          描いて描いて生き延びろ――「ルックバック」感想