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箱根小旅行 2024(彫刻の森美術館、ユネッサン他)


 三ヶ月に一度は近場でも旅行したいと思っている。
 9月はもともと熱海に行く予定であったが、過去記事でも取り上げた舟越桂氏の展示が彫刻の森美術館で見れることを知り、箱根に行くことにした。


【1日目】

■ロマンスカーで箱根へ

 朝8時。
 新宿から小田急のロマンスカーに乗る。
 箱根湯本まで1時間40分程度。
 乗車券・特急券あわせて約2,400円なので、ロマンスカーってけっこうお得かも…。

 朝食は、新宿駅構内で買ったストロングスタイルの幕之内弁当。
 うまい。

手堅いうまさ
「芸術新潮」8月号で舟越作品を予習

■箱根 彫刻の森美術館

着いた~

 箱根湯本駅に到着。
 箱根登山電車に乗り換え、彫刻の森駅へ。
 駅から彫刻の森美術館はすぐ。

箱根登山電車

 彫刻の森美術館、はじめて来た。
 広い。緑が多い。

広々

■「舟越桂 森へ行く日」

 お目当ての展示「舟越桂 森へ行く日」を見る。
 「静謐」の具象化。それでいて実にフェティッシュ。
 《水に映る月蝕》を生で見れて感激した。
 会場の本館ギャラリーが自分の想定よりこぢんまりとしていて正直「え、これで終わり?」とは思ったものの、これだけの数を一挙に見れる機会は今後そうそう無さそうなのでその点はありがたかった。
 作者はもういないが(本年3月に逝去)、物質が朽ちない限り永遠に大切に扱われる多くの作品・分身をこの地上に残した。
 坂本龍一が好んでいたとされるヒポクラテスの言葉「芸術は長く、人生は短し」を思い出した。

■ピカソ館

ピカソ館、カッコいい

 ピカソ館を覗く。
 ここでは陶芸作品188点を中心とした319点のピカソ・コレクションを鑑賞できる。
 とにかく多作。ピカソが売れきったあとの「勝ち確」時代の作品が多く、なんとなく“弛緩した作品群”という印象を持った。
 超絶技巧を持つピカソは子供が描くような自由な感じの絵に憧れ、彼自身もそのような絵を描くに至ったようだが、とは言えそれらの作品は「ピカソ」という文脈でないと評価されない出来のような気がする。デビューからこの作風だったらピカソは売れなかったのではなかろうか。
 ただ、横顔に定評のある2番目の妻・ジャクリーヌがモチーフの作品はキラリと光るものが多く、冴えていた。そこは「さすがピカソ」と唸った。

■ステンドグラスの塔

 高さ18メートルのステンドグラスの塔《幸せをよぶシンフォニー彫刻》を登る。

中はこんな感じ
てっぺんからの景色

 塔を降りるときはちょっと足が震えた。

 野外スペースは歩いているだけで楽しい。
 無造作と思えるくらいに至るところに彫刻作品が転がっていて、どいつもこいつものびのびとしている。
 ちとクソ暑かったが、快晴の日に来れてよかった。

のびのび
思い思いの時間を過ごす
安心してください、彫刻作品ですよ

■ユネッサン

 箱根登山電車で小涌谷駅へ(彫刻の森駅から1駅)。
 箱根登山バスに乗り、小涌園で下車。

 「箱根小涌園ユネッサン」に初上陸。

知らねえゆるキャラがお出迎え

 ざっくり言うと“アミューズメント温泉レジャー施設”、それがユネッサンだ。
 水着着用エリアは「ワイン風呂」「本格コーヒー風呂」などの変わり種のお風呂が盛りだくさん。
 平日金曜に訪れたのだが、大勢のお客さんで盛況だった。
 風呂とは言うものの、実際のところ「温水プール」くらいのぬるさ。
 ユネッサンの水着エリアは本来家族連れ・カップル・若者たちがキャッキャと戯れるところであり、私のようなもうじき中年(← わずかばかりの抵抗)のソロ男性が踏み入れるべき場所ではないと悟った。肩身が狭い。
 ただ、いろいろな風呂を半裸でペタペタ見物して歩くのはちょっとした地獄めぐりみたいで面白かった。

■元湯 森の湯

 こんなこともあろうかと私は同じくユネッサンの施設内にある「元湯 森の湯」のチケットも取っておいたのである。これが無かったら膨大な時間を持て余すところだった、あぶないあぶない。
 ここはもう本当にベーシックな温泉施設。
 ちと小ぶりではあるが、温泉はちゃんと熱いし、サウナ・露天もあるしでもう言うことなし。
 サウナルーティーンを主軸とし、いい感じの時間を過ごす。また、水温37~38度の「微温浴」がいつまでも浸かっていられる心地よさだった。
 うるさいガキどもはみんなユネッサンが一手に引き受けてくれているので、騒音を気にせずゆったりと温泉に浸かれるのもよい。
 独身者はユネッサンを無視して「元湯 森の湯」に直行すべし。我々にとってのエル・ドラド(黄金郷)が、ここにある。

■しん……ちゃん……?

 今ユネッサンは『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』とのコラボをやっているとのことで、精算カウンターの所にしんちゃん(着ぐるみ)がいた。
 しかし、肝心の子供たちの反応は薄く、クレしん第一直撃世代と思われる親たちの方がハシャいでいる始末。
 当のしんちゃんもヒマなのか🤟みたいな手をして無意味にチョケていて、同じくクレしん第一直撃世代の私は「しんちゃんはそんなことしないもん!」と内心憤慨しながら精算を済ませた。

 ユネッサンから小涌谷駅への帰り。
 バスが来たので乗ろうと思ったら乗客でパンパン。運転士から「乗れないので次のバス待ってくださいね~」と無慈悲に告げられる。バスが満員で乗れない、という経験が初めてだったのでビビる。
 次のバスも同じような混み具合であったが、運転士さんの温情でなんとか乗せてもらう。助かった。

■チェックイン

 登山電車で小涌谷から箱根湯本。そこから電車を乗り換えて小田原へ。
 そう、宿は小田原で取ったのである。
 駅すぐ近くの複合商業施設「ミナカ小田原」内のホテル「天成園 小田原駅 別館」にチェックイン。
 今日はいろいろ歩いたので順調にヘトヘト。部屋に着いたときはホッとした。

見よ、ミナカ小田原の威容を
部屋

 「腹減ったメシだメシだ!」ということで同じくミナカ小田原内の「回転寿司 北條」で夕食。
 職人さんたちが仲睦まじげにトークしながらせっせと寿司を握って量産していた。理想の職場かもしれない。
 いろいろ食べました。美味しかったです!

がっつきすぎて写真少なめ

■温泉

 大浴場に向かう。
 いい温泉ではあるが、全187室のホテルにしてはお風呂場のスペースが小さいかも…。天成園の別館を謳うならば、もっとゆったりと構えてほしかった。
 広さに関しては、ぶっちゃけ小ぶりなアパホテルの大浴場とかにも負けている。
 露天風呂はまさに「猫の額」といったところで、自分の他にもう一人が入ってくるとそれでもう気まずいレベル。
 「小浴場」に改名せよ。
 いや、いい温泉でしたよ?(フォローになっているのだろうか)

 ミナカ小田原1階のローソンでアイス(スーパーカップ ずんだ味)を買う。
 部屋に戻る。テレビでいい番組が無かったので、スマホでYouTubeをダラダラ見ながらアイスを食す。旅先のささやかな愉しみ。
 ここは全館Wi-Fi完備。Wi-Fiがわりかし強めな気がするのでうれしい。

スーパーカップ ずんだ味

 0時30分消灯。
 今日はよく動き、よく食べたのでスッと眠りに入った。

【2日目】

■やっぱり朝風呂

朝が来た

 朝5時50分にセットしたアラームで目覚める。
 朝風呂に向かう。
 朝の大浴場のオープン時間は6時。
 6時に起床しているおじさんなんてのはこの世にゴマンといるので脱衣所はちょっとした激戦区。朝からおじさん同士で揉まれたくない。やっぱりもっと全体的に広くするべきだよ!
 あ、ちなみにサウナありますよ?(せめてものフォロー)

■朝食バイキング

 さてさてお待ちかねの朝食バイキング。
 会場は最上階(14階)のレストラン「スカイダイニング」。小田原市街を一望できるので優雅な気分になれる。

レストラン「スカイダイニング」

 私も数々のホテルの朝食バイキングを経験してきたが、ここはけっこうレベル高い。うまい、うまいぞ!
 大浴場の失点を優に取り返すくらいの美味しさ(失点として換算していたのか…)。
 ご当地モノだと小田原おでんがあるのが嬉しい。
 あと朝食バイキングではあまりお見かけしないアジフライも気合いが入っていて大変よろしかった。
 メニューの種類も豊富なので、食べすぎ注意でございます。

茶色の世界に迷い込んだ男の末路
シューアイスがあるのもうれしい(一人一個まで)

■さらば小田原

 部屋に戻り、膨れた腹をさすりながら荷造りをする。
 私の一人旅の流儀として、宿泊地のホテルの朝食を食べたらもう旅行は終わりである。
 2日目は観光せず、ただただ帰る日。
 ホテルをチェックアウトし、こだまに乗って東京に戻った。

さらば小田原

 当然ながら箱根にはまだまだ面白いスポットがたくさんあるので、今後も折を見て是非トライしたい。
 当面は今回の旅の思い出をかてとし、生き馬の目を抜く殺伐とした現代社会を生き抜いていく所存である。
 心の中に“箱根”がある限り、なんだか頑張れそうな気がするのです。

【おまけ】

 ユネッサンは前売り券がお得。
 13時から入場できる「アフタヌーンパス」は「水着入浴エリア」「元湯 森の湯」どちらも利用できて2,000円(平日の場合)。
 通常料金が3,500円とかなので、前売りで購入した方が絶対いい。
 「こりゃ~もう予約一択っしょ!」とスマホで前売り券を買おうとしたらクレジットカードの決済が終わった時に「決済が完了しました!」と同時に「予約に失敗しました」という地獄みたいなメッセージが表示され、「え、これって一方的に金を吸われただけ?」と一気に暗澹たる気持になる。
 もう一回試してみたらまた同じ結果になったので「これで計4,000円が虚空に吸い込まれたってこと? もしかしてわたくしダマされてる?」と消費生活センターに鬼電しそうになった。割引を存分に享受したいという欲望に目がくらんだ私が悪いのか?
 鬼電する前に念のためサイトで予約についてのQ&Aを確認したところ、「もし予約失敗のメッセージが表示されても、後日カード会社から返金されます」的なことが書いてあったのでとりあえずひと安心。でもここらへんのシステムに脆弱性があるのって正直どうなんだ?
 スマホがダメだったのでPCで予約したところ、今度はうまくいった。
 私をヒヤヒヤさせやがって……バカが………。
 そのときの私のすさんだ心に明らかに必要なのは温泉の癒しであったが、その時点においてユネッサンは遥か遠く離れた地にあるのであった。



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