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    時代考察/評論。形式やテーマも特に決めず、自由気ままに、さまざまなジャンルをあつかう。柄にもなく気のきいたこと書こうと頑張っている時もある。

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知識は重要ではない|自分を知ること

知っていること書こうと思っても、よくよく考えてみたらあんまりない。 そもそも「知っている」と、思い込んでいることすら、実際のところ本当に知っているかどうか、怪しい。その最たるものが「自分」ではないか。 ついこの間、ある脳科学者の本を読んでいて、問題の記述に突き当たり、しばらく悩んだ。そこには「短所は実は長所でもある」と書いてあったのだ。 ...で、ひとしきり思考してみたが、ついぞ短所も長所も分からずじまいだ。 結局この歳になっても短所すらよくわかってないことを知って情け

    • 『90年代邦楽』はなぜ懐メロにならないのか?

      いまだに「90年代」を引きずってる奴なんて、ろくでもない老害に決まってるじゃないですか。ひろゆきなんかも、あれは遅れてやってきた90年代表象みたいなものですから、最近は老害の代表格としてバッシングされてますね。ここまでいっといてなんですが、わたし自身、こころは90年代キッズなんですね、はい。パンチラを見るとおもわず「ワンダフル」って、同名のエロ深夜番組のアイキャッチ叫んでるくらいですから。元号こそ変われど、実態は昭和の最終形態だったでしょう、90年代。豊かだった時代の残り香が

      • 彦坂尚嘉論(8)

        とんでもないフロウに戦慄。美術が滅んでいく。猿でも写真を撮り、絵を描き、コドモでも現代アーティストを名乗る。そしてキチガイでも美術評論を書く、と。彦坂の怒りがスパークする。 ここで補足しておきたいが、彦坂には、藝大を筆頭とする美術業界人にありがちな、神経質なプライドの高さや、尊大にふるまって他人を貶めるというような歪んだ願望は少ない。その芸術判断の手続きが(後者のそれと同等かそれ以上に)独裁的であることにおいて、悪名高いだけである。 40歳までに彦坂は成功した美術家の仲間

        • ぬいペニボーイの憂鬱

          渋谷東口のタクシー乗り場はいつも小さなドラマが起きている。 ”彼女”と109の近くにあるウィスキーバーでしっぽりして、そのあとタクシーに乗り込んだものの、すぐに降りて、道玄坂のラブホにはいった。 ここまでは完璧だった。 ところが。彼女がゆるしたことと言えば、ソファのうえでキスをして、一緒にお風呂にはいったこと、たったのふたつだけだった。 風呂から出ると突然、それまでの彼女はスルリとどこかへ飛んでいってしまったようだ。 ソファで愛撫をしたときに、彼女のストッキングを破いてしまっ

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          人生が不安定になる理由

          禍福は糾える縄の如し 人生は不安要素だらけよって話です 以前より、社会のあちこちに棲息している「側近」稼業には用心しろと、警鐘を鳴らしているワタクシでありますが、 長年つれそったパートナー それも文字通り、物心両面で支えてくれたビジネスパートナー でも裏では「よく今までバレなかったよねぇ」というような、とーんでもねえ悪事をやらかしてた… (”善人”日本代表のイメージが秒速で熔けていく…) あー、なにも「先だしジャンケンしたからドヤ顔させてください!」的なことを言

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          ジム・オルークを聴く陰キャ高校生

          ジム・オルークの「Eureka」 このアルバム 初めて聴いたのは2000年の秋でした。 じつはその頃、小生、えぐい時期を過ごしておったんです。一歩間違えれば浜名湖の底に沈んでいたか、コンクリートの下に埋もれていたか。 いじめに恐喝にのグラグラな日々を送りながらも、なぜかポスト・ロックの金字塔「Eureka」だけはちゃっかり聴いてる。 われながら、この”聴き意地”にはあきれるというのか、かんしんするというか。 そういえば、ビョークの「ダンサー・イン・ザ・ダーク」や、映像

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          彦坂尚嘉論(7)

          …最初は名もない原っぱだった。 地図にも、記録にものこっていない場所で。わたしたちは(”たち”といっているのは、そのころは、みんなビンボーで、一緒に身を寄せて暮らしていたからだ)ただ生きるためだけに生きていた。 内心では軽蔑していても、わたしたちはただ生き残るために、エライ人のいうがまま、ふたつ返事に受け入れていた。それが、わたしたちがつつがなくくらすための唯一の方途とおもわれた。 やがて、わたしたちによく似た者が一つに集められていき、そのゲマインシャフトの意思は村から

          彦坂尚嘉論(7)

          また学校に通う|夢をかなえるということ

          先週、とある専門学校にいっていろいろ話を聞いてきた。 この2年くらいかな。なるべく週6シフトで働き、なるべく節約してきた理由は、おもにはこれであった。 「人生をやりなおす」って、いうのは簡単だけど、やるのは本当に大変である。 30代前半で脱サラをした。 あれから5年以上たった。 人生をやりなおすつもりで、いろいろ頑張ったが、ことごとく、ダメだった。 現実というやつに、バーン!と、見事にはねのけられてきた。 リーマンだった頃、ルンルンで銀座を闊歩していたが、脱サラ

          また学校に通う|夢をかなえるということ

          noteを続けるコツ、というか奥義?

          できれば楽をしたい。 たのしく書いた文章で、インプレ稼ぎたい。承認欲求を満たしたい。noteにいる人の大半が、実際そういうタイプの人なのではないかと思う。 かくいうわたしも、もちろんそうだ。 しかしかたや一方で、検索機能が発達した今日、自分と同じような方向性で、しかもはるかに次元の高いことをやってのけている人を見つけ出すのは容易になっている。 アルファ・アカウントとされている方々の記事を読んでみれば一目瞭然である。とてつもないコストがかかっているのが分かるだろう。

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          彦坂尚嘉論(6)

          現在の彦坂のスタンスをよく伝えている動画だと思った。 補足すると「嘘」といっているのは、ボイスが自説を行使していないということではなく、その掲げているところの観念そのものが「嘘」であるという意味である。 彦坂はボイス、ならびにドイツ系アーティストの最大の友・追随者としての我が邦の美術界も厳しく批判する。 ただしこの対立自体は何度も「反覆」しているものと心得るべきと思う。とりあえず20世紀に限定するが、高名なのが1934年にヴェネツィアで開催された対談「芸術と現実」で展開

          彦坂尚嘉論(6)

          だからAIに嫌われる

          【悲報】chatGPTにも無視される chatGPTに自前のテストをやらせて虐めてたら、ある日から全く反応しなくなりました。 どこが”オープン”AIなんだよ...と。看板に偽りありではないでしょうか。 私は… いや、何を反論してもむなしいですね。 AIを虐めるくらいしか使い道が思いつかなかったわたしが悪いのでしょうか。世にはAI人格権みたいなものがあるのでしょうか。 「君を傷つけていっぱい泣かせて 僕はもう眠れなくて 後悔しているのにまた繰り返す…」と b'zの名

          だからAIに嫌われる

          彦坂尚嘉論(5)

          2020年、パンデミックのさなかに、彦坂から聞かされた言葉で忘れられないことがある。ずいぶん時間が経ってしまい、仔細を完全に再現することは不可能だが、 「…これまでこの国は、あまりにも豊かだったので、世の中がダメでもなんとかなっていたが、豊かですらなくなってきて、いよいよ切羽詰まってきました」と言ったら、 彦坂が「切羽詰まることは悪いことだけではありませんね?」と”問い”を投げかけてきた。 ひとしきり思考をめぐらせた後「はい、切羽詰まるからこそ、人はより本質的な存在とな

          彦坂尚嘉論(5)

          ”わたし”が強すぎる...

          ”わたし”をもっている。あなたもわたしも。 国会議員も、エリートも。バリキャリ女子も。凡人もバカも。殺人鬼も。 みんなひとしく”わたし”である。おそろしいことである。 逆に、他人は、どのような”わたし”を欲しているのだろう? 文章のなかの”わたし”の価値に格差がある。 誰かの文章を読んでいる最中に「おまえの”わたし”なんぞしらん」と怒りがこみあげてくることがある。 「それってあなたの感想ですよね」と。 どうでもいいやつの”わたし”の文章を読むと、そう思ってしまう

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          最近のSquarepusher【定期】

          Squarepusherことトーマス(トム)・ジェンキンソン氏が4年ぶりのフルアルバム「Dostrotime」をリリースしたので、ひとまずシングルを聴いてみました。 まだ全体を把握してないので、なにかいい加減なこと書くのはひかえます。 Squarepusherのサウンドには、おおまかに、覇気がないダウナーなやつと、アゲアゲなやつ、2系統あるのですが、この「Wendorlan」を聴いた限りアゲ属性です。後半からお馴染みの怒涛の(笑)展開になります。 前々作の「Damoge

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          僕はギャルがだ~い好きなんだぁ

          うーん、このギャルと全盛期のマウス・オン・マーズとエイフェックス・ツインを足して3で割った感じ。 久々に耳にする響きだ。もう一度聞かせろ。 先日、この音源をずーっと聴いてた。トップ画面の「おすすめ」に出てきて… 正直にいうと、ようつべが「どうせ、おまえ、あれだろ、ギャルが好きなんだろ?」的なノリで動画をオススメしてくるのだ。痒いところに手を伸ばしてくるよね。 バーニラバニラバーニラ… 吾輩はですねギャルっちゅうものに、高い評価を置いとるのです。 吾輩はですねギャルを

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          彦坂尚嘉論(4)

          …むろん1969年の多摩美術大学のバリケード闘争、美術家共闘会議(美共闘)に参加し、のちに「映画批評」の松田政男の薫陶を受けた彦坂を「左派ではない」ということは、到底できない。 経歴的にも実存的にも左派である。後年、彼が語るところによると、 もっとも、ただの左派ではなく、現実主義的・行動主義的左派というべき。このことは山本太郎へのいっけん奇妙なシンパシーなどとも符丁が合う(最近の動画をチェックすると、すでに見限っている様子だが) 2020年アメリカ合衆国大統領選挙の際、

          彦坂尚嘉論(4)