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ありきたりな毎日の「どーでもいいけどかけがえのない小さな物語」を気ままに綴っています。…

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ありきたりな毎日の「どーでもいいけどかけがえのない小さな物語」を気ままに綴っています。 人生は、深呼吸。大きく吸って、ゆっくり吐いて。想いは自由に、言葉はやさしく。

記事一覧

さようなら、お父さん。

先日、母から不思議な話を聞いた。 1年半前に父が他界してから、なんやかんやあったけれど一周忌も終え、家族一人ひとりが父のことを受け止めて、それぞれの家で日常を取…

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1年前
23

ハッピーエンドで心を撃て。

誰が何と言おうと、ハッピーエンドが好きだ。 映画も、ドラマも、ハッピーエンドのものしか見なくなった。 最後に残る感情が、ほっこり幸せな気分になるものが良い。 若い…

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2年前
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ポテトサラダを捨てた日。

2週間ほど、部屋を空けていた。 久しぶりに部屋に戻った私は、冷蔵庫を開け、 家を出る前日に作り置きをしていた 密封容器ぎゅうぎゅうの山盛りポテトサラダを、 ドサッと…

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2年前
14

100本のウニと中学校の裏山

こんなにも痛いとは思ってもいなかった。 事件が起こったのは、趣味のSUPで波乗りをしているときのことだ。 動くことを良しとしない今年、どこにも行けなかった私にと…

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3年前
12

「どこでもドア」など要らない父の青春

ドラえもんの道具の中で、一番欲しいものは何か?と問われたら、 私は迷わず「どこでもドア!!」と叫ぶだろう。 行きたい場所、会いたい人のもとへ、思い立ったらすぐに行…

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4年前
15

90歳の女バーテンダー

私には、年の離れた呑み友達がいる。 「今度の12月で、わたし90歳になるのよー」って この間、受話器の向こうで愉快そうに笑っていた。 「じゃあ、盛大にお祝いしなくち…

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4年前
21

I Love You の訳し方

先日、コピーライター阿部広太郎さんのZoom講座に参加した。 コピーをつくるときの発想や、ことばの選び方などを 丁寧に資料を使って解説してくれて、あっという間の楽しい…

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4年前
16

ヤドカリ師匠

友人が最近、ヤドカリを飼い始めた。 5、6匹、ほんの1センチ程度の小さなヤドカリらしい。 友人から送られてきたヤドカリの動画を観る。なんだろう、、、 妙に心が落ち…

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4年前
12

犬なのに猫みたいな名前の犬

「おねがい!犬を飼いたいの!」 親に懇願したのは高校生のころだ。 世話することを面倒くさがる父親と、ちょこまか毎日忙しかった母親は、 だって毎日散歩できないでしょ…

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4年前
15

Hana pencilという名前

大人として生きてきて、はや何十年。だいぶ経ちますが、 実は大人向けの小説より、未だに児童文学が好きでたまりません。 冒険をしたり、魔法をかけられたり、うさぎやきつ…

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4年前
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さようなら、お父さん。

さようなら、お父さん。

先日、母から不思議な話を聞いた。

1年半前に父が他界してから、なんやかんやあったけれど一周忌も終え、家族一人ひとりが父のことを受け止めて、それぞれの家で日常を取り戻しつつある今日。

母だけが、取り残されたように、父のいなくなった家に一人で住んでいる。
今まで一度も、一人で生活したことのない母。
70歳を超えて人生初めての一人暮らしを経験している。

私たち家族は、ある意味とても変わった家族で、

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ハッピーエンドで心を撃て。

ハッピーエンドで心を撃て。

誰が何と言おうと、ハッピーエンドが好きだ。
映画も、ドラマも、ハッピーエンドのものしか見なくなった。
最後に残る感情が、ほっこり幸せな気分になるものが良い。

若い時は、綺麗ゴトみたいな結末を薄っぺらく感じていた。
人は皆、深くて奥の方に暗黒を抱えているもので、
そんな複雑な真髄をむき出しにするのがリアリティだし、
闇の美を切り取るのが文学であり、芸術だ。そう信じていた。

確かにそれは間違っては

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ポテトサラダを捨てた日。

ポテトサラダを捨てた日。

2週間ほど、部屋を空けていた。
久しぶりに部屋に戻った私は、冷蔵庫を開け、
家を出る前日に作り置きをしていた
密封容器ぎゅうぎゅうの山盛りポテトサラダを、
ドサッと流しに捨てた。
あーあ。もったいない、、、
まさかそんなに長い間、家を空けることになるとは、作った時には思ってもいなかった。

父が、旅立った。

それはあまりに意表をついた突然の連絡で
知らせを受けた時にはもう、別世界に出発した後だっ

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100本のウニと中学校の裏山

100本のウニと中学校の裏山

こんなにも痛いとは思ってもいなかった。
事件が起こったのは、趣味のSUPで波乗りをしているときのことだ。

動くことを良しとしない今年、どこにも行けなかった私にとって、
2020年ナンバーワンの事件。
いつか忘れてしまわないように、しっかりしたためておこうと思う。

どこか遠くの海で台風が発生した影響を受けて、
波は、いつもより高く、勢いがあった。
夢中になるうちに、いつの間にか潮に流され、
波が

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「どこでもドア」など要らない父の青春

「どこでもドア」など要らない父の青春

ドラえもんの道具の中で、一番欲しいものは何か?と問われたら、
私は迷わず「どこでもドア!!」と叫ぶだろう。
行きたい場所、会いたい人のもとへ、思い立ったらすぐに行ける。
タケコプターもあるけれど、ドアを開けてすぐ、
瞬間的にたどり着けるイージーさには敵わない。
物理的な移動時間をショートカットできる夢のアイテム。欲しいなあ。。。
もし持っていたら実家にも帰りやすくなるのになあ。。。と、遠く北の方の

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90歳の女バーテンダー

90歳の女バーテンダー

私には、年の離れた呑み友達がいる。

「今度の12月で、わたし90歳になるのよー」って
この間、受話器の向こうで愉快そうに笑っていた。
「じゃあ、盛大にお祝いしなくちゃ!」
それまでにコロナ騒動が落ち着いているといいけど。。。
しばらくは会いに行けそうもないから、彼女との友情を綴っておこうと思う。

出会いは、もう6年ほど前。
一時私は、リフォームの仕事をしているときがあって、
彼女の自宅

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I Love You の訳し方

I Love You の訳し方

先日、コピーライター阿部広太郎さんのZoom講座に参加した。
コピーをつくるときの発想や、ことばの選び方などを
丁寧に資料を使って解説してくれて、あっという間の楽しい時間だった。
実に新鮮。コピーの書き方、なんて十数年前に学んだっきりだ。

そのコピーワークの課題が「I Love Youの訳し方」
夏目漱石が「月が綺麗ですね」と訳したという話もあるが、
現在の私たちは、I Love Youをどう訳

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ヤドカリ師匠

ヤドカリ師匠

友人が最近、ヤドカリを飼い始めた。
5、6匹、ほんの1センチ程度の小さなヤドカリらしい。

友人から送られてきたヤドカリの動画を観る。なんだろう、、、
妙に心が落ち着き、くさくさした性根が癒されるこの気持ち。
が、しばらく見ていて、はたと気が付いてしまった。
衝撃の事実。恐れ入りました。
今から私は、ヤドカリを「師匠!」と呼ぶことにする。

自分よりも数倍大きな貝殻を背負って、
水槽内を歩

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犬なのに猫みたいな名前の犬

犬なのに猫みたいな名前の犬

「おねがい!犬を飼いたいの!」 親に懇願したのは高校生のころだ。
世話することを面倒くさがる父親と、ちょこまか毎日忙しかった母親は、
だって毎日散歩できないでしょう、と、交互に繰り返すばかりだった。

そんなある朝のこと。
玄関先の植え込みの根元に、なんと子犬が横たわっていた。
怯えたように眼だけを動かして、ぶるぶると震えている。
産まれたばかりだろうか。両掌にのるサイズの小さな小さな子犬。
私の

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Hana pencilという名前

Hana pencilという名前

大人として生きてきて、はや何十年。だいぶ経ちますが、
実は大人向けの小説より、未だに児童文学が好きでたまりません。
冒険をしたり、魔法をかけられたり、うさぎやきつねがしゃべったり、鬼が退治されたりするような。
大人になって見えなくなっただけで、小さな不思議が世の中に実はたくさん散らばっているのでは、と、独りBarでウイスキーを飲みながら想像したりしている日々です。

「Hana pencil」20

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