hanapencil

ありきたりな毎日の「どーでもいいけどかけがえのない小さな物語」を気ままに綴っています。 人生は、深呼吸。大きく吸って、ゆっくり吐いて。想いは自由に、言葉はやさしく。

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ありきたりな毎日の「どーでもいいけどかけがえのない小さな物語」を気ままに綴っています。 人生は、深呼吸。大きく吸って、ゆっくり吐いて。想いは自由に、言葉はやさしく。

最近の記事

さようなら、お父さん。

先日、母から不思議な話を聞いた。 1年半前に父が他界してから、なんやかんやあったけれど一周忌も終え、家族一人ひとりが父のことを受け止めて、それぞれの家で日常を取り戻しつつある今日。 母だけが、取り残されたように、父のいなくなった家に一人で住んでいる。 今まで一度も、一人で生活したことのない母。 70歳を超えて人生初めての一人暮らしを経験している。 私たち家族は、ある意味とても変わった家族で、 何か大事件が起こってもあまり動じることはなく、皆、冷静に状況を判断し、自分ので

    • ハッピーエンドで心を撃て。

      誰が何と言おうと、ハッピーエンドが好きだ。 映画も、ドラマも、ハッピーエンドのものしか見なくなった。 最後に残る感情が、ほっこり幸せな気分になるものが良い。 若い時は、綺麗ゴトみたいな結末を薄っぺらく感じていた。 人は皆、深くて奥の方に暗黒を抱えているもので、 そんな複雑な真髄をむき出しにするのがリアリティだし、 闇の美を切り取るのが文学であり、芸術だ。そう信じていた。 確かにそれは間違ってはいなくて、実際、やっぱりその通りで。 その後私は、人間の業や心の闇や裏の顔を、嫌

      • ポテトサラダを捨てた日。

        2週間ほど、部屋を空けていた。 久しぶりに部屋に戻った私は、冷蔵庫を開け、 家を出る前日に作り置きをしていた 密封容器ぎゅうぎゅうの山盛りポテトサラダを、 ドサッと流しに捨てた。 あーあ。もったいない、、、 まさかそんなに長い間、家を空けることになるとは、作った時には思ってもいなかった。 父が、旅立った。 それはあまりに意表をついた突然の連絡で 知らせを受けた時にはもう、別世界に出発した後だったので、 別れを惜しむようなドラマチックな展開もなく、 私はただ、目の前に流れる

        • 100本のウニと中学校の裏山

          こんなにも痛いとは思ってもいなかった。 事件が起こったのは、趣味のSUPで波乗りをしているときのことだ。 動くことを良しとしない今年、どこにも行けなかった私にとって、 2020年ナンバーワンの事件。 いつか忘れてしまわないように、しっかりしたためておこうと思う。 どこか遠くの海で台風が発生した影響を受けて、 波は、いつもより高く、勢いがあった。 夢中になるうちに、いつの間にか潮に流され、 波がブレイクする危険なスポットに。。 私の頭上を遥かに超える波が、息つく暇なく襲いか

          「どこでもドア」など要らない父の青春

          ドラえもんの道具の中で、一番欲しいものは何か?と問われたら、 私は迷わず「どこでもドア!!」と叫ぶだろう。 行きたい場所、会いたい人のもとへ、思い立ったらすぐに行ける。 タケコプターもあるけれど、ドアを開けてすぐ、 瞬間的にたどり着けるイージーさには敵わない。 物理的な移動時間をショートカットできる夢のアイテム。欲しいなあ。。。 もし持っていたら実家にも帰りやすくなるのになあ。。。と、遠く北の方の空を見上げる。 正月に帰省した際、父がポスターのようなものを抱えてきた。 広げ

          「どこでもドア」など要らない父の青春

          90歳の女バーテンダー

          私には、年の離れた呑み友達がいる。 「今度の12月で、わたし90歳になるのよー」って この間、受話器の向こうで愉快そうに笑っていた。 「じゃあ、盛大にお祝いしなくちゃ!」 それまでにコロナ騒動が落ち着いているといいけど。。。 しばらくは会いに行けそうもないから、彼女との友情を綴っておこうと思う。 出会いは、もう6年ほど前。 一時私は、リフォームの仕事をしているときがあって、 彼女の自宅のお風呂の改修工事を担当したことがきっかけだ。 会社に行きたくなかった私は、現場

          90歳の女バーテンダー

          I Love You の訳し方

          先日、コピーライター阿部広太郎さんのZoom講座に参加した。 コピーをつくるときの発想や、ことばの選び方などを 丁寧に資料を使って解説してくれて、あっという間の楽しい時間だった。 実に新鮮。コピーの書き方、なんて十数年前に学んだっきりだ。 そのコピーワークの課題が「I Love Youの訳し方」 夏目漱石が「月が綺麗ですね」と訳したという話もあるが、 現在の私たちは、I Love Youをどう訳しますか。というもの。 5分間で考えて、一斉にチャットに投稿。。 秒単位で次々

          I Love You の訳し方

          ヤドカリ師匠

          友人が最近、ヤドカリを飼い始めた。 5、6匹、ほんの1センチ程度の小さなヤドカリらしい。 友人から送られてきたヤドカリの動画を観る。なんだろう、、、 妙に心が落ち着き、くさくさした性根が癒されるこの気持ち。 が、しばらく見ていて、はたと気が付いてしまった。 衝撃の事実。恐れ入りました。 今から私は、ヤドカリを「師匠!」と呼ぶことにする。  自分よりも数倍大きな貝殻を背負って、 水槽内を歩き回る姿は、なんともユーラスでかわいらしい。 その貝殻、さぞや重かろうに。じっと

          ヤドカリ師匠

          犬なのに猫みたいな名前の犬

          「おねがい!犬を飼いたいの!」 親に懇願したのは高校生のころだ。 世話することを面倒くさがる父親と、ちょこまか毎日忙しかった母親は、 だって毎日散歩できないでしょう、と、交互に繰り返すばかりだった。 そんなある朝のこと。 玄関先の植え込みの根元に、なんと子犬が横たわっていた。 怯えたように眼だけを動かして、ぶるぶると震えている。 産まれたばかりだろうか。両掌にのるサイズの小さな小さな子犬。 私の手のひらにつたわる鼓動。ぬいぐるみじゃない、命のぬくもりだ。 ミルクティーみたい

          犬なのに猫みたいな名前の犬

          Hana pencilという名前

          大人として生きてきて、はや何十年。だいぶ経ちますが、 実は大人向けの小説より、未だに児童文学が好きでたまりません。 冒険をしたり、魔法をかけられたり、うさぎやきつねがしゃべったり、鬼が退治されたりするような。 大人になって見えなくなっただけで、小さな不思議が世の中に実はたくさん散らばっているのでは、と、独りBarでウイスキーを飲みながら想像したりしている日々です。 「Hana pencil」20年前から密かに使っていたこのペンネームは、「はなさかじいさん」に由来します。 良

          Hana pencilという名前