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【エッセイ】鉄鍋蒸し焼き〜聖護院かぶ(しょうごいんかぶ)〜[家庭料理](1320文字)

お友達の農家さんから購入した、聖護院かぶを鉄鍋蒸し焼きにしました(1月下旬)。

かぶは、アブラナ科アブラナ属の越年草の根菜の一つで、アフガニスタン原産のアジア系と、中近東から地中海沿岸原産のヨーロッパ系があり、別名はカブラ・カブナ・カブラナ・スズナ(鈴菜・菘)・ホウサイ(豊菜)・ダイトウナ(大頭菜)等と多く、春の七草の一つです。

肥大化した根の部分・茎・葉を食用にします。

聖護院かぶは、かぶの一品種で、京野菜・京の伝統野菜・ブランド京野菜。

根径15cm・高さ12cmほど、大きいものだと2〜5kgにもなる日本最大級のかぶです。

根が腰高偏円形で、葉付き部にくぼみがあります。

根の表皮は、白く滑らかで艶があり、肉質は、緻密で柔らか、味は、上品で甘味の多いかぶです。

早生種は、根の葉付き部のくぼみが深く、偏円形で、品質も優秀、晩生種はくぼみが小さく、横づち型で、京都の名産の千枚漬け用に重宝されているようです。

聖護院かぶは、享保年間(1716~1736)に、現在の京都府京都市左京区聖護院に住む農家が、現在の滋賀県大津市堅田の近江かぶの種子を持ち帰って栽培したものを改良したものだそうです。

千枚漬けは、天保年間(1830~1844)に、聖護院かぶを原料として漬物に加工したものだそうです。

聖護院かぶは、千枚漬けの材料の他には、かぶら蒸し・鯛かぶら・ふろふきに使われ、煮物・汁物・酢の物・漬物・サラダにも合うようです。

さて、調理です。

直径22cmの鉄鍋の内側に、オリーブオイルをたっぷり垂らして、葉付き部を下にして、半分に切ってから、切った断面を下にして、葉付き部と垂直に1.5cm幅に切った、聖護院かぶを並べ、赤穂の天塩を振り、鉄鍋の蓋をしました。

鉄鍋を強火で熱して、パチパチ音がしてきたら、弱火にして、33分間、火にかけました。

華やかな、かぶの焼ける良い匂いが漂ってきました。

火を止めて、5分間蒸らして、できあがり。

聖護院かぶの外側は乳白色、内側は半透明になって、やや凹んでいました。

油がよくまわって、艶々して、美味しそうです。

というわけで、盛り付け。

お味は。

とても美味しかったです!

噛むと、こってりした赤かぶよりも爽やかでまろやかな、コクと旨味がじんわりと、品の良い甘味と合わさり、淡いスパイスのような香りとともに、口の中いっぱいに広がりました。

皮は、普通のかぶと変わらず、皮の内側は、皮から5mmほどの厚さのところが硬く、歯応えと苦味があり、その内側は、水気が多く、柔らかくて溶けるようで、爽やかな甘味があり、口の中の聖護院かぶは、噛むほどに、丸っこく、しゃりしゃりと小さくなっていきました。

「美味しいね!」
と私。

「美味しいね!」
と夫。
「おでんのよく煮たはんぺんみたい。でれっとした塊。好き」

その後、2人とも黙々と食べて、あっという間に平らげてしまいました。

ただ、食べながら思いました、聖護院かぶの鉄鍋蒸し焼きは美味しいですが、水月聖護院大根が、鉄鍋蒸し焼きよりも蒸し器で蒸すほうが美味しいように、聖護院かぶにも、もっと美味しい食べ方がありそうです。

聖護院かぶの鉄鍋蒸し焼き、とても美味しかったです。

ありがとう、ごちそうさまでした!

天野マユミ

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