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Amu
2024年8月14日 11:54
「鎮魂夏」掠れゆく記憶のなか微かに残る色彩ゆらめいて愛されていたあい重なる歌声が痛みに変わるその刹那に戸惑う浜の風捜している水平線に見えては隠れるふたり浮かびあがった白砂の囁き悪戯な陽のひかり握りしめた瞳で海へと鎮めていく
2024年8月9日 19:36
「夏夜に眠る」切ない夜がひとつ減っただけ耳もとから潜りこんだ噂好きな風のお喋りに俯く咲かない花に寄り添った強がりが転がり落ちて心の臓を叩いた刹那に隠した君への想いそびれになった夏夜の独り言切ない夜がひとつ減っただけ今夜、逢えない夏がひとつ過ぎていく
2024年8月8日 10:49
「ちぎれ雲」ふたえ重なり伸びゆく影法師途切れた音に溢れるしずく見あげる青には忘れた頃のその名残のようなちぎれた雲に吹かんすな……迷い子ごとく差しだす右の手腫らす涙は赤子のようで遠い夏、あぐんだ風を此処にあつめて
2024年8月6日 21:17
「旅のおわり」夜にとける既の強がりがふわり音に寝転んで流れはじめた見失いそうになった月あかり雲の隙間から溢れ落ちる悪戯好きな星くずの吐息に擽って降り始めた雨に満たされていた古より聴こゆ懐かしい痛み幾度となく繰り返してきたはずの旅のおわり、ため息を閉じこめた時の欠片
2024年8月3日 16:48
「夏まつり」ゆらゆらと游ぐ金魚すくいの空まるで笑顔みたいなまん丸の瞳に僕は釘付けになってしまったお姫様をさがしているんだ鼻歌まじりなあの頃のお喋りおおきな空にちいさな波がたつとおくに聴こえる祭囃子が子守唄のように気泡に溶けた僕なら此処にいるよ精一杯に伸ばした指さき真夏の夜に向かってまっすぐな……
2024年8月1日 19:37
「尽きんもの」遠まわりを選んだリアスな潮風嘘みたいな本当の話の横顔は心なしか、いつもの其れとは違ってみえた繋ぎあわせて君がみつめる空を創りあげる其処に輝く星たちを想像しながらたった一枚手もとに残された古い写真消えることのない海の記憶と尽きること、それを知らないあの頃の俤ゆれて
2024年7月28日 01:53
「旅先の夏にて」夏の真似事をした坂道のさき潮の薫りよりも強い瞳の向こう側にモノクロの優しさがうずくまる下りかけた言葉の尻尾をつまんでひょいと掬いあげ微笑むと僕は選ばれたから此処にいるそう言って君は僕を抱きしめた水割りを頭から浴びるような夜物言わぬ背中に時を重ねた愛だとか、恋だとか例えば悲しい物語だとしても確かに其れは僕のためだけに書かれた小説だった
2024年7月24日 18:08
「祈り」透け見ゆような心もとなげ必ずだとか永遠ほどに哀しく聴こゆもの他にはなくて下手くそで佳い否、それがいいのだと小指の代わりに絡めんやひとつとして要らぬ糸はなしきみへと繋がる祈り揺れのぼる静穏なる想いたち
2024年7月22日 18:24
「潮風と星のすな」分かたれた南の海と夜の空瓶詰めされた潮風と星の砂があの娘の腰に揺れている誰が悪いとかじゃないあのね、季節が違っていたんだよせめぎあうみなもの小さな子供たち浜辺には恋を知った歌うたいほら、誰かのために今日も明日を弾き語っているよ
2024年7月20日 15:21
「きみが里」空に去りゆく影法師海へと飛びたつ鼻の唄ほ、ほっ……ほたるの里すぎ見知らぬ土地ぞやそちらの水は甘いであろうか寂しくなったら還っておいでといつぞの優しい夢をみるほ、ほっ……ほら視てごらんよあの日の景色そちらの暮らしは如何なるものか風は、想いを運んでおるか
2024年7月19日 14:36
「夏のうた」蝉の声を貼りつけた空が寂しいさみしいと鳴いていた誰よりも激しい太陽は薄化粧の山で君をさがしている吐きそうなほどの我が儘と狂いそうなほどの愛おしさが泳ぎを忘れた人魚みたいに白の砂浜にうちあげられていた聴こえない、いちばん逢いたいひとにこの夏を届けたいと海鳥はうたう
2024年7月17日 14:12
「祈り星」噛られた空に浮かぶ月夜を紡ぐ白い風の足どり朧に追いかけ見つめるその先に名のない星座を貼りつけながら知っているそこに名前をつけたなら風は空には居られないこと濡れた朝の霧のように堕ちて地球へと還ること
2024年7月14日 12:31
「かの國」伸ばした指さきすり抜けゆく風の影追い果てたどるや薄紅の微睡みに抱かれて健やかであれ唄い流れる水の音懐かしさに類義した温もり愛しさと名付けて
2024年7月11日 17:05
「微睡みに繋いで」何もない空に朝がやってくる瞳のまえに広がるきっと淡いであろう赤子のみどり産声をあげたひかりの匂いそれは素足の心にくすぐったいを教えてくれる背から絡みつくまるでカフェモカのような温もりと何もないはずの空に手を伸ばす微睡み……昨日より、きょう今日よりも明日なんだって違うよ深い眠りにつく前に僕たちは誰よりも何よりも、ふたり