私が読んで心が動いた素敵な投稿をご紹介します。忙しい日々の中、心が動く瞬間減っていませんか。
そんな時
こちらのマガジンを覗いてみませんか?
心が震えるようなnoterの言葉
味…
- 運営しているクリエイター
#エッセイ
<六ヶ国語を操る華僑のゲイ>、だけでは収まりきれない「何か」がある
その男とは1年前にここスマランで知り合った
わたしが週末にひとりでよく通う、歴史地区のBAR&BISTROの<SPIEGEL>でのカウンターでのことだ
1895年にこの場所で開店したオランダ・コロニアル調の、巨大な円形の店内
石造りのどこか、古い図書館を思わせる中央カウンターで、本を読みながらビンタン・ビールを飲んでいると、いくつかスツールを空けた左隣から、その男に、こう話しかけられた
家庭訪問先でステーキを食べて泣いた話。
「さあさ、もう焼き上がりますんで。」
玄関で靴を脱いでいると、にこやかにそう言われた。
もう、焼き上がり、ますんで・・・?
漂う焼けるお肉の、暴力的なまでにそそられるいい匂い。お昼に食べた給食はすっかり消化し終えている。ほどよく空っぽの胃が、物欲しげにきゅるきゅる動く。
・・・ちょうどご夕食の準備中だったのだろうか。タイミングが悪くて申し訳ない。早くお暇しなければ。
そんなことを考えながら、