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GREEN MIST【短三編・了】
(三)
すぐに塗り替えられていた筈の二人の日常は、倦怠の週を超え続けた。
彼女はどこへ行くとも言わずに出掛け、何日か経つと、手ぶらで帰宅した。
僕はそれまでの自分のリアクションの全てが、
彼女に帰結し、楽な刺激として揶揄していたのだと分かった。
外は肌寒さを越えて、冬の支度を思わせ始めた。
たとえ穏やかでも、ずっとライトだった僕らの関係は、
重苦しい季節に段々と飲み込まれて、まるで往年の恋人同
GREEN MIST【短三編・二】
(二)
ある日、彼女はこんな事を言い出した。
もし世界が終わる瞬間に、
まだ二人が一緒にいたら、その時は思いきり笑って終わらないかと。
僕は、仮想世界での、薄くも濃い時間を終えたばかりだったのもあって、いつにも増して、ぽっかりと口を開いていた。
自分の台詞のせいじゃない、とでも言うかのように、
彼女は、突き刺した漆黒の一切れを、僕の口の中へ入れた。
それはいつになく、苦みが残り、やや焦げてもいた
GREEN MIST【初・小説投稿/短三編】
(一)
静かな暮らしが続いていた。
二人の時間、穏やかな午後。
彼女の焼く焼き菓子。
それにはいつも、ミントが使われた。
僕らはそれをカフェインで流し込んだ。
夜は眠り、朝は絡み合って、順番に身支度をした。
二人の興味は違っていた。
着る服も、聴く音楽も、好きな果物も。
行きたい場所も、懐かしい場所も、嫌いな場所も正反対だった。
だけど、人生の考え方は同じだった。
初めて出会った時、その目はと
そうだよ。この気持ちは
いつだって、僕を掻き立てる
いつだって、僕を奮い立たせる
虹の彼方なんてない
拳の先に感触もない
いつだって空がある
月がある
けど太陽は焦がすんだ
いつだって、僕の信念を
だけど、この気持ちは消えない
心が透き通る
誰かを思う
様々な瞳の色を
その中に君がいたり、いなかったり
GREEN MISTの向こうに、君は消えてしまった
片道の停止線を突っ切って
最後に僕を見た瞳には、僕の知らない色
飛んで火に入る夏の。【#あの選択をしたから/参加記事】
※ここでいう子猫とは、いわゆる子猫ちゃんの意ではないです。
・吾輩は子猫である(三つ目の選択から書く)
あの頃の私は、人じゃなかった。
猟奇的とか、サイコパス的な意味ではない。
どこにいても、誰と話していても、小さい小さい子猫だった。
成人してからの私は、行動だけは大胆だった。
自由を求めていたし、当時は家庭という檻から逃げたい一心だったから。
どこかに辿り着いても、安心を得られなければ、すぐ