悩める人 来たときには その首はもがれていた それさえも気づかずに 見開いた眼は 分かれた肢体を見つめていた 床の上の薔薇は 赤い唇で微笑した 日々の暮らし 君は…
吹く風に 行き先尋ね路地裏向う 足、足、足 鋭く睨む 逆さま頭のとんがりお耳 猫、猫、猫 にわかに現れ瞳孔に夜灯る 標識の矢印が回転する摩天楼 壊れた音のラッパの調…
春だよ、春だね、春ですね 一面に咲いた 菜の花たちが 風にゆられて 奏ではじめる わらべ歌 春だよ、春だね、春ですね 小川の流れ 鱗粉浮かべ 水面またたき 調べ…
私たちは確かに約束されていた 見渡す限りの猛炎の中 天の底が抜けたような雨の中 それは紡がれる糸のように つづれ織りからなる眼下の光景に結ばれる 海は覚えている 深…
街に、画面に、言葉に 愛している 会いたい 大好きは氾濫するのに いつまで経っても 世界は冷え切ったままだった 真相を確かめるべく 重い腰を上げた酒場の警官 千鳥足で…
寝台の上の電球と 博士の異常な眼鏡 燦然と婚約いたる ぎらぎらぎらり たなびく旗の裏の顔 天井桟敷の表顔 奇跡の出会…
春の淀みに駆り立てられる焦燥よ 麗らかさを裏腹に惑わす季節よ 香水に浸された銀色のナイフよ 瞬く間に地上の蕾を切り裂き 一変に花は開く 気もそぞろな人々が 一斉に歓…
私のちいさく迷い気な手は 温かくたしかな母の手をとり 午後の渚を歩いていた ※ 寄せては返し高鳴る海が 弾けたソーダ水のように 辺りを浸す 黄色い声で…
鈍重な暗い幕の隙間から 滑り落ちる陽の手に触れられ 長い夢見心地の童話は終わりを告げた 予感めいた蕾をつける梅の枝 待ちわびるその姿は 幹のうねりを止め 一心に血管…
弓なりにすすむ船はゆく きらきら輝く水平線 その先の僕らの生活へ 旅する人 働く人 悲しむ人 笑う人 ずっと続く僕らの日常 船は物を運ばない 知らない毎日を運んでいる …
値札をつけたがる弁護人 汚れた川に浮かぶ生活の切り貼り 思いのない焦燥を訴える偽装 混じり気のない綺麗な欲の色 恍惚と人の血に映る自分をみつめる 物事は簡潔さが明確…
人は太陽を模倣し光を得たんだ 幼い頃は母親を起こすほどに怖かった 真っ暗な夜も 今では明かりをつけるとまるで昼間のよう 人は太陽の光から知恵を授かったんだ 光は照ら…
この思いは 燃え尽きる感情です それとも 憧憬の追憶です であるならば 逃れきれない私です ※ 夜明けを知らせる小鳥の翼 水面に照らされる朝の光 無限の…
私から吐き出される 言葉の生前の記憶は 怒りだ 嘆きだ 軋轢だ 確執だ 焦燥だ 衝突だ 軽蔑だ 嘲りだ 冒涜だ 呪いだ 幻滅だ 破滅だ 破壊だ 限界だ 無知だ 裏切りだ…
流水航己
2024年2月10日 07:13
悩める人来たときにはその首はもがれていたそれさえも気づかずに見開いた眼は分かれた肢体を見つめていた床の上の薔薇は赤い唇で微笑した日々の暮らし君はまだいたのかい?問い合わせ先からの問い合わせタッソーその道は危険だよ薄明かりに照らされて闇雲に手を伸ばし僕は上昇を試みながら下降した亀裂の先へ堕ちていた俺の知らない時代であの時は質量、熱量、重力、逆光尚も
2023年4月20日 05:26
2023年4月16日 03:48
吹く風に行き先尋ね路地裏向う足、足、足鋭く睨む逆さま頭のとんがりお耳猫、猫、猫にわかに現れ瞳孔に夜灯る標識の矢印が回転する摩天楼壊れた音のラッパの調べにとぼけた青色バケツの酸えた匂い打ち上げられた体と残飯まみれの菜根譚鈍い光を放つ宝石の中に道化師がうっすら映るうすら笑い交わされた約束と破られた幼な写真街の隅で語られる会話嘘も真も入り交じるきらびやか鈍色
2023年3月30日 06:15
春だよ、春だね、春ですね一面に咲いた 菜の花たちが風にゆられて奏ではじめる わらべ歌春だよ、春だね、春ですね小川の流れ 鱗粉浮かべ水面またたき調べにつれて 時移る春だよ、春だね、春ですね母のもとへと 駆け寄る子どもまるで花束腕いっぱいに 抱きしめる菜の花が 風にゆれ菜の花が 風にゆれ在りし日のいつかだれかの わらべ歌春だよ、春だね、春
2023年3月24日 04:09
私たちは確かに約束されていた見渡す限りの猛炎の中天の底が抜けたような雨の中それは紡がれる糸のようにつづれ織りからなる眼下の光景に結ばれる海は覚えている深く神秘に満ちた水あらゆる秘密に満ちた胎動大きな揺り籠の中の揺らめき望まれた極めて有機的な原初の煌めき霊気に満ちた息吹きが織りなすすべてはあるがままに抱かれる森は見ている赤褐色に熟れた無花果がなる季節木陰の下で古の箴
2023年3月22日 14:12
街に、画面に、言葉に愛している会いたい大好きは氾濫するのにいつまで経っても世界は冷え切ったままだった真相を確かめるべく重い腰を上げた酒場の警官千鳥足で事情聴取へそれ以来戻ることはなかった囚われた愛は少年刑務所の夢の中幸せに服役している今宵も失われた世界は恋をする
2023年3月9日 03:04
寝台の上の電球と博士の異常な眼鏡 燦然と婚約いたる ぎらぎらぎらりたなびく旗の裏の顔天井桟敷の表顔 奇跡の出会いこれ幸い どきどきどきり目玉を落した瞳の奥に夜空に落ちた流れ星 失われたものも気づかずに きらきらきらり すかさずに 星に願いを いっぱい祈り
2023年3月4日 09:28
春の淀みに駆り立てられる焦燥よ麗らかさを裏腹に惑わす季節よ香水に浸された銀色のナイフよ瞬く間に地上の蕾を切り裂き一変に花は開く気もそぞろな人々が一斉に歓喜をあげる期せずして街はその強い香りに酩酊するその不気味さその狂乱つきまとう春の妖しいその胸騒ぎ桜の大樹は見せ物のように待ちわびた見物人たちが取り囲みさも珍しそうに人だかりがしていた奇怪にくねらす老木の枝先には
2023年2月27日 20:21
私のちいさく迷い気な手は温かくたしかな母の手をとり午後の渚を歩いていた ※寄せては返し高鳴る海が弾けたソーダ水のように辺りを浸す黄色い声で鳴く海鳥が青い空をどこまでも高く翔けていく見渡す限り続く浜辺の上で両手にすくった銀の砂指と指の間からこぼれてはさらさらと光をなして流れていく変わることのない潮の香り刻まれる二つの影交差しながら揺れ動く
2023年2月23日 05:12
鈍重な暗い幕の隙間から滑り落ちる陽の手に触れられ長い夢見心地の童話は終わりを告げた予感めいた蕾をつける梅の枝待ちわびるその姿は幹のうねりを止め一心に血管をみなぎらせる今にも折れそうな毛細な枝の隅々にまで血を行き渡らせ淡い紅色に染めあげる街の戸口は開かず空に轟く鐘の音はまだ鳴らない風向きは以前として北をさし遠くの山には濁った雪を残す訪れを告げる梅の花あたり一面
2023年2月19日 08:19
弓なりにすすむ船はゆくきらきら輝く水平線その先の僕らの生活へ旅する人 働く人悲しむ人 笑う人ずっと続く僕らの日常船は物を運ばない知らない毎日を運んでいるいっぱいの思いを乗せている夜、うねる海は真っ暗で打ちつける高い波は教えてくれる自然の言葉と厳しさをされど船はゆく僕らを乗せてどこまでも放たれた矢のように思いは闇夜を貫いて==================
2023年2月11日 11:13
値札をつけたがる弁護人汚れた川に浮かぶ生活の切り貼り思いのない焦燥を訴える偽装混じり気のない綺麗な欲の色恍惚と人の血に映る自分をみつめる物事は簡潔さが明確な力をもつ肝心なのは魅せることで見せないこと死へと誘う確かな眼のドローン駆り立てる回転パネル住み家を隠す提供者ええ、見返りはいりません喜んでいただければ幸いですからもはや人は歌うことをやめましたもはや人は見るこ
2023年2月5日 10:24
人は太陽を模倣し光を得たんだ幼い頃は母親を起こすほどに怖かった真っ暗な夜も今では明かりをつけるとまるで昼間のよう人は太陽の光から知恵を授かったんだ光は照らす見えることと見えないことを見えないことは知恵で照らすことを教えてくれたんだ太陽はすべてを明るみにさらす人権や宗教は太陽からできたんだ本来の人の内なる祈りを照らす良心の結晶は光への憧れなんだなのになぜ争いは絶えない
2023年1月29日 01:25
この思いは燃え尽きる感情ですそれとも憧憬の追憶ですであるならば逃れきれない私です ※夜明けを知らせる小鳥の翼水面に照らされる朝の光無限の闇に浮かぶ星の瞬きこの目でこの耳でこの肌で収れんされる形なきもの五感を越えて重力を解き放ちたしかな導きにいたる ※前触れなく光に射抜かれた慄える内感憧れがノスタルジアの空に溶けていく鳩の群れ
2023年1月28日 00:15
2023年1月21日 14:46
私から吐き出される言葉の生前の記憶は怒りだ 嘆きだ軋轢だ 確執だ焦燥だ 衝突だ軽蔑だ 嘲りだ冒涜だ 呪いだ幻滅だ 破滅だ破壊だ 限界だ無知だ 裏切りだ無作法で 不愉快な身に余る混沌だそんなものすべてが散りばめられた愛へ向かう悲しい矛盾に冷たくなりながら振り向くことができない私に気がつくと優しく降る雪が足跡を残してくれたクリスマスの夜だった誰もいない静かな