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【詩】 末路

値札をつけたがる弁護人
汚れた川に浮かぶ生活の切り貼り
思いのない焦燥を訴える偽装

混じり気のない綺麗な欲の色
恍惚と人の血に映る自分をみつめる
物事は簡潔さが明確な力をもつ
肝心なのは
魅せることで見せないこと

死へと誘う確かな眼のドローン
駆り立てる回転パネル
住み家を隠す提供者

ええ、見返りはいりません
喜んでいただければ幸いですから

もはや人は歌うことをやめました
もはや人は見ることをやめました
もはや人は聞くことをやめました

荒野に放たれた獣の群れは
夜風に怯え
寄り集まり
見上げる空から降る啓示を待つのです

三日月の夜
どこからともなくやってきた
仕掛け杖をもつ黒帽子の紳士
床をコツコツ叩き
群れは一列をなしてついていく

額の汗と瞳の涙で道は閉ざされる
耳元の囁きに手足は拘束される
気づくと檻の中の獣になる

無機質な食事は配膳された

この世の幸せは
わずかなものに感謝をささげ
酔いとともに憂いを飲み干す
皆で祝杯をあげる
檻の外にいる迷い人に向けて
群れは一斉に石を投げ
勝ち誇るように正義を謳う

煙草を燻らす紳士は
吸い終えると
杖は鎌となり
暗い影を落として
煙の中に消えていく

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