マガジンのカバー画像

素敵な記事・参考したい記事

15
運営しているクリエイター

記事一覧

第14回「本を売る」ことに魅せられて

第14回「本を売る」ことに魅せられて

 2004年(平成16年)5月、どうすれば大手出版社を攻略できるのか?僕は真剣に考えていました。そもそもの話として、中小書店が出版社を訪問しても、なぜ門前払いなのか。門前払いと書くと、ちょっと大袈裟に聞こえるかもしれませんが、実際にアポがないと会えません。或いは、応接室に通されても「何をしに来たのですか?」「目的はなんですか?」
こうした出版社の高圧的な対応は、過去の書店が行ってきた行為に起因があ

もっとみる
翻訳者がAI時代を生き残るために聴いておきたいVoicy放送5選

翻訳者がAI時代を生き残るために聴いておきたいVoicy放送5選

AI時代に翻訳者としてどう生き残っていくか

これは私がここ数年考えているテーマの1つです。

同じような思いを抱いている翻訳者のかたも結構いるのではないかという仮定のもと、解決のヒントになりそうなVoicy放送を5本、放送日の新しい順にまとめて掲載しておきます。

タイトルを見てピンときたものを是非、聴いてみてください。(一部有料放送も含まれます。)

新しいホワイトカラーと新しいブルーカラーの

もっとみる
翻訳者と心理学者が読むシェイクスピア

翻訳者と心理学者が読むシェイクスピア

『決定版 快読シェイクスピア』 河合 隼雄 (著), 松岡 和子 (著)(新潮文庫)

シェイクスピア翻訳者の松岡和子と心理学者の河合隼雄の対談集。シェイクスピアは人間観察も鋭く心理学者並の知見を持っていたとか。また言葉遊びはフロイト以前のフロイディアンと本国では言われているそうで、言い間違いもセックスに関連付けたものが多いとか、興味深い話が聞ける。

ジュリエットが14歳でハムレットが30歳、リ

もっとみる
Q1:翻訳者ってどうやってなるの?

Q1:翻訳者ってどうやってなるの?

本稿執筆時点でキャリアが浅いので、私自身はあまり聞かれたことがないのですが(笑)、まずはこの質問から連載開始します。
さて、翻訳者は資格があるわけではないので、「こうすれば必ずなれる」という答えはありません。翻訳学校や翻訳の通信講座は世の中にたくさんありますが、残念ながらこれらを修了しても必ずなれるというものでもありません。以下、私が翻訳者になった経緯を、なぜこの道を選んだのかわかるように書きます

もっとみる
アメリカの出版市場と「夢」への挑戦

アメリカの出版市場と「夢」への挑戦

サンマーク出版は50名ほどの少数精鋭ながら、海外でビッグヒットを飛ばしていることで知られています。

こんまりさんの『人生がときめく 片づけの魔法』、故・稲盛和夫先生の『生き方』、そして川口俊和さんの『コーヒーが冷めないうちに』などは、世界の出版市場で注目されてきました。

先日、ロンドンのブックフェアから帰ってきたばかりのある出版社の方とお会いした際、彼にこんなことを言われました。

「向こうの

もっとみる
【企画の秘訣】敏腕編集者から聞いた企画の立て方

【企画の秘訣】敏腕編集者から聞いた企画の立て方

企画の立て方。
 
これは、20年前にきいた、
ベストセラーを何度も出していた
書籍編集者から聞いた秘訣です。

20年たっても、
今も忘れないのは、
余りに唸らされたから。

その先輩は、
あの池上彰さんがまだ
NHK局員だった頃から口説いて
書籍を書かせた敏腕編集者でした。

ああ、
企画の立て方の秘訣でしたね。
用意するのは、
2つの単語カード。
ただの真っ白な単語カード。

その一つには、

もっとみる
出版界の多様性は大丈夫でしょうか?

出版界の多様性は大丈夫でしょうか?

山川方夫(まさお)という作家を
好きになったら、
同時代に同じくらいマイナーな
野呂邦暢(くにのぶ)も目に止まり、
これまた好きになりました。

山川方夫は、1930年に生まれ、
1965年に交通事故で急逝した、
とある。享年34。
あまりに早い旅立ちですね。

こうした、いい作家なのに、
時代のせいか、
何か他のせいか、
マイナー作家になり、
なせか一般的な知名度はなくなる。
クオリティはとても

もっとみる
手元に置き続けたい、最高の3冊

手元に置き続けたい、最高の3冊

こんにちは。Jessie -ジェシー- です。

トランクひとつの本私は本が大好きであると同時に、できるだけ持ち物を少なくしておきたいシンプリスト。

最近、図書館を「自分の巨大な本棚」と捉えて活用するミニマリスト的な認識を自分のものにしつつあります。

一方で、お気に入りの、どうしても手放したくない本も存在します。基本的に本は好きですから。

「モノは少なく」「お気に入りのモノは大切に」を両立す

もっとみる
職人技を盗む話。

職人技を盗む話。

さて、ピカーンと閃いたといっても、なにも斬新な方法を思いついたわけではありません。それまで翻訳家の方々から「自分だけの辞書を作成している」というお話をうかがうたびに、エクセルでマイディクショナリーを作りはじめては尻切れとんぼ──というパターンを繰り返していたんですが、新しいシートに、気になるところの下訳上訳対照表を作成してみようと思ったのです。あとで検索をかけられるように原文つきで。それなら辞書と

もっとみる
本を読む仕事

本を読む仕事

翻訳者(とくに新人の翻訳者や翻訳志望者)には、原書を読んであらすじをレジュメにまとめる〝リーディング〟という大切なお仕事があります。

2週間程度で、1冊の原書を読み、5~7ページのレジュメを作成する

というのが標準的な感じでしょうか?

レジュメには、登場人物、あらすじ、感想、原書や著者の情報、レビューやランキングの紹介、類書などを書き込みます。

版元さんは原書そのものを評価するために依頼し

もっとみる
トランプ、クリントン、ビル・ゲイツ、英王子、MIT、ハーバード、法曹界……世界中の「持てる者」を巨万の富と頭脳で魅了した男は、10代の少女たちを異様な性犯罪システムに絡めとっていた――『ジェフリー・エプスタイン 億万長者の顔をした怪物』3/10発売

トランプ、クリントン、ビル・ゲイツ、英王子、MIT、ハーバード、法曹界……世界中の「持てる者」を巨万の富と頭脳で魅了した男は、10代の少女たちを異様な性犯罪システムに絡めとっていた――『ジェフリー・エプスタイン 億万長者の顔をした怪物』3/10発売

NYタイムズベストセラー!
米国ペンクラブ賞、ヒルマン賞 他 多数受賞のシリーズ記事を再編。現在進行形の事件を追った、衝撃のルポルタージュ!

株式会社ハーパーコリンズ・ジャパン(本社:東京都千代田区、代表取締役:鈴木幸辰)は、全米ベストセラーのルポルタージュ『ジェフリー・エプスタイン 億万長者の顔をした怪物』(ジュリー・K・ブラウン著/依田光江訳)を2022年3月10日に刊行いたします。

未成

もっとみる
「毎日のあたらしい料理」 初のレシピ本が出版されるまでのこと。

「毎日のあたらしい料理」 初のレシピ本が出版されるまでのこと。

「どうやって出版って決まるの?」

初のレシピ本「毎日のあたらしい料理 いつもの食材に「驚き」をひとさじ」が2月16日に発売されます。

友人たちに報告すると、聞かれることが多い質問。
私にも、どうやって本が出版されるのか、見当がつきませんでした。

2020年、新型コロナウイルスの感染拡大により「外出自粛」の日々が始まりました。カメラマンである夫の仕事も軒並み中止。私の料理教室も閉鎖。この生活は

もっとみる
【試し読み】『スクリーム』(カリン・スローター/ 〈ウィル・トレント〉シリーズ)

【試し読み】『スクリーム』(カリン・スローター/ 〈ウィル・トレント〉シリーズ)



スクリーム
カリン・スローター[著]
鈴木美朋[訳]

プロローグ 

ベッキー・カタリノは、寮の共用冷蔵庫のなかを薄暗い奥のほうまで覗きこんだ。苛立ちながら食べ物のラベルに目を走らせ、自分が書いたイニシャルを探した──カッテージチーズでも、クラッカーとハムとチーズのランチャブルでも、冷凍ピザのベーグル・バイツでもヴィーガン・ソーセージでも、この際、人参スティックでもなんでもいい。
 KPはカ

もっとみる
【試し読み】アウシュヴィッツを描いた少年 僕は銃と鉄条網に囲まれて育った

【試し読み】アウシュヴィッツを描いた少年 僕は銃と鉄条網に囲まれて育った

序文

スティーヴン・D・スミス博士
南カリフォルニア大学ショアー財団 フィンチ=ヴィタービ基金理事長
ユネスコ・ジェノサイド教育委員会委員長

 ホロコーストの生存者たちは、第二次世界大戦後に沈黙を守った、とはよく言われることである。たしかに、多くの人たちにとって語るには痛みが大きすぎる苦難だったし、今なおその点では変わらないという人もいる。だが、声を上げた人々もおおぜいいた。証人として、真実を

もっとみる