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浜辺でいろいろと拾った。

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ノートで拾ったお気に入りを置いておきます。
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#コラム

女子高生の私が同級生と学生結婚した話

女子高生の私が同級生と学生結婚した話

数学や英語、古典といった勉強が大嫌いな私にとって、副教科は学校生活において最高の気分転換だった。

そもそも副教科のほとんどは美術で占められていた為、3年生にしてようやく始まった家庭科の授業はクラス中が楽しみにしていた。
家庭科の先生は笑顔のかわいい温和な女性で、私は彼女のことをすぐ好きになった。

家庭科室に集められた私たちに先生は言った。

「今からみなさんには結婚をしてもらいます」

皆が口

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note の悲しい音

note の悲しい音

*(note はいいなあ)* 
 実に、いろんな人が居る。同じ人など、どこにも居やしない。「何から何まで違う」と、一旦は言い切っても構わない。

 あたりまえのようなこの感慨から、どの方角に一歩を進めるか、あるいは進めないか。その選択にさえ、それぞれの人のそれぞれの価値観はにじみ出る。

 note は、かたや商業ベースのプラットフォームでありながら、大多数のユーザーはそんな事には頓着なく、各々の

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withnewsに拙作が掲載されました。

「#2020年代の未来予想図」withnews賞受賞作品が、withnewsに掲載されました。

原文よりラストが少し改訂されています。また編集部により、関連キーワードや写真を追加していただきました。編集の仕事のプロフェッショナルさを感じます。

読んでいただけたら、大変嬉しいです。よろしくお願いいたします。

一生消えなくてもいいくらいの言葉にはまだ出会っていない

一生消えなくてもいいくらいの言葉にはまだ出会っていない

小学生の頃、私の父となった人には刺青が入っていた。両肩から二の腕にかけて丸々と太った朱と藍の鯉、背中にはなぜか河童。当時の彫り師の腕が相当立ったのか。本来なら滑稽にもなりかねないはずの河童が実に雄々しく男前に描かれていた。素肌に直接色とりどりの装飾を纏ったその男が誰のお父さんとも違うことは子供の目にも明らかだった。

新しい父との生活は緊張の連続であった。どうにかしてこの男に取り入らなければ日々お

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氷河の教え

氷河の教え

「なぜ父は死を選んだのだろうか」
それは若い頃の私の頭を占める大きな疑問だった。

大阪に単身赴任していた父と最後に会ったとき、サインはあった。父の足がパンパンにむくんでいたのだ。
「わぁ、ゾウみたいだよ! それどうしたの、それ。病院に行ったほうがいいよ!」と私は言ったが、父は「えっ、そう?」と、とぼけるばかり。
それから何日か経って、私が通っている漢方の先生に父の足のことについて話してみたのだが

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限界の足音

「Twitterのフォロワーがひとり減って、あれ、と思ったらインスタもひとり減ってて、2日前のLINEも既読にならなくて、あ、切られたって思ったの」
アイスココアをストローでぐるぐるとかき混ぜながら彼女は言う。「切られた」と私がつぶやくと、「うん。音信不通」と射抜くような目でこちらを見た。

よく陽の当たるテラス席だった。友人は彼氏が1年間の交際のなかで一度も怒ったことのない温厚な人だったこと、学

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「音楽no無駄na昔話」

「音楽no無駄na昔話」

さて、高田純次が明かした「歳をとってやってはいけない3つのこと」の中のひとつ「昔話」をやってみる笑。

本当に興味のある人だけ、時間のある時に読んで下さい。音楽関連とはいえ40年前の話だし、かなり個人的だし、別に何の役にも立ちません。しかも相変わらず無駄に長文なので笑。

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ラジオ、そしてTVという情報網が世界を繋ぎ初め、音楽シ

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<昔のレコーディング雑記>その1

<昔のレコーディング雑記>その1

ここ最近、70年代の古いアルバムをCDで買い直して聴き込んでいると、40年近くも前なのにあまりにも素晴らしい演奏音源の再発見に少し戸惑いつつも、「そりゃそうだ」と納得している。
僕が思うところのその訳を、当時のレコーディング現場及びその周辺の様子を少し思い出しながら書いてみたい。

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それはマルチトラックレコーディングの録音技術が日進

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Windows2016

Windows2016

我々女子社員の間で「Windows2016」と言えば、「2016年現在に於ける窓際族」を示す。そしてそのWindowsにも、良いWindowsと悪いWindowsがいる。

一から説明します。そもそも、「窓際」という言葉自体がもう前時代的過ぎ、今は能力主義の時代でしょ、という突っ込みはごもっともなのだが、日本古来の企業には未だに、定年間際のWindows が数多く生息していることは事実。人事異動の

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食えない音楽家。五枚の源泉徴収票の先の、体当たりの自由まで。

食えない音楽家。五枚の源泉徴収票の先の、体当たりの自由まで。

わたしの机には、5つの会社から届いた源泉徴収票が揺らめいていた。

さて、さて。

これは昨年、5つの会社で働かせてもらっていたという事を意味している。当たり前だけれど。(※これは2016年初頭の執筆記事。)

週7日なにかしら働いて、夜は演奏して、

帰宅するとレッスンの準備をして、

ひと月10万円程度。

「前田サンって何が趣味なのー?」

「音楽をやっています」

「あら、食べられないから

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