[0円小説] 地の果てにひっそりと佇む街にて
とにかく書き出してみよう。ジロウはそう思った。作為など捨ててただ書けばいいのだ。
そんなことはとうの昔から分かっていたはずなのに、その通りには実行することができないまま今日まで生きてきてしまった。
しかし、自分の人生にとってはそれが必然だったのだ。そのことも、今のジロウにははっきりと分かる。燈台もと暗し。当たり前のことこそが一番気づきにくいし、気づいたからといって簡単に実行できるわけでもない。
自分に都合の悪いことについては、せっかく気づいてもなんだかんだと理屈をつけて否定し