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土竜のひとりごと

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エッセイです。日々考えること、共有したい笑い話、生徒へのメッセージなどを書き綴っています。
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第226話:日本一短い会話

第226話:日本一短い会話

[日本語雑話]

聞きかじった話にすぎません。

世界一短い手紙は、ヴィクトル・ユーゴーが「レ・ミゼラブル」の売れ行きを出版社に尋ねた

に対して、出版社が返事をした

というやりとりだと言われています。
「評判はどうか?」
「いいよ!」
という感じでしょうか。

少し応用してみると、

「る」は動詞の語尾ですから、あらゆる動詞をあてはめることができます。
正面切って言いたくないようなときには、ち

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第68話:雨とてるてる坊主

第68話:雨とてるてる坊主

雨の降る日は
さびしくて
あなたに会ひに
ゆけません

雨は嫌ひでないけれど
あなたに会ひに
ゆけません

雨がやんだら
大好きな
あなたに会ひに
ゆきませう

いくつもいくつも
水たまり
とびこえとびこえ
ゆきませう

わたしはあなが
好きですが
うまくあなたに
言へません

とってもとっても
好きですが
うまくあなたに
言へません

雨はまだまだ
やみません

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第224話:かまど猫

第224話:かまど猫

猫の季語を探していたら竈猫というのを見つけた。昔は今のように暖を取るものがなかったから、火が消えた後の竈の中に猫が潜り込みんで灰だらけになったのを、こう表現したらしい。

今は竈などある家は少ないと思うが、子どもの頃に住んでいた家は土間に竈があって、そこでご飯を炊いていた。
お風呂も五右衛門風呂で薪をくべて焚いていた。竹に棕櫚を巻きつけて煙突掃除もした。そのお風呂の下の竈にはよく猫が潜り込んでいた

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第223話:命を生きる

第223話:命を生きる

ある時、教え子が何年振りかで訪ねて来た。
卒業して数年。
真面目で、純朴で、
めったにいない、いいやつだった。

それが、スキンヘッドをしてやって来たので
どうしたんだ、お前、その頭? 
と、ふざけて言うと、
彼は少し目線を下げ、

 実は、しばらく前に
 足の甲にちょっとでっぱりができていて
 あまり気にしていなかったんですが
 病院で診てもらったら
 骨肉腫だということが分かって
 今、抗がん

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第222話:ペップトーク

第222話:ペップトーク

風という風をあつめてみたくなり海への丘を駆けのぼりゆく

何かの拍子でプラスの衝動みたいなものも、日々の中で、わけもわからないまま沸き起こってくることがあります。

何年か前、学校でペップトークについての講演があり、受験勉強でげんなりしている生徒たちがみんな元気をもらったことがありました。簡単に言えば、ポジティブな言葉を自分や人に語りかけようという話でした。ご興味があれば、こちらをご覧ください。

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第219話:胸痛テスト

第219話:胸痛テスト

[ 日本語雑話 :ぎなた読み]

ぎなた読みという言葉遊びがあって、これは文章の区切りを間違えて読んだり、またはわざと変えて読んだりすること。

というのを、

と読んだことに由来するらしい。

古典的な例で有名なところでは、

一休さんの逸話
ここではきものをぬぐべし
・ここで、履物を脱ぐべし
・ここでは、着物を脱ぐべし

近松門左衛門が数珠を注文した逸話
ふたえにしてくびにかけるじゅず
・二重

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第220話:バイクとさよなら

第220話:バイクとさよなら

昨日、バイクを収めてきました。
ヤマハ VXS950a ・・8年間乗りましたがお別れしました。

バイクに、それこそどこにでもいる「バイクキチガイ」の若者のような強い思いがあったわけでも、ヘアピンカーブに車体を倒してビュンビュン突っ込んでいくような技術や度胸があったわけでもないのですが、僕にとってバイクは、あえて言えば「憧れ」くらいの位置にあるものだったかもしれません。

免許を取ったのも37歳。

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第217話:努力は報われるか?

第217話:努力は報われるか?


空が青い ミャンマーで人が死んでいる

今日はいい天気でした。
昨日、今日はインターハイの県予選でした。
勝ち切れませんでしたが、生徒はいい試合をしました。
涙と笑顔と・・。

毎年、3年生が引退を迎えるこの試合、
勝たせてあげられない自分の無力を感じます。

ひたむきに努力することが大事
と言いながら、
努力が決して報われるものでもない
ということも伝えなければならない・・。

でも、
それで

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第214話:社会の窓

第214話:社会の窓

[ 日本語雑話:間接表現 ]

I love you.

これは多くの人間の関心事だが、ネットの情報によれば、二葉亭四迷がこれに相当するロシア語(「Ваша」=英語「Yours」=日本語「あなたのもの」に相当)を「死んでもいいわ」と訳したとされる。

夏目漱石が、学生が訳した「I love you.」を『月がきれいですね』と言うべきだと言ったという話はあまりに有名であるが都市伝説という説もある。

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第213話:捨てられないもの

第213話:捨てられないもの

子供の頃は「あてつぎ」というのがあって、服やズボンが破れると別の布を当てて糸で縫い付けた。「あてつぎ」と僕らは言っていたが、一般には「つぎあて(継当)」と言うらしい。

若い世代にとっては「死語」なのかもしれない。

昔は貧乏だったので、衣服など次から次へと買えるわけではなく、三男坊の僕は兄貴の「おさがり」、いわゆる「お古」を着ていた。セーターとかズボンとかが破けると、オフクロやオバアチャンは、こ

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第203話:焦るAI

第203話:焦るAI

数年前のインハイの地区予選。テニスの団体戦が行われる日の朝、試合会場に向かうために早起きをして出たのだが、途中で道が渋滞し先に進めなくなってしまった。

御殿場に住んでいるので、富士方面に向かう時には東海道ルートではなく、富士山側の山越えルートを通るのだが、途中にあるサファリパークに向かう車の渋滞にハマってしまった。

折しも、ゴールデンウイーク。サファリパークはまだ開門していないのか、車はかなり

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第111話:みんなボッチ

第111話:みんなボッチ

息子が小学生だった頃、家族でボーリングによく出かけた。雨の日や寒くて外に出られない休日に、有り余る元気をもてあまして欲求不満状態になる息子の「元気の捨て場所」としてボーリングが選ばれ、我が家の遊びのひとつのパターンとして定着したのだった。

息子も僕もカミさんも、たいしてうまくはないのだが、段々にはまっていき、息子は子供会の大会で180を出し、カミさんは貯めたポイントでマイボールを持つようになった

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第200話:未知という魅惑

第200話:未知という魅惑

1年生の現代文の授業は楽しい。少しこちらが説明した後で「これ、どう思う?」と投げかけると、隣近所で話し合いの輪ができワーワーと議論が始まる。

ここ10年間、3年生の担当ばかりで、そうした授業がどうしても減ってしまうので少し寂しいのだが、1年生の授業は、極端に言えば「どう?」と3回くらい言えば、50分の授業がそれだけで成立してしまいそうな勢いなのである。
ワーワーガヤガヤやっているだけではない。結

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第193話:高校生に語る情報論

第193話:高校生に語る情報論

※タイトルどおり、国語の授業で情報化に関する評論を読んだとき、併せて生徒に話す内容をちょっとエッセイ風にまとめました。そのつもりでお読みください。

デジタルタトゥー

SNSでトラブルになった経験はないですか?
ネット上にある情報やメッセージの弱点は大きく言って二つ。責任の所在が明確でない匿名性と、紙などに固定されない書き換え可能な情報であることにあります。責任が問われなければ何でも書けますよね

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