空を飛ぶ土竜

高校の教師をしています。人生を真剣に怠けることを日々に夢見ながら、定年退職後も現役を続…

空を飛ぶ土竜

高校の教師をしています。人生を真剣に怠けることを日々に夢見ながら、定年退職後も現役を続けています。このnoteは、生徒に話す雑談メモ風に、自分が考えたこと、伝えたいことを気ままに書いています。よろしければお付き合いください。

マガジン

  • 土竜のひとりごと

    エッセイです。日々考えること、共有したい笑い話、生徒へのメッセージなどを書き綴っています。

  • 土竜のひとりごと:カミさんに遺す僕の物語

    これまでに書き溜めたもの、このnoteの「土竜のひとりごと」に書いたものを2000字程度の文章に整理してここに集めてみたいと思います。

  • 短歌・詩・俳句

    短歌・詩・猫を中心とした川柳などを掲載しています。

  • 高校国語の教材室

    受験生のための現代文・古典に関する教材(とりあえず私のブログへのインデックス)と、受験生へのメッセージを載せています。

  • 日本語雑話

最近の記事

第116話:ため息箱:再掲

再掲が続き恐縮です。 まだ20代のころ、新設校に勤務したことがあり、若者が集まり、活気あふれる職場だったが、ある日、ため息箱を作ろうということになった。 教員は人間が相手の商売なので、いいことも勿論たくさんあるが、いいことばかりでないことも多々あって、それなりに、しんどい。1時間の授業が終わって職員室に帰ってくると、椅子に座った瞬間、思わず「フウー」とため息が出る。 だいたい納得のいく授業など年に何回あるだろう。1時間の授業を作るために一生懸命準備しても大概は不発に終わ

    • 残暑お見舞い申し上げます

      とにかく暑い夏ですね。 性懲りも無く部活指導に手を出してしまったので、63歳のポンコツの体は、炎天下に半日、一日いると気が狂いそうになります。 というわけで、夏の写真日記でお茶を濁させてください。 台風一過の富士山です。 猫もバテ気味で、散歩中、固まって動かなくなります。 猫の額ほどの我が家の庭。 茄子も胡瓜もちょっと勢いがなくなりました。 が、ピーマンがやっと元気になり、初収穫です。 ブルーベリーも脇から新芽が伸びてきました。 この百合は、(わかりにくいと思い

      • 第114話:青天の霹靂

        青天の霹靂という言葉がある。 それが青天の霹靂であったわけでもないのだが、ちょうど去年の今頃、オオスズメバチに刺された。 今勤めている学校のテニスコートは山の上、かつてあった城の二の丸址にある。自然に囲まれた素晴らしい環境と言えば言えなくもないが、実際は自然との闘いで、草はバンバン生えて来るし、落ち葉もガンガン落ちて来る。お堀跡から発生するのだろう、蚊に刺されまくり、ここ数年は、タヌキやハクビシンが出て来たり、イノシシまで出没するようになった。 台風が通り過ぎた翌日は、

        • 第111話:みんなボッチ

          息子が小学生だった頃、家族でボーリングによく出かけた。雨の日や寒くて外に出られない休日に、有り余る元気をもてあまして欲求不満状態になる息子の「元気の捨て場所」としてボーリングが選ばれ、我が家の遊びのひとつのパターンとして定着したのだった。 息子も僕もカミさんも、たいしてうまくはないのだが、段々にはまっていき、息子は子供会の大会で180を出し、カミさんは貯めたポイントでマイボールを持つようになった。 僕は上達はしなかったが、一回だけ職場の大会で、何の間違いか212のスコアを

        第116話:ため息箱:再掲

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        • 土竜のひとりごと:カミさんに遺す僕の物語
          230本
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        • わが家の拾い猫「レイ」
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        記事

          土竜のひとりごと:目次

          これまで書いたものを見直して整理しています。 貧乏性の僕はなかなか思い切って捨てることもできず、見直しながらくだらないものもいっぱいあるけど、まあいいかと思いつつ、修正を試みながら番号をつけて行きました。 内容もそうですが、2000〜2500字くらいの文章なので、なかなか読まれにくいものかと自負しています(笑)。 いつ倒れてもいいように苦労ばかりをかけてしまったカミさんに何かを残せればいいかと思っています。でも、かえって「こんなものを書いて」と叱られるような気もします。 まだ

          土竜のひとりごと:目次

          夏の近況

          毎日、異常な暑さです。 空もいかにも夏の空、雲もいかにも夏の雲という感じです。 「引退」「隠居」宣言をして、半日勤務になったのですが、部活の部長と副部長がやってきて、「ちゃんとした部活がしたいので指導してほしい」と言われてしまったので、だいぶ迷いはしたのですが、7月から再びテニスを始めました。 別に僕はこれと言ったテニスの指導ができるわけではないのですが、もはやジジイでしかない自分の存在を、それでも乞うてくれる人がいるなら、もうちょっと頑張ってみるかという感じです。 た

          第109話:ハナゲによる世界の可視化

          ハナゲという痛さの単位 以前、車に乗りながらラジオを聞いていると、痛さの単位にハナゲを使ってはどうかというリスナーからのメールがあって何だかそれで盛り上がっていた。 しばらく前のことで具体的にはよく覚えていないが、いま、全くの想像でその話を補ってみると、ハナゲを一本抜く痛さを「1ハナゲ」とし、例えば、つねられた痛みは3ハナゲ、殴られたのは20ハナゲ、スネを何かの角にぶつけて55ハナゲといった具合に痛さを具体化していくわけである。そうすると財布を落とした時の落胆は80ハナゲ

          第109話:ハナゲによる世界の可視化

          第158話:君のパンツ、いいね。

          [ 日本語雑話:アクセント ] 古典の助動詞には「強意」という用法があって、これを生徒に質問すると、わが静岡県でも静岡県東部(例えば三島)の出身の先生に教わった生徒は「キョウイ」(オチバと同じアクセント)と答えるのに、静岡県中部以西の先生に教わった生徒は「キョウイ」(スミレと同じアクセント)と答えます。 ご存知の方も多いと思いますが、アクセントは富士川で分かれる・・その典型的な例だなあといつも面白く思っています。 そんな「キョウイ」の話の続きで、黒板に 今日の君のパン

          第158話:君のパンツ、いいね。

          第100話:天の国に王様がいました

          天の国に王様がいました。 王様は誰にも負けない 優れた人になりたい と思っていました。 ある時 王様が街に出ると 屈強な身体をした 飛脚の若者に出会いました。 その脚が欲しくなった王様は 飛脚の若者に 自分の身体と若者の身体を 交換するように命じました。 若者がその命令に抗うことはできませんでした。 王様は大喜びです。 王様は誰よりも早く 誰よりも強い身体を持ち 王様と闘って勝つ者はいなくなりました。 次に王様は ずっと生きられる強い命が 欲しくなりました。 山奥に仙人

          第100話:天の国に王様がいました

          猫五七五10選

          ひなたぼっこの ねこの背中と ねこの耳 湯たんぽと 猫とまるまる 星の夜 まるまって猫の背中が語る秋 にゃんとなく 覗きたくなり 猫の夢 猫とゆく夕焼け小焼けの散歩道 猫を抱き 猫と夕日を見ていたり 猫と風 ゆんわり連れて散歩する 猫が待ってくれているから帰る家 猫という平和を膝ににごり酒 猫とゐて けふ こともなく をはりけり

          第96話:愛されること

          3ヶ月に一度、床屋に行く。床屋は好きである。 何と言っても、あのシャンプーされているときの気持ちよさがいい。シャンプーをつけられて頭をゴシゴシもまれていると、頭が軽くなって、スッとどこかに持ち上げられるような感覚になる。あれが何ともいえない。 整髪料をつけながら、簡単なマッサージをしてくれるが、あれもいい。頭から首、肩へ段々に下りてくるのだが、頭がポコポコされ始めると、僕は思わず肩をもみやすいように体勢を整えてしまう。 ほんの少ししかやってくれないのが残念で、僕はいつも「もう

          第96話:愛されること

          第31話:被害者が加害者であること

          ■海のトリトン その昔、「海のトリトン」というテレビアニメがあり、トリトンという少年がイルカのルカと共に平和を脅かすポセイドン族に挑み、これをやっつけるという話だった。 「イルカに乗った少年」という歌もあったが、イルカに乗って海を自在に駆け巡る少年という設定の特異さ、ポセイドンの送り出すヘンな怪物、ほのぼのとした主題歌などに惹かれて、小学生だった僕はこれを楽しみに見ていたものであった。 今思えば、勧善懲悪の話は多かった。マグマ大使だとか、仮面ライダー、ウルトラマン、ミラー

          第31話:被害者が加害者であること

          第98話:車の上に物を置く癖

          昔々の話である。 結婚式の披露宴に出てくれと教え子から連絡があったので走り始めた。 結婚式と走ることが何故結びつくのかと怪訝に思われる方もいらっしゃるだろうが、実は最近、中年太りが進行し礼服のズボンがはけなくなりつつあったのである。 礼服は買って既に16年、よく頑張っていると思うのだが、祝儀に○万円が出ていく上に礼服を新調するという、その財政事情に溜息をついているカミさんを見て、これはズボンに合う体型に贅肉をそぎ落とさなければならんと意を決し走り始めたのである。 家に帰っ

          第98話:車の上に物を置く癖

          第12話:忍者の友達が何人いる?

          (加筆した再掲記事です) もう40年前の話であるので、そのつもりで聞いていただきたいのだが、アメリカとカナダに行ったとき、付き添ってくれたカナダ在住の若い女性がカナダで日本のテレビ番組が放映されていて結構に人気があると言っていた。 みなしごハッチだとかメルモちゃんだとかいう僕などが子供のころのアニメとか、へぇーという感じもするが水戸黄門などはかなりの人気を集めているということであった。 彼女が言うには、日本の番組を観られるのは懐かしくて良いのだが、いろいろ困ったことも起き

          第12話:忍者の友達が何人いる?

          胡瓜のヒゲ

          今日も曇りと雨でした。 これは猫です。 季節によって居場所を変えるのですが、このところは僕の椅子を占領して寝ています。寒かったのか顔を埋めて突っ伏していました。 千代女に「朝顔やつるべとられてもらひみず」がありますが、そんな心境です。 土曜の夜はずっとブラタモリを観ていたのですが、何だかパタっと終わってしまい(タモリさん、大丈夫?)、そのままプロジェクトXを観ています。 昨夜は旧作のアンコール、「命の離島へ母たちの果てしなき挑戦」と題して、戦後の沖縄で人々の命を支えた公

          第81話:話し合うということ

          ■「12人の怒れる男」という映画があって、この話はある殺人事件に関わった陪審員たちのドラマである。 動機といい状況証拠といい、全てが逮捕された容疑者が犯人であることをほとんど疑い無く示していた。陪審員たちも「簡単な事件だ」ということで早速評決を行ったが、1人が有罪を保留した。 その理由は「有罪の可能性は高いかもしれないが、自分がここで有罪に票を入れると、それでこの人の罪が確定してしまうと思った」からだ。 人一人の人生を預かる判断をこんなに簡単に済ませてしまうことに対する疑問や

          第81話:話し合うということ