空を飛ぶ土竜

高校の教師をしています。人生を真剣に怠けることを日々に夢見ながら、定年退職後も現役を続…

空を飛ぶ土竜

高校の教師をしています。人生を真剣に怠けることを日々に夢見ながら、定年退職後も現役を続けています。このnoteは、生徒に話す雑談メモ風に、自分が考えたこと、伝えたいことを気ままに書いています。よろしければお付き合いください。

マガジン

  • 土竜のひとりごと

    エッセイです。日々考えること、共有したい笑い話、生徒へのメッセージなどを書き綴っています。

  • 土竜のひとりごと:まとめ記事:カミさんに遺す僕の物語

    これまでに書き溜めたもの、このnoteの「土竜のひとりごと」に書いたものを2000字程度の文章に整理してここに集めてみたいと思います。

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    短歌・詩・猫を中心とした川柳などを掲載しています。

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    受験生のための現代文・古典に関する教材(とりあえず私のブログへのインデックス)と、受験生へのメッセージを載せています。

  • 日本語雑話

記事一覧

第147話:沈黙の艦隊

僕は漫画が苦手である。 別に気取っているのではなく、漫画を読み出すと「文字」を読むのが面倒になって「絵」だけを追いかけてしまい、そのうちに話の内容が分からなくな…

35

第141話:人が山に登る理由

僕がまだ学生の時、友人と飲んだくれて終電もなくなり、近くの後輩の下宿に転がり込もうとした夜のことだった。 近くといっても歩いて1時間以上もあったのだが、酔っ払っ…

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第286話:🟢プロポーズ:短歌

プロポーズの歌を作ってみた。 月の地図リュックサックに押し込んで僕と「あした」を見に行かないか 二人で月を見上げながら、こんな言葉で愛をささやいてみる。  「君…

空を飛ぶ土竜
2週間前
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第285話:エアコン

この夏は酷暑だった。 僕が御殿場に越してきたのは26歳の時。もうかれこれ35年以上ここに住んでいることになる。 ここに越してきた頃は、御殿場は湿気が強く、梅雨の時期…

空を飛ぶ土竜
2週間前
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🟢自己紹介:短歌

週末に試合を控え、残暑厳しく授業もお互いに意欲に欠け、noteも申し訳ありませんが再掲の自己紹介でお願いします。 拙者こと、いびつななりのやせっぽの胡瓜の恋のごとく…

空を飛ぶ土竜
2週間前
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第284話:「バカ」と言う人

世の中のことに概して関心が薄いのに、何かに引かれるとそれにのめり込んで我を忘れてしまうのは、なかなかに厄介な気質と言うべきかもしれない。 何年か前のこと、そんな…

空を飛ぶ土竜
3週間前
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第43話:自分という死角

愚話である。 学生時代、僕はテニスをしていたのだが、年に4回の合宿、遠征などを合わせるとそれなりの日々を、仲間と共同生活していたことになる。懐かしいテニス漬けの…

空を飛ぶ土竜
3週間前
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台風10号

猫は時期によって居場所を変えますが、我が家の猫はこの夏の後半は、午前中、僕の机のすぐ横でソファーに転がって惰眠を貪り、 午後は、車の屋根で惰眠を貪り、 夕方、日…

空を飛ぶ土竜
1か月前
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第281話:たぶん僕の歩き方

生きるためには 実にたくさんのことが 必要ですが、 僕が大切だと思うことは 「怠ける」ことです。 生命をこめて「怠ける」ことを 学ぼうではありませんか。 誠実に努め…

空を飛ぶ土竜
1か月前
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第131話:はたらくということ

■ 働くとは傍を楽にすることだ。 このフレーズをもって「働く」ということがよく説明されます。 「傍《はた》楽《らく》」。これは語源的には全く意味のない語呂合わせな…

空を飛ぶ土竜
1か月前
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第116話:ため息箱

まだ20代のころ、新設校に勤務したことがあり、若者が集まり、活気あふれる職場だったが、ある日、ため息箱を作ろうということになった。 教員は人間が相手の商売なので、…

空を飛ぶ土竜
1か月前
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残暑お見舞い申し上げます

とにかく暑い夏ですね。 性懲りも無く部活指導に手を出してしまったので、63歳のポンコツの体は、炎天下に半日、一日いると気が狂いそうになります。 というわけで、夏の…

空を飛ぶ土竜
1か月前
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第114話:青天の霹靂

青天の霹靂という言葉がある。 それが青天の霹靂であったわけでもないのだが、ちょうど去年の今頃、オオスズメバチに刺された。 今勤めている学校のテニスコートは山の上…

空を飛ぶ土竜
1か月前
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第111話:みんなボッチ

息子が小学生だった頃、家族でボーリングによく出かけた。雨の日や寒くて外に出られない休日に、有り余る元気をもてあまして欲求不満状態になる息子の「元気の捨て場所」と…

空を飛ぶ土竜
1か月前
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土竜のひとりごと:目次

これまで書いたものを見直して整理しています。 貧乏性の僕はなかなか思い切って捨てることもできず、見直しながらくだらないものもいっぱいあるけど、まあいいかと思いつ…

空を飛ぶ土竜
1か月前
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夏の近況

毎日、異常な暑さです。 空もいかにも夏の空、雲もいかにも夏の雲という感じです。 「引退」「隠居」宣言をして、半日勤務になったのですが、部活の部長と副部長がやって…

空を飛ぶ土竜
2か月前
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第147話:沈黙の艦隊

僕は漫画が苦手である。 別に気取っているのではなく、漫画を読み出すと「文字」を読むのが面倒になって「絵」だけを追いかけてしまい、そのうちに話の内容が分からなくなってホッぽり出してしまう。 というわけで、僕が読み通した漫画は二つしかない。 ひとつは、井上雄彦の「スラムダンク」。 桜木花道の人間がおもしろい。たぐいまれな才能を持っているだけではない。欠点だらけで鈍くさく、バカみたいに努力する。何よりセリフが少ない。最終巻はほとんどセリフもなく展開していくが、涙が止まらないほど

第141話:人が山に登る理由

僕がまだ学生の時、友人と飲んだくれて終電もなくなり、近くの後輩の下宿に転がり込もうとした夜のことだった。 近くといっても歩いて1時間以上もあったのだが、酔っ払っているから距離は気にならない。深夜、いい気持ちで歩いていると道端に大売り出しの大きな赤いノボリバタが立てかけてあった。見渡すが、近くに商店もない。 「こいつはいい」と僕はその赤いハタを担ぎながら、時々は振り回したりなどして気分良く歩いていたのであった。 すると、向こうから警察官が二人歩いて来て僕を見とがめ「何かね、

第286話:🟢プロポーズ:短歌

プロポーズの歌を作ってみた。 月の地図リュックサックに押し込んで僕と「あした」を見に行かないか 二人で月を見上げながら、こんな言葉で愛をささやいてみる。  「君たちがプロポーズに使いたければ、1000円でこの歌を貸してあげる」 という馬鹿な冗談を授業で言ってみたが、何の反応もなかった。 まあ、当然だろう・・。 もう一首。 悲しみの鞄をいつも持ち歩く こんな僕でもついてくるかい 本音かもしれない、でもカミさんには言わなかったプロポーズの歌。 でも、たぶん不幸にしてしま

第285話:エアコン

この夏は酷暑だった。 僕が御殿場に越してきたのは26歳の時。もうかれこれ35年以上ここに住んでいることになる。 ここに越してきた頃は、御殿場は湿気が強く、梅雨の時期はよく霧が出て水の中にいるようだった。何でもカビてしまうような湿気と暑さに悩まされたが、それを過ぎると、日差しはそれなりに熱いが、空気は冷たく澄んで高原にいるような爽快さがあった。部活でテニスコートにいると鳥肌が立つことさえあった。 勤務は静岡だったり沼津だったり伊豆だったりして、それなりに昼間は下界?の暑さに

🟢自己紹介:短歌

週末に試合を控え、残暑厳しく授業もお互いに意欲に欠け、noteも申し訳ありませんが再掲の自己紹介でお願いします。 拙者こと、いびつななりのやせっぽの胡瓜の恋のごとく不器用 無器用に生きてきたな と思い、 でも、たぶん、 これからもずっと無器用にしか生きられないのだろうな と思っています。

第284話:「バカ」と言う人

世の中のことに概して関心が薄いのに、何かに引かれるとそれにのめり込んで我を忘れてしまうのは、なかなかに厄介な気質と言うべきかもしれない。 何年か前のこと、そんな調子でネットの対戦将棋にはまったことがある。 適度に遊べばいいのに、勝てば嬉しく、負ければ悔しくてもう一戦交えたくなるといった風で、時には深夜3時4時まで、時には朦朧としてふらつくまでやってしまう。 設定時間が1分という壮絶な将棋もあれば1時間半くらいかかる時もある。肩はバキバキ、目はシバシバ。疲労困憊なのに更に挑

第43話:自分という死角

愚話である。 学生時代、僕はテニスをしていたのだが、年に4回の合宿、遠征などを合わせるとそれなりの日々を、仲間と共同生活していたことになる。懐かしいテニス漬けの日々であり、同じ釜のメシを食った何にも替え難い友を得られたことに感謝したいと思っている。 しかし、共同生活とはまた普段には分からないそれぞれの人となりが露呈されるもので、彼らのそれも「一生の仲間」という高級な表現に甚だそぐわない、およそ人間的な側面であった。 例えばオナラをプープーと垂れ流しにし、メシをドンブリ5

台風10号

猫は時期によって居場所を変えますが、我が家の猫はこの夏の後半は、午前中、僕の机のすぐ横でソファーに転がって惰眠を貪り、 午後は、車の屋根で惰眠を貪り、 夕方、日が傾くと「にゃーお」と呼びにきて僕を散歩に連れ出し、 (最近、なぜかこのスフィンクス座りが多くなりました) 夕食時には席について「私のごはん」を要求し、 ご飯が済むと、また、今度は車のボンネット?で惰眠を貪り、 夜中はどこにいるのやら、早朝にまた戻ってきて、例のソファーに惰眠を貪っています。 なんか、ブサイ

第281話:たぶん僕の歩き方

生きるためには 実にたくさんのことが 必要ですが、 僕が大切だと思うことは 「怠ける」ことです。 生命をこめて「怠ける」ことを 学ぼうではありませんか。 誠実に努めることも、グダグダ怠けることもそれはそれで素敵なのですが、夏休みの少年のように 「一生懸命に怠ける」ことの中に、 たぶん何かがあって、 そこに「世界」が生まれ、 「ことば」が生まれる気がします。 生きることは実に大変な営みですが、 寄り道したり回り道したり、 悩んだり転んだり、 焚火にあたったりしながら 、生

第131話:はたらくということ

■ 働くとは傍を楽にすることだ。 このフレーズをもって「働く」ということがよく説明されます。 「傍《はた》楽《らく》」。これは語源的には全く意味のない語呂合わせなのですが、にもかかわらず「働く」ということがこんなふうに説明されることは、逆説的に実際の「労働」がそこから遠いところにあることの、ひとつの証明なのかもしれません。 傍を楽にする。 これは素晴らしい考え方だと思います。 僕がこれを単なる理念ではなく実感としてそう思うのは特別支援学校勤務時代に大変お世話になった校長

第116話:ため息箱

まだ20代のころ、新設校に勤務したことがあり、若者が集まり、活気あふれる職場だったが、ある日、ため息箱を作ろうということになった。 教員は人間が相手の商売なので、いいことも勿論たくさんあるが、いいことばかりでないことも多々あって、それなりに、しんどい。1時間の授業が終わって職員室に帰ってくると、椅子に座った瞬間、思わず「フウー」とため息が出る。 だいたい納得のいく授業など年に何回あるだろう。1時間の授業を作るために一生懸命準備しても大概は不発に終わり、嫌悪感とか空しさとか

残暑お見舞い申し上げます

とにかく暑い夏ですね。 性懲りも無く部活指導に手を出してしまったので、63歳のポンコツの体は、炎天下に半日、一日いると気が狂いそうになります。 というわけで、夏の写真日記でお茶を濁させてください。 台風一過の富士山です。 猫もバテ気味で、散歩中、固まって動かなくなります。 猫の額ほどの我が家の庭。 茄子も胡瓜もちょっと勢いがなくなりました。 が、ピーマンがやっと元気になり、初収穫です。 ブルーベリーも脇から新芽が伸びてきました。 この百合は、(わかりにくいと思い

第114話:青天の霹靂

青天の霹靂という言葉がある。 それが青天の霹靂であったわけでもないのだが、ちょうど去年の今頃、オオスズメバチに刺された。 今勤めている学校のテニスコートは山の上、かつてあった城の二の丸址にある。自然に囲まれた素晴らしい環境と言えば言えなくもないが、実際は自然との闘いで、草はバンバン生えて来るし、落ち葉もガンガン落ちて来る。お堀跡から発生するのだろう、蚊に刺されまくり、ここ数年は、タヌキやハクビシンが出て来たり、イノシシまで出没するようになった。 台風が通り過ぎた翌日は、

第111話:みんなボッチ

息子が小学生だった頃、家族でボーリングによく出かけた。雨の日や寒くて外に出られない休日に、有り余る元気をもてあまして欲求不満状態になる息子の「元気の捨て場所」としてボーリングが選ばれ、我が家の遊びのひとつのパターンとして定着したのだった。 息子も僕もカミさんも、たいしてうまくはないのだが、段々にはまっていき、息子は子供会の大会で180を出し、カミさんは貯めたポイントでマイボールを持つようになった。 僕は上達はしなかったが、一回だけ職場の大会で、何の間違いか212のスコアを

土竜のひとりごと:目次

これまで書いたものを見直して整理しています。 貧乏性の僕はなかなか思い切って捨てることもできず、見直しながらくだらないものもいっぱいあるけど、まあいいかと思いつつ、修正を試みながら番号をつけて行きました。 内容もそうですが、2000〜2500字くらいの文章なので、なかなか読まれにくいものかと自負しています(笑)。 いつ倒れてもいいように苦労ばかりをかけてしまったカミさんに何かを残せればいいかと思っています。でも、かえって「こんなものを書いて」と叱られるような気もします。 まだ

夏の近況

毎日、異常な暑さです。 空もいかにも夏の空、雲もいかにも夏の雲という感じです。 「引退」「隠居」宣言をして、半日勤務になったのですが、部活の部長と副部長がやってきて、「ちゃんとした部活がしたいので指導してほしい」と言われてしまったので、だいぶ迷いはしたのですが、7月から再びテニスを始めました。 別に僕はこれと言ったテニスの指導ができるわけではないのですが、もはやジジイでしかない自分の存在を、それでも乞うてくれる人がいるなら、もうちょっと頑張ってみるかという感じです。 た