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建築

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2021年7月の記事一覧

【architecture】ニコラス・G・ハイエック センター|坂茂

【architecture】ニコラス・G・ハイエック センター|坂茂

銀座は有名建築の玉手箱と言っても過言ではない

華やかな銀座通りには競い合うように装飾的な建築が並んでいる

昔ながらの碁盤の目の区割りが張り巡らされている
小さな路地も多く、大きなメインストリートと路地の対比が面白い
また古い建物が残っているところもあり新旧の建築の対話も銀座の街の特徴とも言えるだろう

そんな銀座であるが、ここでの建築はやはり商業建築である
通りに対してどのようなファサード(外

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【architect】猫のための家づくり

【architect】猫のための家づくり

『建築知識』という建築業界の専門誌がある
エクスナレッジという出版社から発刊されている月刊誌で1959年から続く歴史あるものである

とは言え、内容はほとんど建築の専門家しかわからないようなカタクルシイものである
ほとんど一般の方には理解できないだろうし読んでもワカラナイ
無論普通の本屋さんでは置いていない
大型書店で建築コーナーがあるところには必ず置いてある

エクスナレッジからは一般の方でも読

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【architecture】東京カテドラル聖マリア大聖堂|丹下健三

【architecture】東京カテドラル聖マリア大聖堂|丹下健三

いよいよ東京オリンピックがはじまった
一生に一度や二度しかない日本でやるオリンピックである
せっかくならば楽しみたいと思う

前回の東京オリンピックは1964年の57年前である
その時つくられたのが国立代々木競技場である
原宿駅からすぐの場所にあるこの競技場は建築家丹下健三氏による設計である

(写真はHPより引用)

丹下健三氏は広島平和記念資料館や香川県庁舎、大阪万博のお祭り広場、現在の東京都

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【architecture】ラビットチェア

【architecture】ラビットチェア

ラビットチェアをご存知だろうか
その名の通りウサギの形をした椅子である

この椅子は日本の建築家ユニットのSANAAが設計したものである
SANAAは妹島和世氏と西沢立衛氏が共同で設立した設計事務所で建築界のノーベル賞とも言われるプリツカー賞を受賞している世界的な建築家だ

そんなSANAAの設計した椅子とあって人気も高い
背もたれがウサギの耳にデザインされており、材質などいくつか種類があるが、価

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【architecture】窓学|パンテオン

【architecture】窓学|パンテオン

イタリアのローマにあるパンテオンをはじめて訪れたのは大学生のときだ

当時、竹野内豊主演の映画『冷静と情熱のあいだ』に感動してイタリアへ行ったのだ

フィレンツェを経由して訪れたローマはお世辞にも綺麗で治安の良い街ではなかった

地下鉄は落書きだらけ、物乞いやスリは当たり前のように横行していた

しかし歴史都市ローマで見る建築は古代のものであっても圧倒的な存在感があった

王道の観光スポット、コロ

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【architecture】窓学|母の家|ル・コルビュジエ

【architecture】窓学|母の家|ル・コルビュジエ

『窓学』第一回目にご紹介したいのが、近代建築の巨匠ル・コルビュジエの『母の家』である

まずその前にル・コルビュジエという建築家について基本の『キ』くらいのレクチャーを

ル・コルビュジエ(1887ー1965)はスイス生まれでフランスを主な活動拠点としていた
1931年に竣工した『サヴォワ邸』と言う住宅にはコルビュジエが提唱する『近代建築の五原則』が全て表現されている

・ピロティ
・屋上庭園

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【architecture】窓学

【architecture】窓学

バーチャル窓という素晴らしい窓ができているので、リアルな窓は要らないのかもしれないが、『窓』について私なりに考えてみたいと思う

『窓』は建築とは切っても切り離せない要素のひとつだろう
窓の開け方で建築の良し悪しが決まると言っても過言ではない
学生の頃『窓』には大きく分けて3種類あると教わった

・光を取り込む窓
・風景を眺める窓
・風を取り込む窓

実際にはこれだけではない
そんなに簡単に窓を分

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【architecture】料理好きな人

【architecture】料理好きな人

アメリカ・ロサンゼルスにワッツタワー(Watts Tower)という奇妙な塔がある

私も実物は見たことがないので参考のHPから見て頂きたい

この塔は1921年から1954年までの33年間をかけてつくられた
つくったのは建設作業員であるサイモン・ロディアという男ひとりである
彼は自宅と仕事場の往復の過程で拾った鉄や石、煉瓦や小さなガラス片を集めては少しずつ手の届く範囲から積み上げていった

この

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【architecture】フィン・ユール邸

【architecture】フィン・ユール邸

北欧の家具や建築は、日本人には人気がある
北欧の家具や照明について詳しい方も多いだろう

私は北欧建築は好きだが、なぜ好きか?と問われると応えるのが難しい
言葉にするのがちょっと苦手なエリアではある

フィン・ユールはアンネ・ヤコブセンと並びデンマークを代表する建築家であり家具デザイナーである

岐阜県高山市にフィン・ユールの自邸が再現されている
日本で忠実に再現された北欧建築を体験できるのはかな

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【architecture】国際子ども図書館|安藤忠雄

【architecture】国際子ども図書館|安藤忠雄

度々私のnoteで紹介されて頂いている建築家の安藤忠雄氏

国内から海外までつくってきた建築の数は多い

数を打つタイプの建築家でこれは仕事に飢えている証拠だろう

建築家の中には数より質を優先してあまり数に拘らない方もいる

安藤氏は数も質もこだわる建築家と言える
今では全国津々浦々で安藤建築を見ることができる

そんな安藤氏であるが、安藤氏の建築で一際優れていると思う建築は『リノベーション』で

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【architecture】沢田マンション

【architecture】沢田マンション

高知市内の住宅街に『東洋のサグラダ・ファミリア』と呼ばれる建築があるのをご存知だろうか

その名も『沢田マンション』と言い、知る人ぞ知るちょっとした観光名所でもある

私も高知に仕事で行った際に何度か見に行った

この『沢田マンション』であるが、なぜ『東洋のサグラダ・ファミリア』と呼ばれているかと言うと文字通りスペインのバルセロナで、未完の建築として有名なアントニ・ガウディ設計のサグラダ・ファミリ

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【architecture】曹源寺

【architecture】曹源寺

岡山県岡山市に曹源寺というお寺がある

岡山には桃太郎伝説もあり吉備津神社や吉備津彦神社など有名な神社がある

曹源寺はお寺であるが、このお寺は隠れた人気スポットになっている

曹源寺は岡山駅からバスで30分ほどのところにある

立派な門をくぐるとそこは木々が生い茂る神聖な領域である

さらに進むともうひとつ立派な門がある
こちらを抜けるとさらに気が引き締まる感覚を覚える

そして真正面に見えてく

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【architect】谷口吉生に学ぶ

【architect】谷口吉生に学ぶ

谷口吉生氏という建築家をご存知だろうか?

建築を生業としている者として「谷口吉生氏をごぞんじだろうか?」などと容易く口にしてはいけないような、日本を代表する大御所の建築家である

これまた巨匠建築家である故谷口吉郎氏を父親とするサラブレッドでもある

以前私のnoteでも実作を紹介させて頂いたことがある

上野にある法隆寺宝物館

金沢にある鈴木大拙館

今回は新たに2014年に完成した
『京都

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【architecture】House SH|中村拓志

【architecture】House SH|中村拓志

そもそもデザインとは、コーヒーカップそのものではなくコーヒーを淹れて飲むことの幸せや、車そのものではなくドライビングの喜びを対象とする仕事だ。経験をデザインするということ

柳宗理

プロダクトデザイナーの柳宗理氏の言葉である
柳宗理氏は暮らしをデザインすることを具現化した作品を数多く残したことで知られる

建築の設計においても、東日本大地震以降、特に求められるものが変わってきた

よく言われるの

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