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【architecture】住吉の長屋①|安藤忠雄

【architecture】住吉の長屋①|安藤忠雄

建築家安藤忠雄氏の名目的なデビュー作が『住吉の長屋』である

1976年に完成したこの『住吉の長屋』を武器にこれまで世界中で闘ってきたと言っても過言ではない

安藤忠雄氏の建築の精神は、先日取り上げた『表参道ヒルズ』もすべて、遡れば『住吉の長屋』に繋がっている

『住吉の長屋』はその名の通り、大阪の住吉大社のすぐ近くに位置する
私は今から18年前の学生時代に『住吉』という地名だけを頼りに探し回り実

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【architecture】窓学|訴える窓|aiさんちの窓

【architecture】窓学|訴える窓|aiさんちの窓

こちらの一見日本のどこにでも見かけられる窓
しかしこの窓は建築的に巧みにデザインされた窓である

以前私のnoteで取り上げたイタリア/アマルフィの窓とも引けを取らない秀逸な窓である

実はこちらの窓は人気noterのaiさんちの窓である

100件近いスキを頂戴しているこの窓には建築的に隠された秘密があるはずである

今回はその秘密を探ってみたい

まず真っ先に気になるのが、なんとも言えない表情

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【architect】ケンチクノオト

【architect】ケンチクノオト

サッカーの中村俊輔選手は幼い頃からサッカーノートを書き続けている
その日あった試合や練習で感じたことや改善点を文字やイラストでまとめていた
このサッカーノートを書くことで世界でも活躍したサッカー選手になれたのかもしれない

野球の大谷翔平選手も高校生から目標達成のためのノートを書き続けていることも有名だ

話は変わるが、最近は自宅でのテレワークやzoomなどが増えて防音工事の依頼が増えているようだ

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【architecture】HouseN|藤本壮介

【architecture】HouseN|藤本壮介



「だから建築家に頼むとロクなことにならないんだよ」

と散々非難の嵐を浴びそうな外観の住宅である

こんな家住めるわけないだろう( *`ω´)
丸見えじゃないかΣ(-᷅_-᷄๑)
一番外側のハコ意味ないだろo(`ω´ )o

5割くらいの人がこのようなとっぴょうしもないような家を見ると怒っている

人の家なんだからホッといて欲しいものだが怒りの感情が湧いてくるのはなんでなのでしょう…

この建

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【architecture】表参道ヒルズ③|安藤忠雄

表参道ヒルズには住人がいることをご存知だろうか

建物の上層階は集合住宅となっている
近くの歩道橋や道路の反対側から眺めるとよくわかる

元々の地権者のための住居と賃貸が38戸ある
よく見ると表参道沿いにしっかり住人用のエントランスがあり郵便ポストもあるのだ
こんな一等地に住めるとは、なんて贅沢なことかと思ってしまう

しかし、それはかつてここが同潤会アパートであったことの名残りである

かくして

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【architecture】表参道ヒルズ①|安藤忠雄

【architecture】表参道ヒルズ①|安藤忠雄

1923年9月1日11時58分32秒
関東大震災がおこった
死者行方不明者10万5000人の大惨事であった

9月1日はこの大惨事を忘れないために今もって『防災の日』とされ、災害に備えることを再確認する日とされている

当時木造住宅が主流であった東京において関東大震災以降地震や火に強い鉄筋コンクリート造の建築が求められた

そこで発足したのが『同潤会』である
安全安心な住宅の供給を目標に東京・横浜

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【architecture】窓学|トンネル

【architecture】窓学|トンネル

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」

川端康成の『雪国』の有名な書き出しである

“トンネル”には異世界へ通じる不思議な高揚感がある
高速道路を運転していて長いトンネルを抜けると先ほどとは違った光景が広がっていた
なんていう経験をしたことはあるのではないだろうか

極論ではあるが
“トンネル”が窓だったら?
と考えてみた

何かを考えるときは極端に発想してみるくらいがちょうどいい
メンド

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【architecture】窓学|喋る窓

【architecture】窓学|喋る窓



イタリア|アマルフィの街を見下ろす窓にひとりのおじさんが外を眺めている

窓台には、たばこ、灰皿、眼鏡、ラジオが置かれている

ここからこのおじさんは道ゆく人に声をかけ、たばこを吸い、ラジオを聞く

道から友人からの酒の誘いの声が聞こえると、たばこと財布を持って出かける

そんな光景が浮かぶ写真である

日本ではあまり見かけなくなった光景である
しかし、『あの窓にはいつもあの人がいる』みたいな

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【architecture】ベンガラの街

【architecture】ベンガラの街

私は岡山県高梁市という山奥の小さな街で生まれた
岡山駅から電車で1時間ほどの山と川に囲まれた自然と歴史の残る街である
以前私のnoteでこの高梁市という街について紹介したことがある

ここから更にバスで1時間ほどの山奥の僻地に吹屋という街が存在する

ここはかつて銅山の街として栄えた
江戸時代中期から鉱山開発がはじまり、明治時代には三井財閥の岩崎弥太郎によって近代経営が行われ日本三代銅山として発展

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【architecture】窓学|フィッシャー邸|ルイス・カーン

【architecture】窓学|フィッシャー邸|ルイス・カーン

アメリカの建築家ルイス・カーン(1901-1974)の設計したフィラデルフィア郊外に建つフィッシャー邸は窓のお手本のような建築だ

カーンは大学や図書館、美術館、バングラデシュ国会議事堂など大きな建築を手がけた事でも有名であるが、小さな住宅も数多く手がけておりその作品は秀逸である

世界恐慌と戦争という不遇の時代を長く生きたカーンは戦後の50代になってからそれまで蓄えていたエネルギーを吐き出すよう

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【architecture】GALLERIA[akka]|安藤忠雄

【architecture】GALLERIA[akka]|安藤忠雄

大阪ミナミの繁華街にひっそりと主張するでもなく静かにこの建築は建っている

時はバブル真っ只中の1988年に完成した商業建築だ
建築家安藤忠雄氏は今でこそ大規模な美術館や公共建築を手がけているが、この頃は小さな商業建築にコミュニティの可能性を見出そうと多くの商業建築を設計している

その中でもとりわけ秀逸なのがGALLERIA[akka]である

(外観写真はこちらのHPより引用)

間口8m奥行

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【architecture】葛西臨海公園クリスタルビュー|谷口吉生

【architecture】葛西臨海公園クリスタルビュー|谷口吉生

葛西臨海公園は東京都江戸川区にある東京湾を望む公園で、都民の憩いの場として有名だ
東京駅からJR京葉線でディズニーランドのある舞浜駅のひとつ手前の駅で降りる

駅を降りて公園内に入ると真っ直ぐに海までつづく軸線を描くようなメインストリートがある

このメインストリート沿いに水族園や観覧車がある

ゆっくりとメインストリートを歩いていくと、ようやく見えてくるのが建築家谷口吉生氏設計による『クリスタル

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【architecture】窓学|バラガン邸|ルイス・バラガン

【architecture】窓学|バラガン邸|ルイス・バラガン

ルイス・バラガン(1902-1988)という建築家をご存知だろうか
メキシコの建築家で、光と色彩を操る魔術師であると私は勝手に思っている
1980年に建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞を受賞している

バラガン建築の特徴は、『光』と『色彩』である
どちらも関係性をもって設計されているので切り離すことはできないが今回は光をテーマに書いてみたい

バラガンの自邸であるバラガン邸は世界遺産にも登録

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【architecture】色|ルイス・バラガン

【architecture】色|ルイス・バラガン

私は色が苦手である
安易に手を付けると、意図している表現から遠ざかってしまう気がしてしまう

だから「この色が好き!」と直感で選べる人がうらやましい

よくトイレの壁一面だけ色を変えたいとか、子ども部屋の壁の色を変えたいという要望を聞く

アクセントになって良いなとは思うが自分では決められない

しかもビニールクロスの人工的な色で良いのか…
自分でも分からない

だから苦手なのだ

色を使った建築

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