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ポップカルチャーは裏切らない

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”好きなものを好きだと言う"を基本姿勢に、ライブレポート、ディスクレビュー、感想文、コラムなどを書いている、本noteのメインマガジン。
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2023年3月の記事一覧

名古屋ぐらし完結と□□□「00:00:00」

名古屋ぐらし完結と□□□「00:00:00」

今日、1年半過ごした名古屋での生活が終わった。あっという間のように見せかけてしっかり1年半過ごしたぞ!という気持ちでいっぱいである。仕事もかなり忙しかった。やってもやっても引き継ぎが終わらないもんで、もう脳に保存してある記憶をデータ化してUSBとかで受け渡しできんかと思うぐらいには忙しかった。

複雑な事情があって名古屋に来ることになったのだけど、1年半というリミットつきということもあり長い旅行の

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セラピーとしての「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」/多元宇宙というナラティブ・アプローチ

セラピーとしての「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」/多元宇宙というナラティブ・アプローチ

3/3公開の「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」。大好きな死体泳ぎ映画「スイス・アーミーマン」のダニエルズ監督作で、シャンチーの叔母さんが多元宇宙を行き来してカンフーで闘うという概要からしてワクワクしていたのだが、内容は実写版ボボボーボ・ボーボボと言うべきハジケ勝負のオンパレードだったし、久々に劇場で声を出して笑った映画だった。

数年前までほとんど邦画して観てこなかったので米国

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生活を面白がるためのシニカル/バカリズム作品としての『ブラッシュアップライフ』

生活を面白がるためのシニカル/バカリズム作品としての『ブラッシュアップライフ』

来世でアリクイになりたくないから同じ人生をやり直して徳を積むというかなりドライで現実的な願望から始まったドラマ『ブラッシュアップライフ』。最終話で辿り着いたのは今を生きることへの目一杯の人生讃歌で、思わず涙してしまった。

バカリズム作品として『ブラッシュアップライフ』を観てみると様々な発見があった。ドラマらしいドラマを拒否し、メタ的な構成で遊んだり、誰も描いてこない題材を用いたりしてきた過去のバ

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二つの「ブラックアウト」〜3.5 Cody・Lee(李) × ASIAN KUNG-FU GENERATION 『HIGH FIVE 2023』@ Zepp Nagoya

二つの「ブラックアウト」〜3.5 Cody・Lee(李) × ASIAN KUNG-FU GENERATION 『HIGH FIVE 2023』@ Zepp Nagoya

昨年末にCody・Lee(李)とアジカンの対バンが発表され、その時はその組み合わせをかなり意外に思った。李の高橋響(Vo/Gt)のコメントにあった、高校1年生の時に作った「ブラックアウト」を真似て作った曲を作ったというのもなかなか想像できない。李といえばどちらかといえば、フジファブリックやandymoriを影響源とし、映画やお笑いなどカルチャー愛に溢れた青春性を強みとしているバンドだと思っているの

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笑ってしまうこと、笑わないでいること〜Aマッソ「滑稽」/劇団かもめんたる「奇事故」

笑ってしまうこと、笑わないでいること〜Aマッソ「滑稽」/劇団かもめんたる「奇事故」

空前のお笑いブームの真っ只中において頻繁にお笑いライブやバラエティ番組で"笑い"に接するとそもそも"笑い"とは何か、とふと考えることも増えた。そういう思考にさせるお笑いが沢山増えたことも影響しているだろう。この3月、たまたま同じタイミングで配信されていた2本の作品もまた何で笑い、何を笑っているのか、ということをこちらに問うてくる"笑い"だった。

Aマッソ『滑稽』Aマッソがテレビ東京の大森時生プロ

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令和ロマンとウエストランド、反芻に耐える疾走感

令和ロマンとウエストランド、反芻に耐える疾走感

M-1ファイナリストと敗者復活戦進出者が全国をサーキットする『M-1ツアースペシャル』。毎年恒例のイベントに今年ももちろん参加し、大いに笑わせてもらったのだが個人的にハイライトと感じたのは令和ロマンとウエストランドだった。

令和ロマンといえば昨年末のM-1グランプリ2022敗者復活戦で2位を記録した新鋭。お笑いファンの間では名の知れた存在だったが、今回の敗者復活での「ドラえもん」の大爆発(マジで

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