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散文詩

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2023年12月の記事一覧

プラトニックの雨 《詩》

プラトニックの雨 《詩》

「プラトニックの雨」

独りの時を愛してるとか

海の底に
あったはずの情熱が消え去り

本当の愛しさだけが残った

不揃いな価値観と不器用な言葉と

指先で数えた自惚れの数

泣きたい時には泣けばいい

傷付けた想い出を抱きしめたまま

下手くそな嘘 閉じた唇と 

待ち合わせた夜

響き合い強く想う 

刹那に揺れる小さな花

七色の星を描いて作った星座

何もかもが美しく見える 
その時まで

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細くて白い月 《詩》

細くて白い月 《詩》

「細くて白い月」

カーテンの僅かな隙間から

骨の様な細くて白い月が見えた

カフェオレとポテトサラダ 

スクランブルエッグとトースト

バターは付ける? 
それとも苺ジャム?

僕は煙草を咥えたまま 
バター そう答えた

彼女の部屋の

テラスからは川が見えた 

水面に映る歓楽街のネオンが見えた

朝は苦手だって そう彼女は言った

ユニットバスのトイレには

膣内を洗浄する

見た事も

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リファレンス 《詩》

リファレンス 《詩》

「リファレンス」

記憶の残像 その断片を独り辿る 

複雑に絡み合う混沌の記録を
選分け様ともがいていた

限定された時の中 

何ひとつ選択出来ない僕が居た

虚空を睨む沈黙が

昆虫標本の様な世界を包む

書庫に並んだ本は全て必要で

全て必要無いものと一緒だ

1ステップ

2ステップ

3ステップ と

マニュアルに書いてある通りに
ボタンを押して来たが

結局 最後は 

GA

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灰色の雲 《詩》

灰色の雲 《詩》

「灰色の雲」

僕等に吹き付ける冬の風は

強い力と価値基準を持っていた

それは僕等の記憶の裏側に隠した

混乱を巧妙に曝け出させる

価値基準を
満たした人の波が押し寄せて来る

僕等は溺れる様に彷徨っていた

曇り空に浮かぶ灰色の雲を
外部からの強い力が引きちぎる

奴等が求める完璧を否定した

僕等は奴等の言う完璧に

何の意味も見出せなかったからだ

勝ち負けに拘って来たのは

負ける事

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長い夜 《詩》

長い夜 《詩》

「長い夜」

秘めた聖なる山は
幾度となく燃え上がり消える

いつか見た長い夜

あの時もそうだった 

僕は星や月を探していた

窓の外を風が通り過ぎて行った

僕はその風の温度も匂いも

感じる事が出来なかった

ただ 触れたいそう思っていた

目に見えているものは 

己が
仮説の上に創りあげた世界である事

一種の概念の上に
成立した架空の物語

恐怖を掻き消す為に

僕は彼女の身体に

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後遺症 《詩》

後遺症 《詩》

「後遺症」

僕の限定された思考が
人生を造り出し

見えない壁を構築していく

周囲の景色は 

ハッキリと認識出来るのに

僕の近くだけは

不鮮明でぼやけていて

細部まで見る事 

読み取る事が出来ない

束の間の妄想と安上がりな夢

破滅的な危機に直面した
創造力の後遺症

僕はまた本を開いた 

誰も幸せに出来ない僕が 

幸せになれるはずは無い

そう文字で記されていた

組織に司ら

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星空のウインク 《詩》

星空のウインク 《詩》

「星空のウインク」

星空のウインク 

夜が明ける少し前

道の正しさは君の心で決めればいい

新しい痛みがまた傷跡を残す 

どんな歩き方だって構わない

信じてる 虹を見たから

信じなよ 震える命で

独り占めしたくて伸ばした腕

僕の我儘 わかってる

小さな胸にしまった想い 

迷子の足音

涙を数えた独りぼっちの夜

迷い彷徨い眠れないなら

僕を選ばない理由 
君を選べない理由

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チバユウスケ 《詩》

チバユウスケ 《詩》

「チバユウスケ」

ねぇ聞かせてよ 其処の世界の音

ねぇ教えてよ 空で花を見たか 

僕は読みかけの小説を閉じて

煙草に火を付ける

また空が落ちてくる

憧れの森の中

歩いてるけど目は閉じたまま

現実と言うその深い海に似た

無限の森が僕を包み込む

赤みのかかった 月が昇る時

それで最後だと僕は聞かされる

真実は突然 空から降って来る

ロックンロールみたいに

嘘ばかりをつき続け

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コピー ロボット 《詩》

コピー ロボット 《詩》

「コピー ロボット」

君には特別な何かがあり 

そして何かが欠けていた

曖昧と言う言葉は無く 

イエスとノーで出来た

ある種の
進化の過程にあるロボットの様に

機械仕掛けでありながら 

混乱した心を有していた

君の前では
異論を唱える時計の針は止まり

何もかもが消えて行った

僕の記憶を読み取る様な目で
僕を見ていた

それは明らかに女の瞳だった

生きる事は決して容易な事では無

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