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時代の空気振動とピアニストの不在

時代の空気振動とピアニストの不在



ピアノロールに対する恨み言のようなもの

ピアノロール(自動ピアノ)さえなければ…と何度怨みに思ったことか。
そう、ピアノロールさえ存在しなければ、もっとたくさんの19世紀生まれの名ピアニストたちが78rpmレコード(SPレコード)録音を残していたはずだからなのです。
そもそもピアノロールは録音環境と再生環境が大きく違ってしまうので、頑張ってみたところで再現性の点でレコード録音には遠く及ば

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radiohead「nude」~ハイリゲンシュタットの遺書 Remix

radiohead「nude」~ハイリゲンシュタットの遺書 Remix

クラシック音楽をモチーフにしたユニット fav.Classiqua(ファブクラシカ)という活動をしています。

これは昔、ベートヴェン「月光ソナタ」をヒントにradiohead「nude」という曲のリミックスコンテストに応募した動画です。結構、いいところまで行ったけど賞は取れず!
しかしその後、TikTokでこれをパクった人がちょっとだけバズったそうです(笑)

前半のアダージョは、ピアニストの一

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世に放たれた直後の音~バルカロールの揺らぎ 内藤晃ピアノコンサート~

世に放たれた直後の音~バルカロールの揺らぎ 内藤晃ピアノコンサート~

1月21日に開催された『バルカロールの揺らぎ』内藤晃ピアノコンサート、無事終了いたしました。

休憩無し、曲間の拍手なしで約60分間の、まさに「内藤ワールド」全開でした。今回の企画はアトリエミストラルの1905年製プレイエルを使って、様々な作曲家のバルカロール(舟歌)を特集。途中、内藤さんご自身による朗読が入ることにより、よりその世界へ誘われ、とても心地よい60分でした。

<プログラム>
オッフ

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ショパンジーの絶滅についての簡潔な報告

ショパンジーの絶滅についての簡潔な報告

昔、“ショパンジー”というそれはそれは美しいショパンの楽の音をピアノで奏でる蛮族ならぬ生物が棲息して居た。今では残念ながら絶滅してしまって見る影も形もないが、それでも確かに、昔、間違いなく、このかけがえのない世界に、確実に彼らは棲息していたのだった。

実は“ショパンジー”とは、ウラディーミル・ド・パハマンというピアニストの些かエキセントリックな言動や演奏してる姿が何処かチンパンジーを彷彿とさせる

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GREAT CHOPINZEES~ショパン演奏の秘かな愉しみ(トレイラー)

前回のレコードコンサート「レシェティツキの弟子たち」から約5年。昨日4/8(土)富士レコード社さんのお招きで開催させていただきました「GREAT CHOPINZEES~ショパン演奏の秘かな愉しみ」が盛況のうちに終了いたしました。
約二時間半、2回の休憩を挟みながらの長丁場でしたが、皆様リラックスして楽しんでいただけたようで、当日の朝までムービーを作りながらレコード選定に迷った甲斐がありました。ご来
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署名を始めた人に聞いてみよう。声をあげた瞬間のこと。 [第6回 ロッシェル・カップさん]

署名を始めた人に聞いてみよう。声をあげた瞬間のこと。 [第6回 ロッシェル・カップさん]

このインタビューでは、今までChange.orgで「キャンペーン」と呼ばれるオンライン署名活動を立ち上げたことがある方に、その頃の気持ちやエピソードを振り返ってお話しいただきます。

第6回目は、東京都が計画していた東京オリンピックのパブリックビューイングの施設を作るための木の剪定と、パブリックビューイング自体の中止を求め「キャンペーン」を立ち上げた、ロッシェル・カップさんにお話を伺いました。10

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圓朝と星新一と村上春樹、文庫版『恋はいつもなにげなく』が出ること、インタビューを誰でも受け付けます

圓朝と星新一と村上春樹、文庫版『恋はいつもなにげなく』が出ること、インタビューを誰でも受け付けます

古典落語で「芝浜」という有名な人情噺があります。この噺、僕はすごく好きなのですが、人によっては「いかにも作ったような物語だ」と指摘します。

芝浜、どうしていかにも作ったような物語なのか。三遊亭圓朝という落語家のオリジナル作品なのですが、これ圓朝がお客さまから「お題」を3つあげてもらって、その3つのお題「酔漢」、「財布」、「芝浜」から作った物語なんです。

だから、どうしても物語に「無理」があるの

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高橋春夫・山田ミヤ 2人展
春の器と版画

高橋春夫・山田ミヤ 2人展 春の器と版画

高橋春夫

シンプルさを追求している全ての表現方法に於いて言えることと思いますが、只シンプルなだけですと面白味のないものになってしまします。
余分なものを削り取っていって、美しいものを創り上げていくという作業は、本当にたいへんな事と思います。理屈では表し得ない何かを込めてそれも削り取りながらの作業なのですから余計に・・・・。
高橋春夫さんの陶芸の作品にはいつもシンプルな美というものを感じます。

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越智香住 ひとりあそび

越智香住 ひとりあそび

飛騨高山にアトリエと住居があり、自然の中で作品を制作し、健やかな暮らしをされている越智香住さんが一年に一度この季節に、東京青山の下界に降りて参ります!
ずいぶん以前にギャラリーで作品のご紹介をさせて頂いていた頃の横尾忠則氏にUFOの発見の仕方等を教えて頂いていた時分、ご自身を天界の人間とおっしゃる無邪気な氏を思い出しましたが、ピュアな越智さんは正に、山の上の方角に住む天界の人!
そんな越智さんも人

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須川まきこ 肌愛

須川まきこ 肌愛

今年の須川まきこさんの個展作品の完成度の高さはご覧になられた多くの皆様に伝わり、大好評でした。
特に作品に描かれた女性たちの凛々しい表情は格好良くて、まきこさんの現在を映したものにも見え、感動を覚えました。
作品の輪郭線はロットリングで描かれおりますが、全く乱れのない美しく流麗なラインを表現するにはどんなに緊張感を伴うものかと想像いたします。

まきこさんの、とてもつらい経験を通して、それと等価

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PLANTS OF PLANET vol.3- 植物の惑星vol.3 -

PLANTS OF PLANET vol.3- 植物の惑星vol.3 -

YUI DROPS (アロマのコーナー) 主催の企画展「PLANTS OF PLANET ー植物の惑星ー」も、シリーズ3度目の開催となりました。
 今回、深い森や森の生き物達をミヤギユカリさんに、花々や果実を中村桃子さんに、惑星の外から俯瞰した植物群のイメージを伊丹裕さんに描いて頂き、素晴らしい作品展を開催する事ができました。三名の方々に感謝申し上げます。
 存在の謎を解明できない宇宙空間を、感性

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民野宏之 作品展

民野宏之 作品展

時代の風がどんどんシビアになっている季節に、民野さんの作品展が近づいて民野さんにお会いできる、と思うと、ひとすじの清涼な風を心待ちにしていた感覚をおぼえます。
作品と作家の精神はリンクしているのは当然ですが、民野さんの作品から流れ出してくる涼しげな同時に温かなエネルギーは本当に大切なものと感じております。
この地球上で起きている知らぬ間に始まっていた疫病の流通とか謀略から生まれた戦争が取り巻く空気

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香りのワルツ展にご来場頂きありがとうございました。

香りのワルツ展にご来場頂きありがとうございました。

先日まで開催していた香りのワルツ展には沢山の方にご来場頂き感謝しています。
無事終了致しました。
ありがとうございました。

初日は3月11日という事に加えて世界情勢の悪化や、パンデミックの見えない収束と色々な事があり、最近では珍しく眠れないまま朝を迎えました。
どんな気持ちで宣伝したら良いのか。もやもやとした心だったように感じます。
「キラキラとした楽しい世界で一瞬でも心華やいでほしい」という想

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平野恵理子 映画・60年間61本勝負

平野恵理子 映画・60年間61本勝負

変わらぬ人気で多くの人々を魅きつけた平野恵理子さんの、素晴らしい企画であり、そして何より筆のラインの自由さ加減、練達ぶりを味合わせて頂いた展覧会でした。
平野さんが生まれた時に作られた映画から現在に至る毎年々の映画をピックアップして、彼女の年齢分の作品が出来上がりました!
その映画をご覧になった方々も共通の思いを語り合ったり、また見たのだけれどその場面が記憶に残っていなかったりと、楽しい会話が交わ

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