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エッセイ~日々の戯言、独り言~

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猫の話、酒の話、どうでもいい話。日々思い浮かぶことを綴りました。
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#エッセイ

のこのこと、たけのこ採りに付いていく

のこのこと、たけのこ採りに付いていく

法事で長野の田舎へ行った。
色々理由はあるけれど、自ら進んで行きたい場所ではない。
特にこの季節。
山や森や竹藪に近づきたくはない。なぜなら、ゴッキーは素手で潰せても、私はニョロッとしたものが、大の苦手だからだ。

「明日の朝、帰る前に竹の子を採っていったら?」

法事の後、そんなお誘いを受けた。
ありがたい申し出だけれど、躊躇してしまう。

あれは、中学生だった頃のこと。
同級生数人で、とある寺

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大きな琵琶の木の下で

大きな琵琶の木の下で

梅雨入りしそうでしない、アンニュイな気候が続くこの季節。スーパーのフルーツコーナーで毎度驚くことがある。

「ビワって、こんなに高かったっけ?」

去年の夏、小学校時代の友人たちと、鴨川シー・ワールドへ行った。千葉はビワが名産だそうで、お土産屋さんを周りながら、やはり、この話題になった。
子供の頃は、おやつに2つ、3つ、普通に食べていた。
でも現在、スーパーで見るとだいたい1個100円前後する。

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いつか、4杯目の乾杯を

いつか、4杯目の乾杯を

「お酒は3杯までって、決めているの」
なっちゃんは、決してそれ以上は飲まなかった。
飲み足りない私はいつだって、もう一杯くらいいいじゃないのと誘うのだけれど、なっちゃんが4杯目のお酒を注文することはなかった。

なっちゃんは、大学時代、よくつるんでいた友人の一人。
名前に「夏」の文字が入る。
梅雨が明け、前期試験が終わってほっとする頃になると、彼女はいつもこう言っていた。
「いよいよ夏が来るよ。私

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ランチタイム・メモリー

ランチタイム・メモリー

昔、派遣社員として日本橋の証券会社に通っていたことがある。
世はバブルの真っ只中。周りはエリート証券マン。
当然のように、ランチタイムは毎日、外食だった。オフィス内でお弁当を食べる、という習慣がなかったのだ。
昼時になれば外に出て、1000円前後のランチを食べ、ついでにお茶してオフィスに戻るのが常だった。
もう30年も前のことだから、今はどうかわからないけれど、日本橋はランチ処が選び放題だった。

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母のいない母の日に想うこと

母のいない母の日に想うこと

母の日ですね。
カーネーションの花束を買って、仏前に供えました。
普段より3割くらい高いかなー、足元見てるなー、と悪態はつかないでおこう。

遥か昔のこと。
あれは母の日ではなく、誕生日だったかな。
お小遣いを握りしめて、私は近所のお花屋さんに走り、店頭に並んでいた花束の中から、ひとつを選んだ。持っていたお金で買えるものが、それしかなかったのだ。

差し出した花束を見て、母は驚いた。
「これ、仏様

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トラブル・ピーチ、トイレ・トラブル

トラブル・ピーチ、トイレ・トラブル

常習的にお酒を飲むようになったのはいつの頃からだろう。惰性と怠慢の極みであるバブル直前の文系大学生だった時、恋してはフラれ、やけになって覚えた深酒。
今思えば本当にアホらしい。
あんな奴の一体どこが良かったんだって、思う日がきっとくるよと、当時の自分に教えてあげたい。

恋が終わっても、晩酌習慣からは抜け出すことができぬまま、私も社会人となった。
電車通勤で困ったのがトイレ問題。呑兵衛さんは身に覚

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初めての菖蒲湯

初めての菖蒲湯

昨日、菖蒲湯に入ったことがないという話を書いたら、なんと、今日、代々木上原の商店街で菖蒲の葉を配っていた!

この世に生を受けて半世紀、初めての菖蒲湯に入ります!
これできっと長生きできるわー!

さて、明日でGWもおしまい。
遠出はせずに近くの公園を散歩したり、イベント会場を巡ったりと、安上がりな休日だった。

今日は代々木公園へ。
家族連れにカップルに友人同士、シートの上でピクニック。

円安

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憧れの菖蒲湯

憧れの菖蒲湯

でかいニラだな。
と思ったら、菖蒲の葉だった。
あ、そうか、子供の日が近いんだな。
私にとって、菖蒲湯は憧れだった。
菖蒲湯だけではない。
子供の頃、入浴剤を入れた色付きのお風呂が、羨ましくて羨ましくてたまらなかった。

伊豆で宿を経営していた私の実家の風呂は、当然のことながら温泉だった。1年365日24時間、絶えることなく温泉が涌き出ていた。予約があろうがなかろうが、群発地震のおかげで閑古鳥が鳴

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なんじゃもんじゃと最近のドト活~ミラノサンド新作は「てりやきチキン&きんぴら」

なんじゃもんじゃと最近のドト活~ミラノサンド新作は「てりやきチキン&きんぴら」

なんじゃもんじゃもそろそろ見納めかなと思い、昼休みを利用し、早足で見にいってきた。
先週末は「純白」という形容詞がぴったりなほど白く美しかったけれど、少し茶色がかってきたかな。それでも十分きれいで、癒される。

外に出たついでにランチ……といっても時間がないのでやっぱりドトール。
メニューに「てりやきチキン&きんぴら」という見慣れぬ文字が。
ミラノサンドの新作らしい。
新メニューは試さないと気が済

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なんじゃもんじゃを知っていますか?

なんじゃもんじゃを知っていますか?

季節が変わり、桜の花が散り新緑を芽吹かせる頃、艶やかに白い花を咲かせる大木がある。

ヒトツバタゴ、別名「なんじゃもんじゃ」。

名前の由来には諸説ある。
あまりにも珍しい木なので、
「この木はなんじゃ?」
と、尋ねられるようになったことから「なんじゃもんじゃ」になったとか。他の説もあるけれど、私としてはこれがしっくりきた。
東京都内だと、井の頭公園や深大寺で見られるよう。

私が毎年楽しみにして

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老眼進んで、日が暮れて

老眼進んで、日が暮れて

老眼が進んだ上、白内障予備軍と診断されはや数年。
幸い今のところ日常生活に支障はないけれど、本、特に文庫本が読めなくなってしまった。PCやスマホの画面のように拡大できないのだから仕方がない。
解決策はひとつ。老眼鏡デビューを決意するしかない。
でもやはり、安易に老化を認めるような行為には抵抗がある。

そもそも「老眼鏡」というネーミングがよろしくないのだ。

なぜ英語の「Reading Grass

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コーヒーと百合の香り

コーヒーと百合の香り

普段はリモートだけれど、昨日は出社。お昼前に解放されたので、地元に戻り、ドトールにてひと息。
ミラノサンドA推しだけれど、電車の中でツナマヨお握りの記事を読んだものだから、口の中はツナ気分。ということで、ツナチェダーチーズを。
注文カウンター前の2人掛けのテーブルに鎮座。
ツナチェダーチーズが出来上がるまで、アイスコーヒーをちゅーっと啜っていると、微かな花の匂いが鼻腔をくすぐった。
直前におばちゃ

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ビバ! 町中華!!

ビバ! 町中華!!

以前のトピックスでも、町中華は日本の無形文化財にすべきだと書いた気がする。
それは非現実的だとしても(個人的には現実化して欲しい)、「まちちゅうか」と入力して一発変換できないって、この世の中、何か間違っている気がする。
「すたーば」まで入力すればスターバックスが出てくるのにさ。

とはいえ、そもそも町中華という言葉を聞くようになったのも、ここ10年ほどのことではないか。
私が子供の頃は町の至る所に

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花とジャズの夕べ

花とジャズの夕べ

久しぶりに太陽を見た気がする。
冷蔵庫の食材をかき集めてお弁当を作り、近くの公園へ行った。

青空に映える、限りなく白に近い薄ピンクの花。
世の中にこれ以上美しい花はないと、毎年、桜が咲く度に思う。

そして、この季節がくる度に思い出すことがある。
あれは学生時代、満開の桜が都会を彩っていた頃のこと。友人たちと荻窪界隈で飲んだくれた後、吉祥寺へ移動してさらに飲み、酔っ払いとなって夜の井の頭公園に忍

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