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2020年12月の記事一覧
園長の贈り物(かわいいのに甘い)
私は棺桶に入れ運ばれてきた。その日は雨にかわって鮫が降っていた。巨大とは言えないがこの街で唯一の動物園だ。平日の人々はキリンよりもむしろ不倫を見つめている。まあそれはそれでいい。愛とは代替することだろう。恋する時は他に何もないように思ってしまうものだ。
とどのつまり。
私に与えられた檻の中は1ページだけの小説みたいだった。じゃれ合う相手はいない。歩き出せばすぐに壁に突き当たる。そこが世界の果
猫と野菜畑(歌を離れて)
最も描きたかったのは猫の瞳だった。僕はすぐにでも猫を描き始めるつもりだったが、甘かった。師匠にどうしても認められなかったのだ。
「近道は回り道と心得よ」
理想の絵に近づくためには形から入るのが師匠の流儀だった。基本となる形、丸、三角、四角を会得しない限りは、いかなる絵も完成することはできない。勿論、猫だって。それにはまず筆を取る前に、歌うことから始めなければならないのだった。
こまめに丸かい