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Books

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世界中のカフェ、図書館、古本屋、書店で出会って読んだ本たち。 本を持って旅に出て、その土地に合った本を置いて、また新たな本と旅に出る。
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#建築

自分が住処に選んだ場所が、一種の自己表現になっていく時代【本:日本人はどう住まうべきか?】

自分が住処に選んだ場所が、一種の自己表現になっていく時代【本:日本人はどう住まうべきか?】

養老孟司(解剖学者、1937年、鎌倉生まれ)著書『バカの壁』など
隈研吾(建築家、1954年、横浜生まれ)著書『負ける建築』など

この本を、あるお茶屋さんのカウンター席で読んでいたら、そのお店のお母さんが「何の本を読んでいらっしゃるんですか?」話しかけてきてくれて、そこから「日本の建築の未来」や「人々の動向」「娘さんの大学受験」「どういう街が住みやすいか」などと言う話になった。私は移動中、本をひ

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私が、建築をスキになった本10選

私が、建築をスキになった本10選

最初は、建築というよりも、欧州の図書館や美術館のデザインが好きで、そもそもデザインとは、なんて語れない自分に、本を読むこと、人と話すこと、実際の建築を見ること、ただその空間にいることの大切さを教えてくれたのは、紛れもなくただ旅行が好きな自分の好奇心だった。

小さな幸せを見つけ、毎日を楽しんで生きている人。

これだけで、人生の十分な功績だと、思いながら。それでも、移動を続ける。

進学よりも旅行

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建築を学ぶには身体を使うべき【本:建築家、走る】

建築を学ぶには身体を使うべき【本:建築家、走る】



・この建築を建てることが街にとって、環境にとって、本当にいいことなのか、地域の人たちを幸せにすることなのか
・1997年のビルバオ現象「ビルバオ・グッゲンハイム美術館」

・戦後日本の建築業界
第一世代:1920年頃:初期
第二世代:1930年~1970年頃:国内発注形態
第三世代:1970年~2000年頃:移行期
第四世代:今:国内の建築需要は満たされ、国際レース

・文化や洗練とは対極にあ

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自分の地図をつくる洞察力とは【本:建築のエッセンス】

自分の地図をつくる洞察力とは【本:建築のエッセンス】

2000年に、建築家の斎藤裕氏により発行された『建築のエッセンス』という本からは、建築家の情熱と奥深さ、そして日本の空間と色彩美を学んだ。

「日本の建築って、なんで色彩が無くてつまらないんだろう」そんなことを南米や東南アジアで考えていたけれど、まさか日本の茶室や書院造に美しい空間と色彩を学ぶとは。そういえば、今思えば旅籠や書院造も、籠るだけ、書くだけ、という質素でいて壮大な花鳥風月を感じる場所だ

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ベトナムの建築家から壁面緑化と風土を考える【本:Going Green with Vertical Landscapes】

ベトナムの建築家から壁面緑化と風土を考える【本:Going Green with Vertical Landscapes】

"Going Green with Vertical Landscapes" というベトナムと日本の建築家編集による本は、現在、金沢美術工芸大学、福岡大学、明治大学、北海道科学大学などの限られた大学の図書館にしか置かれていない。

・Vertical Gardens(壁面緑化)

・In the 21st century, the architects and designers of urban

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環境と建築と人間の関係【本:「組み立てる文化」の国】

環境と建築と人間の関係【本:「組み立てる文化」の国】

偶然、図書館で見つけた建築関係の本。1984年に出版されている本で、著書の若山氏は他に『建築へ向かう旅』(旅行記の形をとった建築論からの文化論)と『風土に生きる建築』(建築構法の分類・分布・風土との関係研究)を出版されている。どちらのタイトルにも、興味がある。

ペラペラとページを読み進めていると、あとがきにこのようなメッセージがあった。これを読んで、私は、読むことを決めた。

「10年間勤めた設

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保存でもあり、同時に開発でもある、という微妙で曖昧な何か【本:隈研吾による隈研吾】

保存でもあり、同時に開発でもある、という微妙で曖昧な何か【本:隈研吾による隈研吾】

ある国立美術館で、飛行機内で読む本を探していた。正確には、国立美術館の展覧会を見ている時間は無く、お土産屋にしては多くの本が置いてあり、少しの時間を潰すのには最適だった。

数年前に読んだ『自分の仕事をつくる』という本や、ドイツの建築家ブルーノ・タウト氏の紹介本。本当は、タウト氏本人の『日本美の再発見』『忘れられた日本』『建築とは何か』等の本があったら選んでいたけれど、それらは販売されていなかった

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スリランカの熱帯建築とは【本:熱帯建築家ジェフリー・バワの冒険】

スリランカの熱帯建築とは【本:熱帯建築家ジェフリー・バワの冒険】

ちょうど、隈研吾氏と山田由美氏著書の『熱帯建築家ジェフリー・バワの冒険』を読んだ後に、スリランカの友人にThe Barnhouse Studioというコロンボ市から約1時間の場所にある竹建築の場所を紹介され、ベトナムのメコンデルタにあるEco Bamboo Villageを思い出した。(以下は、The Barnhouse Studio のサイトにあった写真。ウッディな感じと、挙式や食事パッケージの

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共感の可能性【本:経済学は人びとを幸福にできるか】

共感の可能性【本:経済学は人びとを幸福にできるか】

感動と知的な衝動。この本を読んで思った。経済学は、これほどまでに広かったのか、ということ。合理的に、正解のある答えをもとめる数値結果だけではなかった。ある限られた知識人だけの専門領域ではなく、皆、それぞれ「幸福」を考えながら、それぞれの時代を生きていたんだな、と俯瞰することもあった。でも、何よりも、この「広い」のは、経済学が、というよりも、宇沢弘文氏の知的好奇心の広さと深さによるものなんだろうなと

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日々の過ごし方に工夫が必要なところ【本:旅。建築の歩き方】

日々の過ごし方に工夫が必要なところ【本:旅。建築の歩き方】

小さい頃、建築家や画家といった方々が身近にいたからか、絵画の道具や設計図は身の回りにあったし、私自身の将来の夢が「漫画家」だったから、「建築」というものにはとても惹かれるものがある。それが、建築なのか、もしくは人間と自然界の共存空間が好きなのかはわからないけれど、「日々の過ごし方に工夫が必要なところ」が自分に合っているということだけは、わかる。その空間にある建築様式は、なんだか遊び心があるようで、

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