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映画感想

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2022年9月の記事一覧

映画「LAMB/ラム」感想 人間の欲望×羊の子供×ホラーかヒューマンドラマか

映画「LAMB/ラム」感想 人間の欲望×羊の子供×ホラーかヒューマンドラマか

ホラーになっているが、どちらかというとファンタジーに近い。かなりグロい作品かと思いきや、人間の欲望や夢があり、それが叶ったときの様子が見事に表現されていた。ホラー要素はラストに分かる半羊人というべき存在に対してだろう。大半がクレアとイングヴァルの生活、さらに生まれた命であるアダとの暮らしが表現されている。アダは頭が羊で身体の大半が人間という存在だ。子供を失った二人はアダを自分達の子供と思い育ててい

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映画「スーパー30 アーナンド先生の教室」感想 数学×世界的な大学×アーナンド先生の教育

映画「スーパー30 アーナンド先生の教室」感想 数学×世界的な大学×アーナンド先生の教育

インドの有名な私塾の物語。インドで一番の大学に入るために先生と子供たちが奮闘する。物語は、アーナンド先生が数学の論文を認められるところからスタートし、ケンブリッジ大学には行けなかったが、道端でスカウトされて、金持ちが通う塾の講師になり、高給取りへと人生を転換させる。しかし、貧しい子供たちが路上で勉強する姿を見て、さらに父親の言葉を思い出すことで、無料の私塾を作り、選抜30人のクラスでインド最難関の

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映画『犬も食わねどチャーリーは笑う』感想 旦那デスノート×夫婦×本音

映画『犬も食わねどチャーリーは笑う』感想 旦那デスノート×夫婦×本音

コメディタッチだが、シリアスもあった。香取さんが演じる裕次郎が妻から見るとクズで、何度も問題になる。妻の日和もハッキリ言わないから関係がおかしくなり、離婚問題に発展してしまう。可哀想化は視点により、旦那に気づいてほしいやきもき感があり、イライラしてしまうシーンもある。特に裕次郎が日和との秘密を自分の母に言うシーンとか。旦那デスノートで旦那の悪口を日和が書き、出版の話もあるが断ってしまう。色々とあり

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映画「アバター:ジェームズ・キャメロン3Dリマスター」感想 地球人×ナビィ×臨場感ある王道なストーリー

映画「アバター:ジェームズ・キャメロン3Dリマスター」感想 地球人×ナビィ×臨場感ある王道なストーリー

アバターは観たことがなく、続編も公開されるので、アバターの世界観を知りたく鑑賞した。今でも通用する技術で、観て良かったと思えた。人間から見たらエイリアンだが、地球人も異星人から見たらエイリアン。その関係性が上手く説明されていて、違和感はなく流れるように観れた。そりゃ話題になるよなあと思うぐらいだった。最初から主人公サイドは侵略者であり、対話よりも武力で制圧する方向で話を進めていた。対話するのは一部

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映画「雨を告げる漂流団地」感想 団地の精霊×子供の心が×シビアな異世界冒険

映画「雨を告げる漂流団地」感想 団地の精霊×子供の心が×シビアな異世界冒険

想像以上にタフなアニメだった。ビックリした。異世界転生かと思いきや、傷も空腹も現実の非常にシビアな世界観。とにかくやばい。てっきり子供がピクニック気分で騒ぐ映画を想像していたので、精神的にキツかった。ラストは現実に戻ってくるのだが、怪我も記憶もそのままの子供には過酷な経験になっている。とにかく、夏芽がしんどい。みんなの危機にノッポを救おうと一人で行動するし、折角帰れる時に自分勝手な行動を取る。その

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映画「バブル」感想 泡×パルクール×バブルな彼女

映画「バブル」感想 泡×パルクール×バブルな彼女

映画館で鑑賞した。舞台設定はわかるし、パルクールで魅せるのはかっこよかった。正直、パルクールのしあいを8割ぐらいでも良かったぐらいだ。バブルの秘密は有耶無耶にして、主人公とバブルの彼女のストーリーで良かったと思う。ラストへ仲間やライバルが一致団結するシーンは熱いし、面白い。ただ、パルクール無しだと何が言いたいのか分からないし、バブルの意味も説明したようで曖昧だ。説明不足とも過剰とも言える不思議な作

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映画「ビースト」感想 ライオン×恐怖の本能×撮影手法

映画「ビースト」感想 ライオン×恐怖の本能×撮影手法

ライオンが滅茶苦茶に怖い。元々は人間のせいなのだけど、襲い方が半端ではなかった。怖すぎる。アメリカから来た家族がライオンに遭遇してしまう。観ていてドキドキして、ライオンと野生の怖さが感じられるそんな映画である。何が怖いのか?本能的な恐怖もあるが、ライオンが徐々に追い詰める怖さを感じてしまった。主人公の友人が一人で、池の方に向かうシーンは緊迫していた。一人で行かず、まずは救援を求めるべきでは?と思っ

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映画「ガリレオ 沈黙のパレード」感想 劇場版のシリアスさ×湯川×草薙

映画「ガリレオ 沈黙のパレード」感想 劇場版のシリアスさ×湯川×草薙

かなりシリアスな物語だった。最初は街の人たちがダレかを庇うストーリーだと思ったが、全然違った。一人の歌手志望の女性、並木佐織が亡くなった。彼女は街の人たちから愛されていた。複雑に絡み合った伏線が見事に解き放たれていく。とにかく、佐織が可哀想であり、二重の意味で辛い。街の人たちが共謀して行ったターゲットが悪いのだが、ストーリーはかなり厳しい。それにしても、劇場版のガリレオはシリアスなのが良い。ドラマ

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映画「大河への道」感想 大河×伊能忠敬×物語の重要さ

映画「大河への道」感想 大河×伊能忠敬×物語の重要さ

地域振興のためにドラマを制作する。そのために、由来や起源を調べることもあると思う。本作は千葉県香取市の市役所に勤める人たちが、伊能忠敬を主人公にしたドラマを作る映画だ。広告でもあったが、日本地図が完成したのが伊能忠敬が亡くなった後であり、物語はその事実から始まる。現代と江戸時代を行き来さながら、コミカルとシリアスを挟みつつ、見事に進行していく。大河ドラマを作るのが、日本地図を作ったドタバタの方が主

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映画「地下室のヘンな穴」感想 幸せな夫婦×若返り×夢のために

映画「地下室のヘンな穴」感想 幸せな夫婦×若返り×夢のために

なんか消化不良になった。家にあるダクトを潜ると、12時間進み、3時間若返る。要は、夜8時に穴を潜ると、朝の8時に穴から出てくることになる。それを知ったアランとマリー。特に妻のマリーは3時間若返る効果に期待して、何度も穴に入っていく。逆に夫のアランは、保険の仕事を優先し、経済的な安定を目指し、日常を過ごしていく。マリーの若返りの執着は尋常ではなく、毎日穴に入り、ドンドン若返る。モデルになりたいという

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映画「デリシュ!」感想 レストラン×フランス×意欲の大切さ

映画「デリシュ!」感想 レストラン×フランス×意欲の大切さ

予想以上に良かった。もっとダークな物語をイメージしていたが違った。フランスの歴史上おそらく初めてレストランが生まれる過程を観れた。美味しいものを誰にでも提供する。いまでは当たり前だが、当時のフランスでは難しかった。美味しい料理を提供できる料理人は希少であり、ノウハウと才能が大切だ。今では飲食店が数多くあるが、当時の料理は貴族のものであり、誰にでも食べられるものではなかった。それを描写しているのが印

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ドラマ「フラッシュ」簡易感想 スピードヒーローとウェルズ博士

ドラマ「フラッシュ」簡易感想 スピードヒーローとウェルズ博士

Netflixのドラマフラッシュを観た。中々に面白く、スピードスターに相応しいヒーローだ。CGの出来がよく、ドラマには思えない。映画化もあるかもしれないが、ドラマで物語が完成しているから、アベンジャーズみたいにヒーロー集結もいい。映画は多少のアレンジありで。一番印象に残ったのは、ウェルズ博士だ。フラッシュことバリーの師匠であり、宿敵。非常に魅力的なキャラクターであり、シーズンを重ねるたびに俳優が同

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アニメ映画「夏へのトンネル、さよならの出口」感想 高校生の二人×ウラシマ効果×君の名は。の影響力

アニメ映画「夏へのトンネル、さよならの出口」感想 高校生の二人×ウラシマ効果×君の名は。の影響力

観て一番最初に思ったのは、「主人公はどうするの?」という疑問だ。行方不明から13年経って、身体的には高校生なのて世間がパニックになると思う。この後の物語の方が気になる。少年が年を取らずに13年先にタイムスリップした様相になっている。本人からしたらかなり過酷であり、どのように対処するのか気になってしまう。物語は、カオルとあんずが何でも好きなものを手に入れられるウラシマトンネルに入る。現実世界の1日は

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映画「ブレット・トレイン」感想 新幹線か夜行列車、そして蜜柑と檸檬

映画「ブレット・トレイン」感想 新幹線か夜行列車、そして蜜柑と檸檬

伊坂幸太郎さんのマリア・ビートルの映画化。原作が印象に残ったので鑑賞。ムビチケがJRのチケットを模していて中々に画期的だった。ブラピが描かれていない、まさに切符のような前売りチケット。新幹線みたいな電車は出てくるが、まったく違う。夜行列車であり、東京から京都まで一晩掛かる距離に設定されている。今回の設定は、東京→京都が札幌→京都ぐらいになっていると思った。夜に東京を出て、朝7時ぐらいに米原に到着し

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