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映画「雨を告げる漂流団地」感想 団地の精霊×子供の心が×シビアな異世界冒険

想像以上にタフなアニメだった。ビックリした。異世界転生かと思いきや、傷も空腹も現実の非常にシビアな世界観。とにかくやばい。てっきり子供がピクニック気分で騒ぐ映画を想像していたので、精神的にキツかった。ラストは現実に戻ってくるのだが、怪我も記憶もそのままの子供には過酷な経験になっている。とにかく、夏芽がしんどい。みんなの危機にノッポを救おうと一人で行動するし、折角帰れる時に自分勝手な行動を取る。そのくせ、航祐が自分を受け入れてくれると、あっさりノッポと別れる。まあ、ノッポが生きていける世界が見えたからなんだけど、自分勝手な印象が強く、子供とはいえ許せなくなりそうだ。中々にしんどいキャラ。友達からも拒絶されるし、ヒロインなのに苦しい立場だ。過酷な世界観で、食料も無くなっていく。夢の世界ではない。さらに、食料がなくなり出すと雰囲気が悪くなっていく。団地が舟であり、また、観覧車やプールなども出現して、物語の鍵になる。

面白いのだけど、ハッピーエンドではなく、子供の頃に過ごした団地に如何に別れるかが描かれている。一つ思うのは、両親が不安定で喧嘩ばかりの家庭の夏芽は、どこか心が傷ついてしまっている。他の子供は家庭が安定しているので、子供だが心が安定している。夏芽が可愛そうで、親のために我慢する。その中で出会った安じいとの出会いで心を取り戻していく。だからこそ、団地にこだわるわけで、意地でも団地に残りたいわけだ。家庭環境が鍵だが、子ども達の信頼関係でも心が回復する。航祐は幼なじみであり、異性とも意識し始めているのかもしれない。主人公がもっと大人になれば、ラブロマンスもあるのかも。それにしても、あの世界観は大人でも行けるのだろうか?子供だからこそ長い間耐えられたわけで、経験豊かな大人だと逆に諦めてしまいそうだ。また、ロープを使って建物間を移動していたが、体重が重い大人なら簡単に切れそうだから、早いタイミングで終わってしまうだろう。なんにせよ、子供達のだからこそ生還できた。ノッポは団地が現役の時から、主人公達を見守っている精霊のようなもの。観覧車にも精霊がいて、子供達とも思い出を話していた。精霊はあの世界での大人のやくわりがあるのかもしれない。

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