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映画「ブレット・トレイン」感想 新幹線か夜行列車、そして蜜柑と檸檬

伊坂幸太郎さんのマリア・ビートルの映画化。原作が印象に残ったので鑑賞。ムビチケがJRのチケットを模していて中々に画期的だった。ブラピが描かれていない、まさに切符のような前売りチケット。新幹線みたいな電車は出てくるが、まったく違う。夜行列車であり、東京から京都まで一晩掛かる距離に設定されている。今回の設定は、東京→京都が札幌→京都ぐらいになっていると思った。夜に東京を出て、朝7時ぐらいに米原に到着しているからだ。電車の形状から新幹線がモチーフだが、内容は夜行列車そのもの。ファーストクラスもあり、夜行列車そのもの。A寝台を思い出した。鉄道ファンが見たらどう思うのだろうか?まあ、架空の日本だからもんだいないのだろう。本作の日本は8割ぐらいあっているが、細かい部分が違っていた。漫画やアニメに出てくる日本に似ている。ただ、違和感がすごかったのは、名古屋を過ぎて京都に向かう中で富士山がでてきたことだ。これは明らかに日本ではないから、空想のジャパンということになる。京都駅も実際とは違った。ある意味で、日本で撮影が難しいかワザと空想の日本を出して、イメージを損なわないかを考えているのかもしれない。

それにしても、原作をうまく料理している。特に蜜柑と檸檬が良かった。原作を上手く盛り込んで、俳優の演技もあって、原作を読んでいるとニヤリとしてしまう。ブラピもイメージ通りで、真田さんによる天道虫の解説も印象的だ。蜜柑に関しては、かなりイケメンになり、ダンディでカッコよかった。原作では、ダンディよりも若者のイメージだったが、いい意味で覆されてびっくりした。退場は残念で原作とお馴染み流れなんだけど、檸檬が原作と違う結末なので、最後のアクションシーンで観たかった。ちなみに高速列車の最後尾にしがみついて、フロントガラスを割って車内に入ってくる超人。檸檬に関しては、もちろん生存ルートだったことだ。防弾チョッキのおかげで最後まで活躍した。これは恐らくラストのトレインアクションに必要だから生き残った気がする。とはいえ、檸檬は「きかんしゃ」トーマスから人間を学び洞察力に優れており、かなり面白いキャラだ。ラストの大乱闘では、ギャグも戦闘もこなせるから、非常に大事。檸檬は最後の最後で見せ場があるなど、制作陣について恵まれていると思う。

原作では、東京→仙台だったと思うが、本作は東京→京都なので、京都駅についてからは完全に別物になっている。ただ、アクション満載でラストは原作とまったく違うから、原作ファンでも楽しめると思う。

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