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OMOI-KOMI 我流の作法 -読書の覚え-

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私の読書の覚えとして、読後感や引用を書き留めたものです。
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2022年9月の記事一覧

変化の時代、変わる力 ― 続・経営思考の「補助線」 (御立 尚資)

変化の時代、変わる力 ― 続・経営思考の「補助線」 (御立 尚資)

 かなり前ですが、御立尚資氏による前著「経営思考の「補助線」」も読んでいます。
本書も前著と同じく、日経ビジネスオンラインの著者の連載コラムをもとに加筆・修正したものです。

 テーマは「変化」と「適応力」。
 いくつもの参考になる指摘が見受けられましたが、その中から2・3、覚えに書き留めておきます。

 まずは、変化に対応するための「シナリオプラニング」に関するところから。
 シナリオプラニン

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「ツキ」の科学 運をコントロールする技術 (マックス・ギュンター)

「ツキ」の科学 運をコントロールする技術 (マックス・ギュンター)

 妻が読んでいたので、ちょっと気になった本です。

 誰もが非合理的なものだと思っている「運」をテーマに、運のいい人・悪い人の間の明確な違いを合理的に解明しようとした意欲?作です。

 まずは、著者による「運」の定義から。

 著者は、本書の後半で、この「運」の良い人の特性を5つ提示して、それぞれについて、当該特性を身につけるための方法を紹介しています。

 一番目は、「運の良い人は社交性に富む」

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政治家の殺し方 (中田 宏)

政治家の殺し方 (中田 宏)

(注:本稿は、2012年に初投稿したものの再録です)

 著者の中田宏氏は前横浜市長。
 多選現職市長に替わり若手改革派として当選、世間の脚光を浴びましたが、任期途中、数々のスキャンダル疑惑でマスコミを賑わせました。それらの疑惑から派生した裁判の結果は中田氏の勝訴、しかしながら、政治的には大きなダメージを受けました。

 本書は、その中田氏が、自らの身の潔白を示すために当時の実態を語った告白の書で

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9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方 (福島 文二郎)

9割がバイトでも最高のスタッフに育つ ディズニーの教え方 (福島 文二郎)

 先日、リッツ・カールトン関係の本(「リッツ・カールトン 一瞬で心が通う「言葉がけ」の習慣」)を読んだのですが、今度はディズニーです。

 PROLOGUEにもありますが、リッツ・カールトンは、採用時点で会社方針の理解やサービス業への適正をチェックし徹底的に選抜する、それに対し、ディズニーは「ウェルカム」、基本的には全員採用なのだそうです。そして、この採用者を研修・教育し、自主的に行動するキャスト

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幸福なる人生 (中村 天風)

幸福なる人生 (中村 天風)

 中村天風氏の本は、以前「君に成功を贈る」を読んだことがあります。この本も、前書と同様に天風氏の講演を書き起こしたものです。

 著名な政治家・経済人にも多くの信奉者をもつ天風氏の根本思想は「心身統一」。本書は、その具体的な実践方法を語っています。

 さて、「心身統一」において天風氏が最も大事だと説くのが「心の持ち方の積極化」です。
 そのための具体的な方法が「感応性能の強化」、この実現のための

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データで検証! 地球の資源ウソ・ホント ― エネルギー、食糧から水資源まで (井田 徹治)

データで検証! 地球の資源ウソ・ホント ― エネルギー、食糧から水資源まで (井田 徹治)

(注:本稿は、2012年に初投稿したものの再録です)

 東日本大震災にともなう福島第一原子力発電所事故。一部で語られていた原子力の安全神話は一瞬にして跡形もなく吹き飛んでしまいました。

 本書では、原子力をはじめとしたエネルギー資源の問題を軸に、水資源・食糧資源・水産資源・森林資源・鉱物資源等の現状を豊富なデータにより紹介し、人類が標榜する「持続可能な社会」実現に向けた課題を浮き彫りにしていき

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リッツ・カールトン 一瞬で心が通う「言葉がけ」の習慣 (高野 登)

リッツ・カールトン 一瞬で心が通う「言葉がけ」の習慣 (高野 登)

 友人からの紹介で手に取った本です。

 顧客満足度(Customer satisfaction)ではトップランク常連のホテル「ザ・リッツ・カールトン」。
 従業員に相応額の決裁権を与えたり、サービスの基本精神が書かれている「クレド(credo)」というカードを携帯させたりと、お客様第一の姿勢を貫いているホテルとして有名ですね。

 本書の著者の高野登氏は、ザ・リッツ・カールトンの日本開業(大阪・

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災害そのとき人は何を思うのか (広瀬 弘忠/中嶋 励子)

災害そのとき人は何を思うのか (広瀬 弘忠/中嶋 励子)

 著者の広瀬弘忠氏は災害・リスク心理学の専門家です。
 著者の思考の根底には、「災害は極めて人間的な現象」だという認識があります。

 本書は、そういう認識の根拠になるような災害に直面した際の人間のさまざまな行動について、心理学的側面から解説したものです。

 まずは「第1章 異常を感じたくない心理」の中で紹介されているいくつかの興味深いキーコンセプトについて書き留めておきます。

 理性的に考え

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采配 (落合 博満)

采配 (落合 博満)

 現役時代の落合博満氏は、それは素晴らしい打撃技術をもった選手でした。厳しい内角の球でもファールにせずレフトスタンドへ、右方向のホームランはまさにバットに球を乗せて運ぶ感じ・・・、素人目にも図抜けていましたね。
 選手として前人未到の輝かしい実績を残した落合氏は、監督となってからも好成績を上げ続けました。

 本書は、その落合氏が、現役・監督時代を通した野球人生活における自らの経験・信念を書き綴っ

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社畜のススメ (藤本 篤志)

社畜のススメ (藤本 篤志)

(注:本稿は、2012年に初投稿したものの再録です)

 今のご時勢、とても挑戦的なタイトルですね。
 戦後の復興期から高度成長期にかけて、日本企業を支えたのは「会社人間」でした。バブル崩壊のころからでしょうか、成長の行き詰まりから日本企業は西欧のマネジメント思想に傾倒し始めました。そこで登場するのが「個性人間」です。

 本書での著者の主張は、安易な「個性重視」の否定です。

 著者は、「自分ら

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スティーブ・ジョブズ I (ウォルター・アイザックソン)

スティーブ・ジョブズ I (ウォルター・アイザックソン)

 スティーブ・ジョブズが亡くなった直後に発刊された彼の評伝です。
 とても充実した内容なので興味をもったところはそれこそ山のようにあるのですが、その中から特にいくつかを覚えとして書き留めておきます。

 1977年1月3日、アップルコンピュータは設立されました。立ち上げたのはスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアック、そしてマイク・マークラでした。
 マークラは出資者であると同時にジョブズの

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人間の建設 (小林 秀雄・岡 潔)

人間の建設 (小林 秀雄・岡 潔)

 評論家の小林秀雄氏と数学者の岡潔氏という同年代の巨人どおしの対談集です。

 お二人の会話を追いかけてみて、「なるほど」とサクッと腹に落ちるくだりもありましたが、知識の絶対量はもとより話題の転換や論旨・論理という点でも、全くついていけないところの方が圧倒的でしたね。当然ではありますが・・・。

 とはいえ、その中でも、特に私の関心を惹いたところをいくつかご紹介します。

 こういうやりとりは鳥肌

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聯合艦隊司令長官 山本五十六 (半藤 一利)

聯合艦隊司令長官 山本五十六 (半藤 一利)

 2011年暮れ「聯合艦隊司令長官 山本五十六」というタイトルで公開された映画の原作本です。
 主人公はその名のとおり「山本五十六」、この人物については個人的にもかなり興味があります。

 五十六は、1884年(明治17年)新潟県長岡生まれ、義理の叔父野村貞海軍少将らの影響を受け、早くから海軍軍人をめざしたそうです。海軍兵学校を卒業後、将官として要職を歴任、米国留学・勤務等も経験した五十六は、日本

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ガイアの夜明け 復興への道 (テレビ東京報道局)

ガイアの夜明け 復興への道 (テレビ東京報道局)

 テレビ東京の番組「ガイアの夜明け」で放映された東日本大震災関係を中心とする16の話を採録したものです。

 テーマは、タイトルどおり「復興」。
 未曾有の大震災の悲劇から力を振り絞って立ち上がろうとしている人々の不屈の姿勢が心に迫ります。

 本書で紹介された数多くの貴重なエピソードの中からいくつか書き留めておきます。

 震災直後、ライフラインは壊滅的で、被災された方々は被害の少なかった地方に

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