「ツキ」の科学 運をコントロールする技術 (マックス・ギュンター)
妻が読んでいたので、ちょっと気になった本です。
誰もが非合理的なものだと思っている「運」をテーマに、運のいい人・悪い人の間の明確な違いを合理的に解明しようとした意欲?作です。
まずは、著者による「運」の定義から。
著者は、本書の後半で、この「運」の良い人の特性を5つ提示して、それぞれについて、当該特性を身につけるための方法を紹介しています。
一番目は、「運の良い人は社交性に富む」。
幅広い人間関係をもっていれば、その周りの人々から新たなチャンスを与えられる可能性が高まるという考えです。
もちろん初めて会った見ず知らずの人と接するが苦手なタイプの人もいるでしょう。そういった人に対して著者は、話しかけるきっかけとして「何か簡単な質問をする」というやり方を勧めています。
二番目は、「運の良い人は直感力が強い」。
ただ、この場合、著者は超能力的な「直感」をイメージしているのではありません。
もちろん著者は、前者の直感について議論を進めます。
合理的な直感の根底には、意識的なのか無意識なのかはともかく、その根拠となる蓄積情報が存在しているはずです。直感に拠るのか否かは、この情報の有無を見極める必要があります。
職人が自らの仕事に関して直感を働かせるのはOKですが、いきなり自分の得意技ではない(たとえば)「株式相場」で直感?にもとづく取引をするのはギャンブルそのものだ、ということです。
その点では、「第一印象」だけで即断しないという姿勢も重要になります。ハロー効果等種々のバイアスがかかるとともに、判断に必要な蓄積情報があまりにも貧弱だからです。
そして、もうひとつ重要な指摘。
とことん熟慮したうえで、最後の1歩を踏み出す瞬間に働かせるのが「直感」なのです。
以降、「運の良い人は勇気がある」「運の良い人はラチェット効果をはたらかせる」「運の良い人は悲観的推測に基づいて行動する」と著者の解説は続きます。
著者が示す「運の良い人」の思考・行動様式は、「幸運が訪れる機会を広げ、その兆しに出合うと冷静に判断し、Goとなれば勇気をもって突き進む。しかしながら、状況が悪化した場合は深みに嵌る前に退く」というものです。
さて、本書を読んでの結論ですが、どうも「運が良い」ということは、「自らを取り巻く変化に能動的に対応する自助努力の『結果』」のようですね。
結局のところ、「幸運の女神は、備えができている人に微笑む」「幸運は勇者に味方する」ということです。
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