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スキを超えて「ダイスキ」な作品。 いつも素敵な作品・記事を読ませていただきありがとうございます。
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日記の醍醐味は「書けない日」にある

日記の醍醐味は「書けない日」にある

 12年日記を書いていると、書ける日もあれば、書けない日もある。当然のことだ。日記の醍醐味とは、この「書けない日」にあると、最近思っている。

 最初の頃は、数日書けない日が続くと、なんとなく後ろめたい思いにとらわれてしまっていた。その頃のわたしは、今よりだいぶ真面目だったのだろう。書けないということは、根本的に向いていないのでは?と思うことすらあった。

 しかし、この「書けない」が、とても重要

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英語詩の言葉遊び(4):ジャバウォック退治の歌

英語詩の言葉遊び(4):ジャバウォック退治の歌

「鏡の国のアリス」には不思議な詩が含まれています。

Jabberwocky と題された奇妙な物語詩。

ジャバウォックという怪物を若者が退治する様子を描いた七聯の詩。

詩の理解は難しい。作者ルイス・キャロルが独自に作り出した英語の言葉で書かれているから。

でも英語話者にはなんとなく意味が理解できる。

詩は完璧な英語の韻律において書かれているから。

単語の意味は理解できなくとも、標準英文法

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ついに解明?!「クラムボン」の正体

ついに解明?!「クラムボン」の正体

いきなり結論。宮沢賢治の初期作品のひとつ「やまなし」には、クラムボンという謎の存在が登場する。クラムボンとは何か、どうやら数十年も議論が続いているらしい。

曰く「母蟹」、曰く「光」、曰く「人間」、曰く「コロポックル」、、、

ここで、あえて断言しよう。そのどれもが誤りであると。そして、今日、この場で積年の議論に結論を出すと。

しかし聞いてしまえば、その結論は、甚だつまらぬものでしかない。隠し立

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【詩】快気祝い

【詩】快気祝い

(はじめに)

 以前、「散歩」という題名で詩を1月に掲載したの
ですが、その記事の最後に、茨城県にあります茨城
文化団体連合さまより詩を依頼されたと書きました。
なんとか締切に間に合い提出した作品が本となり手
許に届きましたので、載せようと思います。見出し
画像にも使いました「茨城の文化 59」というものに
なります。こちらはおそらく非売品になるだろう思
いますが、詩は多くの人に読まれてこそ生き

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創作:ある甘味研究者の手記

創作:ある甘味研究者の手記

シュークリームは世界を辞めていたので、ティラミスの前頭葉は常にホワイトユーモアに支配されていました。

ピーチメルバは氷の気化熱を利用してゼリー状の恋愛感情を押し込めます。夢の天然水は資本主義の人工水であり、それはハムカツがハムでありカツであることの位相差に似ています。

モンブランは目的の無い螺旋階段カテゴリーに属するとの報告には承服しかねます。モンブランが常にそして既に無極性なのは立証済みです

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現代詩『テーマ』

現代詩『テーマ』

夏のイントロをシクラメンして、真夜中の季語を定めます。
それは時曜日の日課です。

彼女はテレビを消しました。
その通りです。テレビを物理的に消したのです。

すると、平方根が無数に飛び交う砂浜で、子供たちが熱の束を掴みながらはしゃぐサウンドスケープが立ち現れるではないですか。
そこにアキアカネが駆け付けます。ポケットにオニヤンマへの不等号的な手紙を隠していますが、それはラブレターを徹底的に微分し

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(詩)海猫の詩を3つ

(詩)海猫の詩を3つ

うみねこの鳴き声聴いたうみねこ、うみねこ、
なぜ鳴くの

かなしい声で鳴かないで

日暮れにうみねこ鳴いたけど

帰りたくても帰れない
帰る場所など、ありゃしない

おいらは哀れな、家なき子
大人のくせして、家なき子

海猫ほんものの海猫は
猫に似た鳴声の
海鳥のことです

にせものの海猫は

たださびしがりやな
野良猫のことです
いっぴき、ぼっちが好きな

鳴くことも忘れ
ただ黙って
一日中海を

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無秩序

無秩序

実態もない結末を追いかける肉食獣たち、孕んだ形式が、ランダムに咲き乱れ、撹乱されてしまうだけの私たちは、乱獲され、すぐさま、絶滅してしまうだけだ、と悲しみに満ちた表情の裏で、瞬く間に過ぎ去るだけの実情が、蛇行運転を繰り返し、加算されるだけの原理により、支離滅裂な思想を促し、短絡的な愛が、君自体を拘束したり、意思に足枷を嵌め、あくせく働き続ける間に、徒然と靡く必然性や、制約を謳い、今に散りばめられた

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3分小説『ル』

3分小説『ル』

「くじ引きは今日の17時で受付終了です」
「いや、そこをなんとか」
「すいませんね。ルールだから」
「そんなこと言わないで、たったの10分じゃないですか。お願いしますよ」
「いやだから、ルールなんで」
「こんなに集めたんですよ!日用品から何から、わざわざこの商店街まで出向いて買い物したんです。このくじ引きの為に」
「それは有り難いですけどね。ルールを曲げるわけにはいかないので」
「分かりました。じ

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ペットになった日・上

単発のつもりで書き始めて、思ったより長くなったので分割。たぶん3話くらいで完結。

今日、レン君のペットになった。
漣と書いて本当は「さざなみ」と読むのだけれど、いつの間にかみんなレンと音読みするようになったのだという。
近所に住む小学4年生で、母親同士が高校の先輩後輩だったとかで、私もうんと小さい時から知っている。
そんなレン君が今日から私の飼い主様だ。

ドキドキが止まらない。
これからどんな

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