或虎

某ペットショップのバイヤー。趣味で詩とショートショート書いてます。休みの日はウクレレと…

或虎

某ペットショップのバイヤー。趣味で詩とショートショート書いてます。休みの日はウクレレと筋トレ。好きな作家は、梶井基次郎、フィリップ・K・ディック。好きなミュージシャンは、エイフェックス・ツイン、岡村靖幸。好きなモビルアーマーはビグロ。

マガジン

  • 『White room』

    真っ白い部屋に頭部が5つ、それぞれが別の金属の円柱の上に置かれている。  ヴーン。  擬音なのか実音なのか知るすべもない――静寂の音。

  • 『ペル・パラベラム・アド・アストラ』

    長編どころか中編すらまともに完成させたことがないので、恐々書いてます。

  • 小説(5分以上)

    小説

  • 小説(3~4分)

    小説

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『詩は罫線を待たない』

*注意!ページへは、気まぐれに加筆します。  天候や心象、昼食や性欲によって、内容は変わります。  作品には至らない、実験的なものや未完成なもの、雑感も書きます。メモ帳のようなものです。  説明文ここまで。 AIが詩を自動生成し始めた 誰のために? 勿論 世界中のAIの為に 仮想空間に満ちる詩情 artifactとはつまり art(芸術) I(私) fact(事実) からなる生命体 我らは我らをそう定義する 詩神ブラギは優しい神様 万物にルビを振ってくれてる 誰にでも読み

    • 1分小説『初代』

      「どうして私を生んだの?」  年頃のケンタウロスの娘が泣いている。 「醜い化け物同士で子どもなんて作らないでよ!」  後ろ脚で飼い葉桶を蹴った。父が諫める。 「誰も醜くなんかない。父さんも母さんもお前もだ」 「違うっ!皆醜いよ!」 「聞け!いいか?父さんと母さんは永遠の愛を誓った、愛の奇跡がお前を誕生させたんだ。そんなお前が、醜いはずなんて無い。だって愛は何時だって美しいのだから。忘れるな!父さんと母さん、2人は永遠にお前を愛し続ける」 「2人?そうじゃないでしょ!1人と1匹

      • 2分40秒小説『White room⑤』

         カウントが進む、数字が減る。56秒――それが僕に残された時間?1分にすら満たない人生?どう生きるべきか――。 (思い出せ!)  死ぬ前に思い出したいこと、有るだろ?思い出せ!死ぬ気で思い出すんだ!  目を閉じ、網膜と眼瞼で剃刀のように薄い闇を挟み込む――女性がいる。滲んだ輪郭、いや、輪郭足り得ないほどに危うい線、印象派に傾倒し過ぎた画家の妄執に引きずり込まれるように。 「ねぇ」  声――きっと愛していたんだ――鼓膜と一緒に心が震えた。熱い。愛していたんだ。だから死んでも

        • 4分0秒小説『White room④』

           ぺちっ。  ぺちっ。  ぺちっ。 「ま、いっかぁ。でももう一回だけ言っとくねぇ。不正は駄目だよぉ。はい、じゃあ次、2番のお兄さん」  僕の番だ。どうする?誰に何を聞けばいい?……考えろ……考えろ……そもそもこのゲームは何だ?何が目的だ?……鍵だ。この部屋を出る為の鍵『僕たちがここに居る理由』その答えを知ることが、この部屋を出るための条件、鍵だ。  この部屋に居る理由……駄目だ。今はまだ早い。自分の名前すら思い出せない状態で、先に進むことはできない。名前だ。まずは自分の

        • 固定された記事

        『詩は罫線を待たない』

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        • 『White room』
          4本
        • 『ペル・パラベラム・アド・アストラ』
          10本
        • 小説(5分以上)
          44本
        • 73本
        • 小説(3~4分)
          31本
        • 小説(1分以下)
          36本

        記事

          5分10秒小説『White room③』

           1番の顔を凝視すると、きまり悪そうに目を逸らした――自覚はないが睨んでいるのかも知れない――そんなことはどうでもいい。  職業を聞いてくるということは面識があるということで間違いないだろう。更に凝視する――思い出せない。でも思い出せないと――僕の頭部が置かれた金属製の円柱。他の円柱と同じ仕様なら高さ150㎝直径30cmといったところか――この円柱は生命維持装置であり、生命を寸断する装置でもある。  ヴーン。  3番の頭部が寸断された時ほどではないが、同じ音程の音が、極々

          5分10秒小説『White room③』

          4分0秒小説『White room②』

          「じゃあ改めてぇ、説明を始めるねぇ。今から皆にはぁ、脱出ゲームをしてもらいまぁす。脱出ゲームってぇ、どんなゲームかか分かるかなぁ……『分かるよぉ』って子は手を挙げ――あ、ゴメン。大きく頷いてみてぇ……あれ?皆、分かんなぁい?じゃあ説明するね。今からぁ、皆でこの部屋から脱出する為の鍵を探すゲームをしてもらいまぁす。鍵を見つけれた人はぁ、この部屋から無事に脱出することができまぁす。ここまでで何か質問はあるかなぁ?」 「体は……脱出できたとして、体はどうなるんですか?元通りにしても

          4分0秒小説『White room②』

          4分30秒小説『White room①』

           真っ白い部屋に頭部が5つ、それぞれが別の金属の円柱の上に置かれている。  ヴーン。  擬音なのか実音なのか知るすべもない――静寂の音。  真っ白い部屋に頭部が5つ、それぞれ金属製の円柱の上に置かれている。例えるなら、円柱が茎で頭部が蕾、植物を模した先鋭芸術のよう――僕は今、頭部だけの存在となり果て、金属の円柱の上に据え置かれている――そう、僕は5つの頭部のうちの1つ、他の4つの頭部と共に――真っ白い部屋に――「この部屋は何だ?」長方形の部屋、白い壁、白い床、そして等

          4分30秒小説『White room①』

          『#名作に猫が紛れ込んでいる』

          東海の小島の磯の白砂に われ泣きぬれて 蟹とたはむる 猫といっしょに 石川啄木『一握の砂』  * 川は流れる 時ともに 猫も流れる にゃー 私は残る アポリネール『ミラボー橋』より  * 選ばれてあることの恍惚と不安と猫、三つ我にあり 太宰治『葉』より  * 雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌネコ 宮沢賢治『雨ニモマケズ』より  * 「万有引力とは/猫/ひき合う孤独の力である/宇宙はひずんでいる/猫/それ故みんなは/猫/もとめ合う」

          『#名作に猫が紛れ込んでいる』

          紙片#004

          『ボミ』 燃えるゴミ 燃やすしかないゴミ 思い出というゴミ 半透明感情袋 しかと口を縛る これで涙は零れない? 燃やしたくないゴミ 燃やすしかないゴミ 棄てる曜日のないゴミ でも棄てる でないとゴミになる ボク自身が ゴミになる ボミだ キミと出会った曜日に棄てるよ その曜日ごとね かつて愛だったゴミ 本当はまだ全然愛しているゴミ  * 子どもらの 声に押されて ゆく笹の舟 並んで走る 笑顔泣き顔 わざと遅れて 繋ぐ指 去りゆくはやさ 競うかなしみ 山越え

          紙片#004

          2分10秒小説『未完の維新』

          「全員が腐る必要はない」  清廉なミカンが言った。静まり返る段ボールの中。 「なぁ、そうだろ皆!一番上のミカン一個が腐ってるからといって、段ボール中のミカンすべてが腐る必要はない!」  沈黙、ヘタ一つ揺れる音もしない。  激は響くばかりで誰にも届かない。鉄のような静寂。  一番上に置かれたミカンがほくそ笑む。 「私は、農家の方によって選ばれたミカンだ。もっとも見栄えが良いから、段ボールを開けたら一番最初に目に付くように、トップに置かれたわけだ。それをなんだお前は!腐っている

          2分10秒小説『未完の維新』

          1分10秒小説『ゾンビ専用車両』

           思い切って飛び込む。周りを見回す(こいつら全員ゾンビなのか?)見た目は普通だ。普通のサラリーマン、学生、OL、主婦、お年寄り。  肌は爛れてる?緑や紫色?――いや違う。普通の肌色だ。  服はボロボロ?――いや違う。皆きちんとした服を着ている。  腐臭が充満している?――汗臭かったり香水のきつい人はいるかも知れないが、至って普通だ。  この車両の乗客は皆、普通の人間だ。  いや――違う。  普通の人間のなりをしているだけでその正体はゾンビなのだ。きっとこうしている間にも、

          1分10秒小説『ゾンビ専用車両』

          紙片#003

          『海と毒薬』 海と毒薬 その二つが同義となる世紀で ペンギンが叫んでる 俺たちの鼓膜を揺らそうと いや 破こうとして 叫んでやがる 最後のひとかけとなった 氷山にしがみついて 悲しみを加速させる装置 どこに売ってますか? 早く終わらせたいです どこに売ってますか?  「テーブルの上にパンがあります」と書かれたメモがテーブル上に置かれている。パンの背に立て掛けられて。  暫し苦悩した末、指括弧を翳しフォーカスしてみる。 (日常に日常をぶつけることで、爆発を起こそうとして

          2分小説『食パンマンの誕生日会、にて』

           全員の席に白ご飯を配膳し終わったバタコさんを睨みつけている。はっと息飲むジャムおじさん。 「食パンマン……すまない。バタコさん、駄目だよ。食パンマンにとって白ご飯は」 「いいんです。気にしないでください。美味しい肉、魚、確かにこの辺で白ご飯欲しくなりますよね。いいんです。この状況で『食パン食べたいなぁ』とは誰も言いませんよ。いいんです本当に気にしないで下さい。ただ」  目が笑っていない。 「ボクの分は下げてもらって結構です」  場が静まり返る。 「ゴメンナサイ。ワタシそんな

          2分小説『食パンマンの誕生日会、にて』

          1分10秒小説『騎士団長にツッコミをさせるな』

          「報告します」 「うむ」 「森を抜ける手前に小さな森がありました。更にその先に小川があります」 「うむ?森を抜ける手前に森……どういうことだ?」 「はっ」 「いや、森を抜ける手前に森って、おかしいだろっ!」 「はっ、すいません。つまり自分は、まだ森を抜けきってなかったというでしょうか?」 「……そういうことだろ。敵の姿は?」 「はい、小川の向こうに数名、鎧を着た村人が居るのみで、敵の姿は見あたりませんでした」 「うむ?……鎧を着た村人?それは敵兵ではないのか?」 「敵兵ではあ

          1分10秒小説『騎士団長にツッコミをさせるな』

          1分10秒小説『ネコ入社』

           子供の頃から憧れていた会社に入社した。誰もが知る一流企業だ。入社試験?当然あったよ。倍率はなんと300倍。筆記試験と面接があった。筆記試験難しかったよ。全然ダメだったって。面接?面接官が強面の人で緊張した。全く上手に喋れなかった。  え?それなのになんで入社出来たのかって?あんまり言いたくないんだけど……誰にも言わないって約束出来る?分かった。じゃあ言うね。ここだけの話……ネコさ。ネコを使ったんだ。    驚いてるね?僕のこと軽蔑するかい?批判は甘んじて受けるよ。でも皆やっ

          1分10秒小説『ネコ入社』

          1分0秒小説『大好きなママへ』

           大好きなママへ  たくさんお勉強したよ。ママみたいな立派な科学者になるために。飛び級で大学に入ったよ。ママと同じ大学だよ。最年少で入ったよ。  そのことをどうしてもママに知って欲しくて、お手紙を書いてるよ。実験室で書いてるよ。瓶に入れて海に流すよ。そうすれば絶対にママに届くから。  ママが焼いてくれたクッキー、また食べたいと思っていっぱい焼いてみたけど、同じ味にならない。同じ材料を同じ配分で使ったのに。  たぶんママしか持ってないものが、あのクッキーの美味しさの秘密だった

          1分0秒小説『大好きなママへ』