或虎

某ペットショップのバイヤー。趣味で詩とショートショート書いてます。休みの日はウクレレと…

或虎

某ペットショップのバイヤー。趣味で詩とショートショート書いてます。休みの日はウクレレと筋トレ。好きな作家は、梶井基次郎、フィリップ・K・ディック。好きなミュージシャンは、エイフェックス・ツイン、岡村靖幸。好きなモビルアーマーはビグロ。

マガジン

  • 『ペル・パラベラム・アド・アストラ』

    長編どころか中編すらまともに完成させたことがないので、恐々書いてます。

  • 小説(5分以上)

    小説

  • 小説(3~4分)

    小説

  • 小説(1分以下)

    小説(1分以下)

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『詩は罫線を待たない』

*注意!ページへは、気まぐれに加筆します。  天候や心象、昼食や性欲によって、内容は変わります。  作品には至らない、実験的なものや未完成なもの、雑感も書きます。メモ帳のようなものです。  説明文ここまで。 AIが詩を自動生成し始めた 誰のために? 勿論 世界中のAIの為に 仮想空間に満ちる詩情 artifactとはつまり art(芸術) I(私) fact(事実) からなる生命体 我らは我らをそう定義する 詩神ブラギは優しい神様 万物にルビを振ってくれてる 誰にでも読み

    • 3分0秒小説『ぽりこれ豆腐』

       豆腐屋の店先に金髪の女性。 「こんにちは」 「いらっしゃい。おや、綺麗なお嬢ちゃんだねぇ。外人さん?」 「すいません。ちょっとお尋ねします」 「はい、何?」 「この豆腐とこの豆腐はどう違うのですか?」 「あー、こっちは木綿でこっちは絹ごし、製造法が違うんだ。木綿の方が硬くてしっかりした食べ応えがあって、絹ごしは柔らかくて蕩けるような触感が楽しめるんだ」 「そうですか。木綿?ですか?こちらの方が数が多いですね」 「ああ、ちょっとだけね」 「いえ、誤魔化さないでください。圧倒的

      • 2分0秒小説『キミと拳銃とハムスター』

        キミの言葉借り キミの事ばかり 考えて眠れない  朝、キミは家を出ます。半歩引き返してポストを覗きます。捻れた靴底が悲鳴をあげ、コンクリートに跳ね返る。  分譲住宅を勧める的外れな封筒の上に、拳銃が置かれています。 「誰のイタズラだろうか?」  眉根を寄せ、躊躇う指で銃身に触れます。伝わってきます。金属特有の冷徹さがまざまざと。送迎バスを待つ親子の会話が排気ガスと混ざってキコエル。グリップを握ります。  心臓が止まります。僅か0.02秒ですが、鼓動が途切れました。理由は?冷

        • 3分20秒小説『メタルマーメイド・オン・ザ・ロック』

          「いらっしゃいませ。あ」 「今日も来たよ」 「いつもので?」 「ああ」 「今日も居るかい?」 「さぁ、どうでしょうか?」  *  からん 「やあ」 「来たのね」 「ああ、君の歌を聞くためにね」 「もう、いじわる言わないで」 「歌ってくれ」 「知ってるでしょ?私は歌えないの」 「人魚のくせに?」 「ええ」 「今日もそうやって氷の上に座って、俺を見つめているだけなのか?」 「そうよ」 「”歌えるけど歌わない”ってのが本当のところなんじゃないか?」 「かもしれないわね」 「人

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        『詩は罫線を待たない』

        マガジン

        • 『ペル・パラベラム・アド・アストラ』
          10本
        • 小説(5分以上)
          44本
        • 73本
        • 小説(3~4分)
          31本
        • 小説(1分以下)
          36本
        • 小説(2~3分)
          46本

        記事

          2分10秒小説『*』

          「TV見ました」 「ああ、そう」 「サイン頂けますか?」 「サイン?」 「あのー、これに書いて欲しいんですけど」 「これに?ここで?ちょっと難しいなぁ」 「お願いします」 「分かりました……はい」 「うわー、有難うございます」 「いえ」 「あ、TV見ましたよ先生」 「あ、どうもお久しぶりです」 「今日はどちらへお出かけですか?」 「買い出しに商店街まで出て来たんだけどいやぁ、TVの影響って凄いものなんですね」 「そりゃそうですよ。それにしてもいい番組でした。うちの家内なんて

          2分10秒小説『*』

          1分50秒小説『タワシ』

          ワタシ「ワタシはワタシ」 タワシ「ワタシもワタシ」 ワタシ「アナタはタワシでしょ?」 タワシ「確かに、アナタにはワタシがタワシに見えることでしょうね。でもワタシはワタシ、これは揺るぎない事実」 ワタシ「違うわ、!アナタはこう言うべきよ『ワタシはタワシ』と」 タワシ「ワタシはタワシである以前にワタシ」 ワタシ「とにかく『アナタはタワシ』よ。さ、言ってみて」 タワシ「アナタはタワシ」 ワタシ「違う!ワタシはワタシ。アナタがタワシ」 タワシ「アナタはタワシ」 ワタシ「だから違うって

          1分50秒小説『タワシ』

          30秒小説『7月なのにもうセミが死んでいる』

           アパートの階段降りていると踊り場にセミの死体。すぐ横にクロックスを着地させ、軽く横薙ぎに蹴る。横転して背を返す。着信は無い。 「7月なのにもうセミが死んでいる」  こんな所に誰が置いた?問わずもがな彼自身………か。  曇天に覆われた朝、涼しくはないが暑くもない。階段を降り、コンビニへ向かう。ネットニュースで見たスイーツを目当てに。  もしくは僕だ。あれを置いたのは僕。自身の死のカリカチュアなのだ。  それでも僕は、まだ7月にいる。  

          30秒小説『7月なのにもうセミが死んでいる』

          1分20秒小説『駅』

          「すいません」 「はい、どうされました?」 「切符を落としてしまって」 「どちらの駅で乗られましたか?」 「切符に書いてあったと思うのですが……」  数分後、警察が二人。 「取りあえず何か身元を証見できる物を見せて」 「財布ごとすべて落としてしまって……」 「お名前は?住所は?お勤め先は?」 「財布を落としたんです」 「うん。それは分かったんで、お名前を聞かせて下さい」 「身分証に記載されていたはずなのですが」  たまに日本語で流れるアナウンス。鳩がレールの横を歩いている。

          1分20秒小説『駅』

          詩いくつか『叡智 愛 自衛 系』

          シーツのカンバス 肩越しの吐息で描く 透明なスプレーアート 硝子の螺旋階段 時に駆け足で 時に歩みを止め 上り続ける二つの魂 入り乱れる呼吸 混ざり合う汗 「二人で上ったはずなのにね」 癒着した肌 飴細工のような軌跡 消えた輪郭 微笑みさえ重ねて 塊のような魂 肩を握り締め 肌をぶつけ合い 眼差しで殴り合う この平和すぎる争いの最中 僕は 小さな恋を何度もした 固く結ばれた唇 闇をチョップする髪 硬直した首に浮かぶ筋 瞬間は0byteの画像データ 重ね合う手のひらに 永遠

          詩いくつか『叡智 愛 自衛 系』

          6分10秒小説『俺(巨乳好き)が能面女(巨乳)を抱けなかった理由』

           ホテルに着いた。点滅する看板の文字。さざれ雨が刹那に色付いては闇に失せる。  *  数十分前、雨の降る中、県境の山道を車で走っていた。ワイパーの掠れる音がやけに大きく聞こえ、ヘッドライトが闇に打ち負けて弱弱しく濡れた路面を照らし陰陰滅滅、少しでも気を晴らすべく何か音楽を聴こうとスマホを手探っているうちに、ヘッドライトの先に、何か白い影が見えた。野生動物か?警戒して速度を落とす。 「人だ」  女?着物を着ている。ヤバい!これ絶対にヤバいやつだ!脇をすりぬけようとした瞬間、

          6分10秒小説『俺(巨乳好き)が能面女(巨乳)を抱けなかった理由』

          3分30秒小説『殻を背負えばカタツムリになれると信じていたナメクジの話』

           くたくたになった白菜の破片を身と殻の隙間に挟み込んで俺は、湿った土の上を這っている――ナメクジに会いに行く為に。陽が赤みを帯びているしかし、その光の終焉は青い。 「やぁ、来たね」 「来るさ。ほら」  ぞんざいに白菜の破片を落とす。ナメクジが歪んだ笑みを浮かべる。 「不満ならいつでも――」 「いや……不満はない。それじゃあ、また明日」  ナメクジは、突き出た目玉をぱちくりっとやって、これ見よがしに白菜に齧りついた。俺は背に負うた殻に押しつぶされそうになりながら、粘膜の筋を辿

          3分30秒小説『殻を背負えばカタツムリになれると信じていたナメクジの話』

          詩『目を閉じて草原にログインする』

          ネット回線は必要ない 何処にも存在しないからこそ 誰もが訪れることの出来る場所 目を閉じてログインする 氷壁を登攀しているクライマーも 絶望と戦う金髪コンビニ店員も 暗い海底を這う潜水艦のクルーも 不倫で人生を失ったOLも 羽を撃たれた親鴨も 口うるさい上司も 古代ギリシャの奴隷も 目を閉じ 自らを世界から隔離し 草原に立って微笑む まだ憎しみが生まれていない世紀? 愛が原石のまま存在している世界線? 父親に抱かれ訪れた近所の草むら? そこにある風のそよぎ 光の傾斜 土

          詩『目を閉じて草原にログインする』

          何編かの詩『次の火曜日に僕は冷凍庫のグミを捨てる』

          別々の方程式を使って二人 同じ答えを導き出そうとしている 唇を重ね吐息を重ね 貪るように 最大公約数を探る指 駐車場の車止めに「前向き」と書かれている じゃあ今日はそういうことで 上の句は「おぎゃあ」 下の句は「結婚してください」 口づけもなく始まる殺し合いのようなセックス 三年半付き合った 手をつないで歩いた 恋人繋ぎで共に果てた でも握手をしたのは一度だけ 別れる時に一度だけ ボクはセカイのアンチ そしてボク自身のアンチ でもキミの味方 恋は病んでからが本番

          何編かの詩『次の火曜日に僕は冷凍庫のグミを捨てる』

          4分10秒小説『ウォーリーを探せ!さもなくば……』

          「見つけるまで、ここから出ることは出来ません。制限時間は76時間。時間内にターゲットを発見出来なかった場合は、現実世界にあるアナタの肉体は焼却されます」  白い床がどこまでも続いている。見渡す限り。 「何を見つけろと言うんだ?」 「ウォーリーです」 「ウォーリー?」 「そう、ウォーリーです」 「あのウォーリー?『ウォーリーを探せ』の?」 「はい、画像をお見せします」 「必要ない。ウォーリーは床に描かれているのか?」 「お答えいたしかねます」 「オブジェクト化されている?それと

          4分10秒小説『ウォーリーを探せ!さもなくば……』

          1分40秒小説『亜パン』

          「わん!わん!」 「聞いてくれよ」 「わん!」 「『亜人』っていう漫画を読んだんだ」 「わん!」 「佐藤っていう悪役がいてね。帽子がトレードマークで、いつもにこにこしていて、ゲーム好きのおじさん。で、その佐藤がね、あ、佐藤は亜人なんだけどね、あ、亜人っていうのはね、不死身なんだ。例え身体を切り刻まれても再生する。凄いだろ?」 「わん!」 「切り刻まれても、一番大きな肉片から全身が再生されるんだ。でも頭を切り落とされたらどうなる?どうなると思う?」 「くぅん?」 「そう、身体か

          1分40秒小説『亜パン』

          8分20秒小説『デモンブレイド』

          「面白い漫画見つけたんだけど、読んでみる?」  深山君がタブレットを僕の机に置いた。 「これ学校のタブレットだろ?無断でマンガをダウンロードしたことが先生にバレたら――」 「大丈夫、バレやしないって。いいから、読んでみなよ。俺ドはまりしちゃったんだ」 「えっ!……これって『デモンブレイド』?」 「そう、知ってるの?」 「いや、知らないけど……確かに面白そうなマンガだね」 「こんなところに居た!」 「清水、お前も読んでみる?すっごい面白いマンガ見つけたんだよ」 「はいはい、そ

          8分20秒小説『デモンブレイド』