篠井 雄一朗

詩集『雨が生む色彩』 令和5年度 茨城文学賞

篠井 雄一朗

詩集『雨が生む色彩』 令和5年度 茨城文学賞

マガジン

  • 月🌛シリーズ 2023 - 2024

    連続して読みたい方のために、マガジンにまとめてみました。

  • 『わが、燕記』

    燕党です。プロ野球が好きです。

最近の記事

  • 固定された記事

【第50回明石市文芸祭】

(はじめに)  ご無沙汰しておりました。このところ以前 に比べ記事を更新していない日が続きますが、 待っていてくださる皆さまに感謝申し上げま す。  先日、フォローさせていただいております 方からご報告をもらいました。自作の詩をコ ンペに初応募してみたとのことでして、その 行動力に応えなければいけないと思いました。 第50回明石市文芸祭に応募した作品になるの ですが、運良く「実行委員会賞」をいただき ました詩になります。実行委員会賞と申しま しても、その上には、市長賞、議長

    • 【詩】催花雨

      (はじめに)  前回の投稿から2週間が過ぎてしまいまし た。記事を掲載しないあいだも、過去の作品 に「スキ」をくださったり、アクセスしてい ただき感謝しています。応えなければいけな いと思いまして、詩を書き下ろしてみました。  新鮮な詩を楽しんでください。 ……………・……………・……………・……………・…………  催花雨 小鳥はツツジの門を潜ろうとするも 風があるため上手くいかない 聞いたことのある母音が 懐かしさを連れてきた バームクーヘンのように 何層にも重な

      • 【詩】エスパス

        (はじめに)  私はこれまで色んな職業に就いてきました。 派遣社員やアルバイトを含めますと、整理が 必要なくらいです。同様に面接も数を経験し てきました。だからでしょうか、面接を扱っ た詩が多い気がします。noteにおきましても、 昨年の6月1日に掲載しました 面接 /就活日記 があります。その第3弾という訳ではないの ですが、(結果的に3弾かもしれませんが) 楽しんでくださいませ。  エスパス たてがみが揺れる 乾いた空気を切り裂いて 疾走する 散財した日が見事に記憶

        • 【詩】朝の手紙

          (はじめに)  令和 5年度に募集が行われました『第32回 岐阜県文芸祭・詩部門』にて入選をいただき ました作品になります。こちらは去る3月2日 に表彰式が開催され、それまでは SNSを含め 作品の発表を控えていただきたいとの連絡を 受けておりました。ちなみに、入選と言いま しても賞の順番では、文芸大賞、優秀賞、U- 30優秀賞、秀作賞、佳作、入選となっており まして、かろうじて最後に引っ掛かってくれ たかなと思っております。 ………・………・………・………・………・……

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        【第50回明石市文芸祭】

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        • 月🌛シリーズ 2023 - 2024
          7本
        • 『わが、燕記』
          4本

        記事

          【散文詩】錆色の色彩

          (はじめに)    住んでいる町を描こう。生まれ育った地元 の匂いや、数年前の体験を詩にしてみるのも 良いのではないか。陰と陽、どちらかと言え ば、限りなく陽には程遠いかもしれない。地 方の町が抱える問題を避けては語れませんが、 この場所が好き、そんな思いだけで綴ってみ ようか。風を感じるままに。    錆色の色彩 商店街は昼間だというのに人通りがなかった 営業している店のほうが少なく シャッター が下ろされている店舗ばかりが目立つなか  郵便局だけは 人の出入りがある

          【散文詩】錆色の色彩

          【詩】ネモフィラ

          ネモフィラの丘から振り返った 亡き娘の姿が浮かんでくる 音声はいっさい聞こえてこないけど 記憶をめくるとこぼれてくる 白い時間が尾をひいて鎮まる 年季明けの燕たちが飛び去った巣にも 同じ朝が訪れる 鳴き声の消えた状況を知る人は限られる (有限な眼差しの注ぐ先 新たな物語が  紡がれるなら その物語を読んでみた  い とうとうと 読み進めるにつれ   娘の理想へ たどり着くことはできる  だろうか) わたしのなか 停滞する 太陽だけが色濃くのこる ///////////

          【詩】ネモフィラ

          【体験談 その2】

           前回、2023年の 9月に「体験談」を掲載し ました。その第2弾になります。すこし怖い 方向にいきますので、苦手な方はこのままス ルーしてください。  3年前に経験した話になります。暑さ寒さ も彼岸までと言いますが、お墓参りは欠かせ ません。供養するうえで手順はありますが、 私は線香を供えるとき、わざと数本余らせて いました。お寺の敷地内にある墓地の入口に 設置された、よだれ掛けをつけた子どもの姿 をしたお地蔵さんにも、供えるためでした。 その日も、ご先祖さまへ挨拶を済ま

          【体験談 その2】

          私事ですみません。 1月15日に発表しました「虐殺兵器」が yaya☆ さまによりまして朗読劇になりました。 声にしていただきまして、文章とはまた違った表情を持つことができました。ぜひ、お聴きくださいませ! https://note.com/yaya312

          私事ですみません。 1月15日に発表しました「虐殺兵器」が yaya☆ さまによりまして朗読劇になりました。 声にしていただきまして、文章とはまた違った表情を持つことができました。ぜひ、お聴きくださいませ! https://note.com/yaya312

          【詩】散歩

          (はじめに)  茨城県に住んでいるのに、地元のことを書 かなければいけないな。と考えに至りました のは、Yayoi Fujikuraさまが 1月16日に発表し ました「水戸のお気に入りスポットをご紹介 します~千波湖~」を見たからになります。  茨城県は魅力度ランキング最下位ではあり ますが、良いところは沢山あります。そして 育ててもらった土地へ少しでも恩返しをする ことと、最下位からの脱却を図るためアピー ルしなければと思いました。  水戸市にあります千波湖を舞台に、湖面

          【虐殺兵器】

           ぬるい雨だった 南風のせいだろう 降っ たり止んだりを繰り返すうち 雨の成分は変 化していて 微妙な粘り気があることに気づ いたときには手遅れだった 雨に濡れると皮 膚が溶けてゆくのを理解したのは靴下に浸透 してきた雨水を感じ はじめは厳冬の時期に 寒さで足のつま先の感覚がなくなるのと一緒 だろう と男は思っていたのだが 穴のあい ていた靴下を脱ぐと 五本指がそっくりなく なっていたのだ 指のあったところは蝋燭の 蝋が溶けたみたいに いびつな形をしたまま 残った足だけがある

          【虐殺兵器】

          【詩】レンタル

          (はじめに)  今回は、ほたかえりな さまのコメント欄で のリクエストに応えまして、詩を載せたいと 思います。2009年に、詩人の金子みすゞさん の出身地でもある山口県で開催されましたコ ンテスト、『夏休み特別企画 金子みすゞの 詩の世界アート&ポエムコンテスト』で佳作 に選んでいただいた作品になります。  私の好きな詩人であります金子みすゞさん は、やわらかな言葉で問いかける「こだまで しょうか」や「大漁」は有名な詩です。  コンテストに応募した詩が生まれた背景を 少し

          【詩】レンタル

          【詩 二十六夜月 final】

          (はじめに)  ふと、思い出した。昨年、月🌛シリーズに 多くのアクセスをいただきまして、スピンオ フ作品を7月7日に掲載しました。それから約 半年、スピンオフ第2弾をやろうと。本編が 新月から始まり、満月までの 5作品でした。 月は満ち欠けをします。その夜の月に合わせ 私のイメージで詩を書いてきましたが、この スピンオフをもちまして本当の「final」とさ せていただきたいと思います。  二十六夜月 好む好まないを通りこしたところにある 哲 学的要素を含むおとこたちのゆ

          【詩 二十六夜月 final】

          【詩】手帳

          (はじめに)  2022年の12月29日、12:25 に「note」をは じめてから1年が経過しました。皆さまに支 えられ続けてこれましたこと、お礼申し上げ ます。1周年の節目に相応しい詩について考 えましたところ、最初に掲載しました詩が、 詩集に収録した『断捨離』という作品でした。 なので、2023年のnote納めも詩集から抜粋し 載せようと思います。  古い作品になるのですが、現在でも通用す るのではないかと自負しております。2017年 ユリイカ12月号におきまして、選

          【詩】最果ての町

          (はじめに)  生み出す言葉に言霊を宿すことが出来るの であれば、用心しなければいけない。時に、 誰かを傷つけてしまう可能性を孕んでいる。 誰かを救うこともあるかもしれないが。  今回は、言霊鑑定士ゆうこさま。──との collaboration 作品になります。クリスマスを 題材に書きました。  雪の景色を想像しながら、どうぞ───  最果ての町 霧氷の雪原に朝日が射す ピンク色に染まる ここは、最果て どんな宝石の煌めきより大好きな 私だけの風物詩 ノエル フラ

          【詩】最果ての町

          【詩】能率

          (はじめに)   8月17日必着で詩を募集しておりました月 刊「望星」12月号に応募し、選外だった作品 を載せます。こちらは一度、別のコンクール で落選し再度挑戦という形で文章を削ったり 題名を変えて送付したのですが、振り返って みますと、なんて浅はかな行動だったのだろ うと思わずにはいられません。駄目だったも のを数行入れ換えたくらいで通用するはずは ありません。     では、どうぞ──────。  能率 防空識別圏に侵入した 未確認飛行物体のニュースを聞いたの

          【giant killing】

           ジャイアント・キリング。私の好きな言葉 である。フットボール(サッカー)をこよな く愛する方はご存知でしょうが、明らかに格 上な相手に対して予想を覆し勝利する。大番 狂わせを意味する表現です。ラグビーにおき ましても、2015年ワールドカップで日本代表 が優勝候補でありました南アフリカに勝った ときも歴史的なジャイアント・キリングでし た。スポーツではこのように並々ならぬ努力 を重ね達成できることがありますが、一般社 会においては、下剋上というのは難しいもの があります。

          【giant killing】