記事一覧
メンバーシップ登録ありがとうございました / 助産師がフィールドワークに出かけるとき
日本の総合病院で働く助産師だったわたしが、仕事をやめ、オランダで医療人類学を学ぶようになってから、半年ちょっとがたちました。
メンバーシップの記事として、大学の課題で読んだ本・論文を紹介したり、授業で学んだことを毎月紹介してきました。なるべく、読んだこと・学んだことをただまとめるだけでなく、自分自身の臨床経験や日本での状況をもとに、私ならではの視点から書くことを意識していました。メンバーシップ記事
(妊娠・出産の人類学③)出産の現場における暴力
妊娠・出産の人類学シリーズ最終回となります。
今回は、出産の現場における暴力=産科暴力についてです。
産婦人科医の早乙女智子先生は、産科暴力について、このように説明しています。
産科暴力は、身体的な暴力に限らず、言葉による暴力、同意なく医療行為を行うこと、入院や治療を強制されること、本人の主体性が考慮されないことなどが含まれます。医療者が女性を見下したり、叱ったり、冗談の対象にしたりなど、「マイ
猫も杓子も医療人類学メンバーの皆様へ
いつもお世話になっております。
メンバーシップ登録されているみなさまにお知らせです。
7月までの期間限定のメンバーシップとしてご案内しておりましたが、5月以降、修士論文執筆で忙しくなることが分かってきたので、少し早めの4月いっぱいまででここを閉じることにしました。
(妊娠・出産の人類学②)利用される出産、差別される出産
前回、出産の医療化について取り上げましたが、今回はそれに続いて、出産と政治、そして出産の現場で起きている差別について取り上げます。
誰がどのように産むのか、という議論は、少子高齢化が問題となっている日本において非常に重要となっています。子供を産むことが推奨される一方で、産んだ後の子育てに必要なお金などの余裕がないと「無責任だ」と言われてしまう状況があると言えます。これまで、出産はどのように利用され
(妊娠・出産の人類学①)医療化批判、そしてその先へ
今回から3本立てで、妊娠・出産の人類学を扱っていきます。
ベースとなるのは、こちらの英語のハンドブック(Handbook of Social Sciences and Global Public Health)のChildbirth and Birth Careという章。この章を書いている先生から直接教わる機会があり、授業で扱った内容も含めて紹介していこうと思います。
https://www.a
好みと習慣から社会について考える—ブルデューのハビトゥス
最近、ブルデューの理論について勉強する機会があり、日々の何気ない営みや好みがいかに社会的な構造や人々との関係性のなかで形作られているかを考えるきっかけとなりました。
社会学や人類学を学ぶ人にとっては有名な理論かもしれませんが、一般にはまだまだ知られていないと感じたので、こちらでご紹介しようと思います!
突然ですが、あなたにとっての「ごちそう」はなんですか
被災地での性暴力の見えづらさ
能登半島での大地震、多くの方が被災され、そこから長い間、物資や救援の手が十分に回らないとのニュースを目にして心を痛めていました。一日でも早く、安心できるくらしに戻れることを心から祈っています。
さて、1月1日の能登半島で大地震をうけて、1月2日にはこのような記事を目にしました。被災地での性暴力について注意を呼び掛ける記事です。
被災地での性暴力は、これまでも話題になってきたと思いますが、震災が
インターセクショナリティと健康格差
インターセクショナリティ(交差性)は、フェミニズムの中で人種差別が無視されてきた文脈から生まれたアプローチです。女性である、と同時に、黒人である、という二つのマイノリティの交差点(インターセクション)にいる人々が、女性内でも黒人内でも差別を受けるという問題から端を発しました。
キンバリー・クレンショーというアメリカの弁護士は、このTED動画でいくつか例をあげてこの概念の説明をしています。
例えば