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食べることのフィールドワーク

医療人類学・社会学専攻と言っても、実は医療そのものに関するテーマだけを学ぶわけではありません。動物と人間の関係、科学技術について、身体についてなど、幅広いテーマを学ぶ機会があり、興味は広がるばかりです。同級生の修士論文のテーマをみても、LGBTQ、タトゥー、水、畜産、環境問題など、いろいろな分野での研究があります。
新学期始まった当初から、なるべくいろんなことに好奇心を持って、自分の興味と異なる内容も積極的に学んでいこう!と心に決めていました。そのため、各授業内で一組ずつやるプレゼンのテーマには、自分の専門であるリプロダクティブヘルスをあえて選ばず、「食」をチョイスしたのです。

この記事では、そのプレゼンで扱った内容をもとに、食が人類学や社会学でどのように考えられているのかについて紹介します。

まずシドニー・W・ミンツの『甘さと権力 ――砂糖が語る近代史』の第一章をベースに、甘味と人類、そしてついでに旨味についても考えます。
そして、Mannという研究者の論文、”Which context matters? Tasting in everyday life practices and social science theories. Food, Culture and Society”(どの文脈が重要なのか?日常生活における味わうことの実践と社会科学理論 食・文化・社会)を紹介します。彼女は病院の中でのフィールドワークをしたのですが、とにかく食べることに注目していました。医師、看護師、患者の食事のシーンに注目するというユニークな研究です。
最後に、磯野真穂さんの『なぜふつうに食べられないのか: 拒食と過食の文化人類学』の紹介をします。

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