被災地での性暴力の見えづらさ
能登半島での大地震、多くの方が被災され、そこから長い間、物資や救援の手が十分に回らないとのニュースを目にして心を痛めていました。一日でも早く、安心できるくらしに戻れることを心から祈っています。
さて、1月1日の能登半島で大地震をうけて、1月2日にはこのような記事を目にしました。被災地での性暴力について注意を呼び掛ける記事です。
被災地での性暴力は、これまでも話題になってきたと思いますが、震災が起きた次の日にはそれが話題になり、新聞記事で注意喚起が起きるというこの迅速さに、私は正直びっくりしました。
記事でとりあげられていた東日本大震災女性支援ネットワークの報告書には、阪神淡路大震災の際のマスコミの対応が紹介されています。
この28年間で、マスコミが被災地での性暴力を捏造と言ってしまう社会から、震災直後には性暴力を注意喚起する社会へと変化したのだなと思うと、感動してしまいました。この背景にはもちろん、これまで尽力してきた人権団体・研究者の人たち、メディアの変化、SNSの発達、そして何より東日本大震災や熊本地震での経験を語ってくださった方の証言が重要だったのだと思います。
今回の記事では、震災後の性暴力の見えづらさをテーマに、以下の3つの視点から考えようと思います。
①性暴力は命よりもささいな問題として無視される
②メディアが報道を自粛してきた
③性暴力の被害者は若い女性や子供であるという思い込み
もともと性と生殖の人類学の授業の課題で書いたものを下敷きにしているので、授業で扱った理論としてフーコーの生権力やハッキングのループ効果といった考え方も参照しています。これらの理論もなるべくわかりやすく紹介しようと思います!
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