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「マザリング」を考える

オランダで出会った日本人の助産師さんに、この本を勧められ、読みました。

「母」を、解きほぐす。

社会的/政治的役割から「母」を解放し、手あかにまみれたその概念を捉えなおすために。

産後うつに陥った人、流産を経験した人、産まないと決めた人、養子を迎えた人など、社会で埋もれる「声なき声」に耳を傾けた、魂ほとばしる〈ルポルタージュ・エッセイ〉。

『マザリング 現代の母なる場所』 紹介文

著者の中村佑子さんは、編集者やドキュメンタリー映像の仕事をしていた方で、『マザリング』は初めて書かれた本とのことです。
母になる・母であることについて、産み育てることについて、様々な職業・立場の人に話を聞いてまとめた一冊です。ただ聞いた話をまとめるだけでなく、インタビューした相手の空気を伝えるような描写力が素晴らしく、まるで本当にその方に会ったかのような気持ちになるような文章でした。
インタビューで語られている言葉が毎回ほんとうに興味深く、お一人お一人にとって本当に大事なことが言葉として紡がれているのも素晴らしいと感じました。実は、フィールドワークを始めたばかりのタイミングでこの本を読み、ここまでの言葉を私は相手から引き出すことができるのだろうか…と少し落ち込むほどでした。

私の中で、「母性」というテーマはずっと大切に温めてきたのですが、マザリングという言葉を使って紡がれた中村さんの文章を読んで、自分自身の思考が一気に加速していくような感覚がありました。

今回の記事は、この本における「マザリング」という概念を紹介します。
また、現在私が行っているフィールドワークでも、「マザリング」の在り方に触れる機会があったので、中村さんの言葉をヒントに考えを深めていこうと思います。

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