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道徳/倫理の人類学

11月は、修士論文のための研究計画書を書くため、とにかく必死の日々でした。研究のステートメント(これが問題なので、こういうことを調べます宣言、みたいな)を練り上げるのに何時間もかけ、提出してみると先生から「一からやり直し!」のお達しがくるという、なんとも辛い時間です。

そんななか、頭の中を爆発させてた私に、理論の先生がお勧めしてくれた、道徳や倫理の人類学がとても興味深かったのです。これは、ざっくりいうと、社会の理想を無批判に取り込んでいく機械みたいな存在として人間を見る考えに反論し、リアルな人間はもっと他者との関係性の中で多様に反応しているではないか、という考え方です。そして、道徳や倫理の規範ではなく、人々の日常の倫理的な反応を見ていこう、と提案しています。

まだまだ私の理解は浅いながらも、この記事でより詳しくご紹介しようと思います。まず初めに、道徳や倫理の人類学についてまとめた、MattinglyとThroopという二人の学者が2018年に発表した論文の紹介をします。そして、Mattinglyらの考えをベースにしつつ、独自の視点で発展して活用した石井美保さんの論文を紹介します。
いつも通り、難しい用語はなるべく抜きにして書いています。どうしても必要なものについては、説明を加えています。私もまだまだ知ったばかりのところなので、もし疑問点などあれば、一緒に考えていけたらと思います!

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