【展覧会レポ】アサヒグループ大山崎山荘美術館「中国やきもの7000年の旅ー大山崎山荘でめぐる陶磁器ヒストリー」
【約4,200文字、写真約50枚】
アサヒグループ大山崎山荘美術館(京都)に初めて行き「愛知県陶磁美術館コレクション 中国やきもの7000年の旅 ―大山崎山荘でめぐる陶磁器ヒストリー」を鑑賞しました。その感想を書きます。
【この投稿で伝えたいこと】
❶大自然に囲まれた山の上の環境が最高!、❷登録有形文化財の山荘の居心地とテラスからの景色が最高!、❸安藤忠雄の地下建築の雰囲気が最高!❹京都駅から近いため関西観光にもおすすめ。
▶︎訪問のきっかけ
最近、安藤忠雄の建築に行く機会が増えたり、著作を読むことで興味が増していました。そこで、関西に行ったタイミングで、安藤忠雄が建築に携わったアサヒグループ大山崎山荘美術館(以下:山荘美術館)に行きました。京都駅から近いため、アクセスが良い点も訪問理由の一つでした。
▼安藤忠雄による建築の「国際子ども図書館」
▼安藤忠雄の生涯・考え方が分かりやすかった本
▶︎アクセス
アクセスは、京都駅→(電車約15分)→山崎駅→(徒歩約15分)→山荘美術館です。旅行者の場合、京都駅に荷物を預けると便利です(私は京都伊勢丹9階で手荷物一時預かりを利用しました)。
山崎駅から山荘美術館へは、徒歩、無料バスを選べます。坂道が異常に急勾配のため、足腰に自信がない方は、無料バスがおすすめです。
美術館へ行く道は坂がすごいため、上り始めた瞬間に息が切れました。しかし、私は徒歩がおすすめです。歩けば10分程度ですし、行く途中で大自然や、山崎付近にはどのような名所があるか分かるからです。ここでは1582年、羽柴秀吉の軍と明智光秀の軍が激突した山崎の戦いがありました。
美術館の入り口に来るまで、緑の匂い、汗で光る手など「自然にキターッ!」という感じで、テンションが上がりました。
ただ、足腰が弱い人は来ちゃダメだと思いました。館内にはエレベーターなども完備されていました。しかし、美術館までの道は、坂道・砂利道のため、車椅子の人などはどうやって辿り着くのか謎でした。
なお、美術館に行く途中のレストハウスにあるロッカーに荷物を預けることをおすすめします(美術館内はpaypay使用可)。美術館では「リュックは必ず前で抱えるように」と言われるなど、館内保護にセンシティブだったためです。
住所:京都府乙訓郡大山崎町銭原5−3
▶︎アサヒグループ大山崎山荘美術館とは
✔️概要
山荘美術館は、関西の実業家であった加賀正太郎が建てた「大山崎山荘」を創建当時の姿に修復のうえ、安藤忠雄設計の「地中の宝石箱」「夢の箱」を加え、1996年4月に開館。2004年に登録有形文化財に指定。所蔵品は、山本爲三郎が支援した民藝運動にまつわる作品や、モネの《睡蓮》連作など。
なお、館内の撮影は、廊下なども含めて一切禁止。「ここなら撮ってもええんちゃうかな」と思われそうな空間にも、私の心を先読みするように撮影禁止マークが頻繁に置かれていました😅
✔️山荘の歴史的建築
ニッカウヰスキーの設立に参加していた加賀正太郎は、朝日麦酒株式会社初代社長・山本爲三郎と親交がありました。加賀正太郎の没後、荒廃寸前だった大山崎山荘を山本爲三郎が再生しました。
人が住んでいた山荘を利用して、美術品を展示している点が普通の美術館と違って面白かったです(キュレーションはセンスや経験が問われそう)。趣としては、東京都庭園美術館のようでした。豪華な室内は手入れが大変そうだけど、別荘としては最高にゆったり過ごせそうでした。室内は空調が効いていて快適でした。
▼過去に訪れた東京都庭園美術館の展覧会
✔️最高のテラス席
項目を分けてテラスを取り上げたのは、この場所があまりにも最高だったためです!この喫茶室は、入館料を払わないと入れない本館2階の喫茶室にあります。喫茶室の席は、店内とテラスがありますが、テラスが断然最高!
ここに座ると、緑の匂い、風の音、蝉の声、全てが最高に感じられます。普段の生活の中に「自然」は必要だな、と改めて実感しました。
喫茶室のメニューは、ドリンクがメインです(食事系はほぼなし)。私は、青森のれんが倉庫美術館で飲めなかったシードルを注文。とてもスッキリしていて飲みやすく、暑い日には最高の組み合わせでした。
✔️安藤忠雄の建築
安藤忠雄が建築に携わったきっかけは、アサヒビールの樋口廣太郎が、安藤忠雄の中之島の中央公会堂再生案を見た後、事務所にアポなし・単独で訪れて、山荘美術館の設計を依頼してきたことらしいです。
山荘美術館には「夢の箱」「地中の宝石箱」があります。「夢の箱」は四角形のコンクリート造。もとは蘭栽培をしていた温室があった場所でした。
「地中の宝石箱」は、周囲の景観との調和をはかるため半地下構造で設計され、円柱形の展示空間上部には植栽があります。地下空間には、6点のみ(モネ、ミロ、ピカソ、ドガ)展示されている贅沢な空間でした。私は特に「地中の宝石箱」が気に入りました。
作品と山荘美術館の場所が美しくマッチしていました。モネの絵画を見ていると、絵の中の光、風が感じられ、蝉の声まで聞こえてきそうでした。印象派のボヤっとした雰囲気と、安藤忠雄のコンクリート打ちっぱなしの建築との対比も新鮮でした。建築が絵の良さをさらに引き出していました。
✔️豊かなな自然と庭園
山荘美術館は豊かな自然のど真ん中に位置し、敷地内に丁寧に整備された庭園もあります。私は真夏に訪れたため、一面は緑でした。HPを見ると、秋や冬は全然違った趣がありそうでした。
どこかで見たことがあるウサギだと思ったら、福岡市美術館でもバリーの作品がありました。
▶︎「愛知県陶磁美術館コレクション 中国やきもの7000年の旅 ―大山崎山荘でめぐる陶磁器ヒストリー」感想
要は、愛知県陶磁美術館からレンタルした陶磁を77点を並べた展覧会です。愛知県陶磁美術館は、2023年6月〜2025年3月まで工事でお休み。そのコレクションの有効活用として、山荘美術館で展覧会を実施しているのでしょう。なお、77点中、3点は山荘美術館の所蔵でした。
約1ヶ月前に訪れた大和文華館の企画展と内容が被っていたため、その復習や、中国陶磁の背景を改めて知ることができました。紀元前の焼き物は、棺を豪華に飾るもの、お墓の中に副葬するものが多かったです。死んだら自分では確認できないし、その作品を誰も鑑賞できないのはもったいないと思いました。中国の人が見栄を重視するのは紀元前からの伝統なんですね。
作品のキャプションにはルビが多かったり、クセのあるキャッチコピーが印象的でした。「イヤリングつきおしゃれ壺」「2000年前のタワーマンション」「シンプル・イズ・ベスト 茶碗」など。展示品自体に興味が沸きづらかったとしても、楽しく鑑賞できる丁寧な工夫だと思いました。それも含めて展示品は全体的に見やすいと感じました。
中国では、時代、場所により、焼き物の特徴が大きく変わります。例えば、シルクロードで新しい考えや動物が導入されたり、燃料が薪から石炭になったことから安定した温度で焼けるため、丈夫で質が高い焼き物ができるようになりました。キャプションにも、⚫︎⚫︎時代、⚫︎⚫︎窯と記載がありました。
中国の焼き物をたくさん見ていると、面白さが徐々に分かってきた気がします。企画展の内容は渋いですが、来場者は女性が多かったです。女性は男性に比べ、山荘とか自然に惹かれるのでしょうか。
▶︎まとめ
いかがだったでしょうか?企画展の内容も良かったですが、大自然に囲まれた登録有形文化財の山荘、絶景が望めるテラス席、安藤忠雄の建築!「自然 x 美術館」が大好物な私にとって、満足度の高い美術館でした。特に「地中の宝石箱」は必見!京都駅からも近いため、関西観光の一つにも組み込むべき美術館だと思います。
▶︎今日の美術館飯
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