みやじ。
沖縄関係の詩集、詩人、詩誌などに関する時評です。
古い新聞をめくり、詩や文芸にかかわりのある記事をみつけたら書いています。数十年前の若者たちの詩の集まり、地方の言葉とのかかわり、などなど。時代をへても変わらない詩、ことばのいとなみを追います。
昨年、広く知られることになったワードに「売掛金」というのがある。朝日新聞にこういう記事がでている。 昨年暮れから警察がホストクラブに相次いで立入検査している。 …
詩は難しい。 いくら読んでも眺めても、つまんでひっくり返してみても、てんで意味がわからない。 でもそれでいい。 眼前に確かに存在しているものの意味するところが皆…
過ぎ去ったびぶりお文学賞の話に拘泥して申し訳ない限りではありますが、今回の正賞に選出されたのは二藤さんという方の「うたたね」という作品だ。 時の流れの残酷さは…
びぶりお文学賞の選考を終えた。 選考を終えたどころか、既に主催者から結果が公にされており、さらに表彰式もとっくに終わっていて、果ては年度までかわりはてている。 …
まんまるのブローチェン パンに乗るけしの実、カボチャの種 レバーペーストを塗るとうまいのだと 店員と話す初老の女性 プレッツェルをかついで 店を出て行く若い男性 温…
仲間が死んだ 山向こうの鉄の川 ひいじいさんの頃から よく死者が出ると言われて 私は行ったことがないが 石の川底に鉄が流れているという 夜の会議で報告された それは昔…
えごまをするとゴリゴリ削られますね。 自己肯定感が。 わたしは日々懸命にアップロードした記事にろくすっぽアクセスのないようなゴミかすクリエイターであり、すなわち…
2013年11月~12月/新城兵一さん、岡本定勝さん、比嘉加津夫さんほか。 新城兵一さんの『弟または二人三脚』(あすら舎)は、昨年12月に60歳で亡くなった弟への〈弔…
noteの記事もグーグルで見つけることができるそうです。 ためしに「note 詩」でgoogle検索してみました。 世に言うえごま、もといエゴサでございます。 わたしがこれまで…
びちゃびちゃと汚らしい音 わたしは不審に思い台所へ 薄汚れた老猫と目が合う 瞬間身構えふっ飛んで去る老猫 他所の家に忍び込む 老猫は腹を鳴らしながら わたしはうちの…
キラメキを一突きにされて わたしのケロイドは終わりです あきめくらの暴力的衝動 無脳症の幼児性破壊願望 わたしには何も破壊したいものなど ただわたしの肉片を 桜の木の…
2013年9月~10月/山之口貘生誕110年、西原裕美さん、トーマ・ヒロコさん、山之口泉さん、石川為丸さんら 山之口貘生誕110年、没後50年を記念したイベントが9…
「はーなー、もう」 舌打ちとともに吐き捨て 風呂場でごしごし洗った ばあちゃんはしかめっ面 泡にまみれた 皺だらけの指先には 汚れた小さなパンツ しゃー、ぶくぶく、し…
1903年(明治36年)の沖縄の新聞記事だ。 沖縄県の沖縄本島北部に国頭郡がある。やんばると呼ばれる地域だ。近世から近代、現代にいたるまで琉球・沖縄の歴史の主流…
焼き尽くすほかない 東町、次は西町 龍のすみかを元通りに 知っているはずだ 区長よ、那覇市場のある場所だ 浅黄の琉球織を着流した 女が役所の玄関をくぐる 女たちを引き…
日本海側にはほとんど行ったことがない。 岩手県へ旅した際に秋田市を通過し、車窓から町並みを眺めた程度だ。山形県に行った際は山間部のみに滞在した。 日本海の波…
2024年4月9日 10:41
昨年、広く知られることになったワードに「売掛金」というのがある。朝日新聞にこういう記事がでている。昨年暮れから警察がホストクラブに相次いで立入検査している。別の記事では、警察が強要容疑で元ホストを逮捕したことが報じられている。容疑者は歌舞伎町のホストクラブでホストをしていた当時、店の飲食代金を滞納した女性に、売春のための客待ちをさせた疑いがあるという。記事には、女性には当時、店側との間に2
2024年4月8日 02:22
詩は難しい。いくら読んでも眺めても、つまんでひっくり返してみても、てんで意味がわからない。でもそれでいい。眼前に確かに存在しているものの意味するところが皆目不明であるということは、非常に不愉快な状態である。己が馬鹿で阿呆で無知蒙昧であることが、間抜けにも衆目にさらされているような心持ちになってきて、まさに耐えがたい。誰にでもばれたくないことはあるのだ。ただ読むうえで(生きる
2024年4月6日 03:57
過ぎ去ったびぶりお文学賞の話に拘泥して申し訳ない限りではありますが、今回の正賞に選出されたのは二藤さんという方の「うたたね」という作品だ。 時の流れの残酷さは、誰もが日々を生きるうえで感じるであろうことだ。もしもそれを乗り越えうる何かが作品を通して浮かび上がることがあるのであれば、それは多くの読み手にとって希望となる可能性を秘めている。 異なる時間が交差するところから、普遍的ななにかが姿を
2024年4月5日 02:18
びぶりお文学賞の選考を終えた。選考を終えたどころか、既に主催者から結果が公にされており、さらに表彰式もとっくに終わっていて、果ては年度までかわりはてている。第17回びぶりお文学賞の結果(↓)生活能力の欠乏ゆえに日々のあれこれにたえず追い回されてグッダグダに疲れはてバッサバサに枯れはてバッタバタと死にはてている常時虫の息人間なので、毎年顔を出してきた表彰式にことしは参加できず、痛恨の極み
2022年8月13日 03:38
まんまるのブローチェンパンに乗るけしの実、カボチャの種レバーペーストを塗るとうまいのだと店員と話す初老の女性プレッツェルをかついで店を出て行く若い男性温かいパンにナイフを入れる若い店員を包むにおい小麦の焼ける甘いそれに混じってかすかに土の香りが店の奥の部屋に積まれているのは土日々うずたかく盛り上がっていく夜ごと少しずつ半年もかけてパン屋から145メートル
2022年8月13日 01:31
仲間が死んだ山向こうの鉄の川ひいじいさんの頃からよく死者が出ると言われて私は行ったことがないが石の川底に鉄が流れているという夜の会議で報告されたそれは昔から好奇心旺盛だった幼馴染み頭から血を流して石の川底で平たくなっていたと鉄の中から顔を覗かせた私たちとは違う動物は一瞬目を閉じて気持ちの悪そうな顔をして黙祷を私たちのために造られたわけではないこの世の中で私たちは
2022年8月11日 23:30
えごまをするとゴリゴリ削られますね。自己肯定感が。わたしは日々懸命にアップロードした記事にろくすっぽアクセスのないようなゴミかすクリエイターであり、すなわち生きる価値ゼロ円のろくでもない屑人間であるわけでありますから、すぐに死んだ方がこれ以上酸素を消費しないぶん世のため人のためなのであります。知ってました。肯定されるべき自己なんて、もともとどこにも存在しません。目を背けていただけ!
2022年8月11日 22:13
2013年11月~12月/新城兵一さん、岡本定勝さん、比嘉加津夫さんほか。 新城兵一さんの『弟または二人三脚』(あすら舎)は、昨年12月に60歳で亡くなった弟への〈弔い〉の詩集だ。14歳で統合失調症を患い、46年間の闘病生活を送った弟の姿が詩「弟」などに描かれる。曇りの日でも愛用したというサングラスなど、少ない遺品が挙げられ〈手ぶらでこの世を歩いたおまえが最もお似合いの/さいごの簡潔な身の終わ
2022年8月11日 04:04
noteの記事もグーグルで見つけることができるそうです。ためしに「note 詩」でgoogle検索してみました。世に言うえごま、もといエゴサでございます。わたしがこれまでに書き散らしてきた記事も、インターネットの大海の中で孤島に陥ることなく、見つけてもらえる状況にあるのでしょうか。わくわく。検索結果の最上位には「#詩」新着タグのページ、人気「詩」ユーザーランキングのまとめページなどがあ
2022年8月11日 02:26
びちゃびちゃと汚らしい音わたしは不審に思い台所へ薄汚れた老猫と目が合う瞬間身構えふっ飛んで去る老猫他所の家に忍び込む老猫は腹を鳴らしながらわたしはうちの猫の居場所を守るためうちの猫と協同して非常線を張る足元に水滴点々と窓まで続いている雑巾でふき取るがうちの猫は匂いを気にしている窓を締め切る飯を放置しない発見すれば厳しく追い立てる老猫取締網強化月間を指定する家
2022年8月10日 23:58
キラメキを一突きにされてわたしのケロイドは終わりですあきめくらの暴力的衝動無脳症の幼児性破壊願望わたしには何も破壊したいものなどただわたしの肉片を桜の木の根本とあなたの体内へ埋め込んで欲しかったあなたは傷付く必要など眠る場所が欲しかったのですバラされず生き永らえたわたしは宙ぶらりんで腐り始めた叶わぬ願いをバラさなければなりません何も成し得ぬ醜い姿を己を己の脳髄に刻み込ん
2022年8月9日 02:26
2013年9月~10月/山之口貘生誕110年、西原裕美さん、トーマ・ヒロコさん、山之口泉さん、石川為丸さんら 山之口貘生誕110年、没後50年を記念したイベントが9月にありました。那覇市の琉球新報ホールで開かれた「貘さん、ありがとう」座談会には山口泉、中里友豪、西原裕美、宇田智子の各氏が登壇。大城貞俊さんが司会を務めました。詩の朗読は高良勉さん、大石直樹さん、神のバトン賞受賞者が出演。佐渡山豊
2022年8月8日 23:39
「はーなー、もう」舌打ちとともに吐き捨て風呂場でごしごし洗ったばあちゃんはしかめっ面泡にまみれた皺だらけの指先には汚れた小さなパンツしゃー、ぶくぶく、しゃー保育園に行く朝を壊す企みは空振り見ていた孫の眉は八の字いつもしかめっ面「あり、ありあり」と興奮するのは決まって夕飯前平幕が横綱を倒すのに膝をうった「ありあり」が8時半に聞こえれば巨人の投手が打たれ、喝采してい
2022年7月24日 00:08
1903年(明治36年)の沖縄の新聞記事だ。沖縄県の沖縄本島北部に国頭郡がある。やんばると呼ばれる地域だ。近世から近代、現代にいたるまで琉球・沖縄の歴史の主流からも開発のメインストリームからも離れた(疎外された)地域だ。その国頭郡の調査結果として、特に郡内の名護間切(現在の名護市西岸の名護湾沿岸地域)から多くの女性が「娼妓」として出稼ぎに出ているということを伝えている。明治政府によって
2022年7月12日 02:00
焼き尽くすほかない東町、次は西町龍のすみかを元通りに知っているはずだ区長よ、那覇市場のある場所だ浅黄の琉球織を着流した女が役所の玄関をくぐる女たちを引き連れて眼光鋭く見回すとどすのきいた声で一度忠告して消えた数日後赤く染まったのは夜空東町に降り注ぐ火の粉、また火の粉四百あまりの家屋が焦げ焼け出された人びと家を失い仕事場を失い財産を失い家族を失った子、
2022年6月26日 23:09
日本海側にはほとんど行ったことがない。 岩手県へ旅した際に秋田市を通過し、車窓から町並みを眺めた程度だ。山形県に行った際は山間部のみに滞在した。 日本海の波涛、怒濤とも形容される荒波をいちど見てみたいとずっと思っている。深い青色をしていると聞く。沖縄のエメラルドグリーンの穏やかな海とは違った魅力があるのだと思う。 佐相憲一さんは横浜生まれ、東京在住の詩人だ。 近刊の詩集で、新潟県上越市