マガジンのカバー画像

生を忘れるな 安冨歩著作書評集

29
私が主催している「代読ダイアローグ」で読んだ安冨歩さんの著作の書評集です。 依頼主である長崎大学の技術員の野口大介さんのコメントも掲載しています。 私なりの視点でみた安冨さんの思…
運営しているクリエイター

#思い込みが変わったこと

序 いのち短し、明日の月日のないものを

序 いのち短し、明日の月日のないものを

 本マガジンでは、経済学者の安富歩氏の著作の書評を連載する。
 私が主催している「代読ダイアローグ」で、長崎大学の技術員の野口大介さんと安富氏の著作を土台に対談を行ない、そのさいに私が野口さんに送った書評文をもとに、野口さんのコメントを掲載していく。
 一部、安富氏本人の著作ではない書籍の書評も掲載しているが、安富氏が書評を書いたり、解説を記載しているので、安富氏の思想を理解する上での参考になると

もっとみる
索引集:安冨歩先生著作への言及や書評

索引集:安冨歩先生著作への言及や書評

 読者のみなさまへ、サポートのお願いをお呼びかけいたしました。

 引き続き、お待ちいたしております。もちろん、当記事を読んでいただいただけでも、感謝しております。

 ところで、いま公開している本マガジンのnote記事では、吉成さんと私が安冨先生関連の本を読んだ書評を紹介するかたちで構成されておりますが、ネット上にはほかにもたくさんの方々の書評があります。ただ、現状では、それらを参照するには一つ

もっとみる
資料:安冨歩先生の書籍をまとめました

資料:安冨歩先生の書籍をまとめました

 (3/16 追記) 安冨歩先生の以下のブログ

のトップページからリンクはされていませんので見つけるのが困難ですが、ライブラリ(https://anmintei.net/library)からリンクされたこちらの記事(https://anmintei.net/book)に、安冨歩先生の書籍がまとめられています。著書が22冊、共著・共編著が7冊、翻訳、その他 関連書籍が5冊となっています。
(参考)

もっとみる
第12章 『老子の教え』の書評へコメント

第12章 『老子の教え』の書評へコメント

安冨歩『老子の教え あるがままに生きる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)に対する吉成学人さんの書評へのコメントです。

 ご感想を興味深く拝見し、ここ数日、「道」について、考えていました。「道」は言葉にして表すのが難しい概念です。「道」は「存在(Being)」であるという視点が、安冨先生の『老子』解釈の上で一貫した考え方であるということになります。宇宙が誕生する前は「無」でしたから、「存在」と

もっとみる
第11章 『「れいわ一揆 製作ノート」の書評』へのコメント

第11章 『「れいわ一揆 製作ノート」の書評』へのコメント

原一男+風狂映画舎(編著)『れいわ一揆 制作ノート』(恒星社)に対する吉成学人さんの書評へのコメントです。

 三原じゅん子さんについて語られた「ファイヤーラジオ」を視聴しました。確かに、三原さんに関し、知らないことばかりであったとわかりました。以前の一月万冊で、NTT接待問題と自民党総裁選の時期に(三原さんと同じ自民党議員の)高市早苗さんが取りあげられ、そのウルトラ右翼ぶりが強く印象に残っていた

もっとみる
第10章『「経済学の船出」の書評』へのコメント

第10章『「経済学の船出」の書評』へのコメント

安冨歩『経済学の船出——創発の海へ』(一月万冊)に対する吉成学人さんの書評へのコメントです。

 『専門分野を持たないで研究する方法』という、2006年公刊の安冨先生の論文があります。

 この中に、

とあります。斬新かつ興味深いです。なるほど、一月万冊による『複雑さを生きる』や、『経済学の船出』の復刊は、そういう考えに基づく「プロジェクト」であったか、と思い至りました。

 本書『経済学の船出

もっとみる
第9章『生きるための日本史』の書評へのコメント

第9章『生きるための日本史』の書評へのコメント

安冨歩『生きるための日本史:あなたを苦しめる〈立場〉主義の正体』(青灯社)に対する吉成学人さんの書評へのコメントです。 

 安冨先生の『生きるための日本史』から、荘子や本居宣長、あるいは映画等のいろいろな話題につながるとは、私の想像を超えられておいでのものです。安冨先生の本がそうした性格を帯びているからでしょうか・・・。

 本書の特徴の一つは、著者本人である安冨先生と、何人かの対話相手の方との

もっとみる
第8章『「言葉が殺される国」で起きている残酷な真実』書評へのコメント

第8章『「言葉が殺される国」で起きている残酷な真実』書評へのコメント

楊逸・劉燕子『「言葉が殺される国」で起きている残酷な真実』(ビジネス社)に対する吉成学人さんの書評へのコメントです。

中国と日本とは、実はそっくり
 『「言葉が殺される国」で起きている残酷な真実』には、中国本土で文革時に生まれ育った2人の著者である楊逸さん、劉燕子さんによる生の経験に基づいて、文学という観点から、中国共産党による大陸支配の残酷さが対談で記述されております。安冨先生は、その書評を、

もっとみる
第7章 『「香港バリケード」書評』へのコメント

第7章 『「香港バリケード」書評』へのコメント

遠藤誉(著),深尾葉子・安冨歩(共著)『香港バリケード――若者はなぜ立ち上がったのか』(明石書店)に対する吉成学人さんの書評へのコメントです。

 下記ブログで、安冨先生は『香港バリケード』の出版経緯を次のように報告しています。

 中国での出来事は決して他人ごとではなく、日本にも大いに関係するため、それらをきちんと知り、考えておくことは重要です。しかしながら、吉成さんがご感想で述べられております

もっとみる
第6章 『「誰が星の王子さまを殺したのか」の書評』へのコメント

第6章 『「誰が星の王子さまを殺したのか」の書評』へのコメント

安冨歩『誰が星の王子さまを殺したのか――モラル・ハラスメントの罠』(明石書店)に対する吉成学人さんの書評へのコメントです。

 『誰が星の王子さまを殺したのか――モラル・ハラスメントの罠』は、安冨先生が、東大な人(『ハラスメントは連鎖する』の共著者など)や、元奥さま、親御さまとのご経験で受けたモラル・ハラスメント、そしてそこからの解脱を経られ、サン=テグジュペリ『星の王子さま』から「モラル・ハラス

もっとみる
第5章『「メイク・ザット・チェンジ」;「マイケル・ジャクソンの思想」書評』へのコメント

第5章『「メイク・ザット・チェンジ」;「マイケル・ジャクソンの思想」書評』へのコメント

ソフィア パーデ,アルミン リジ 『メイク・ザット・チェンジ:世界を変えよう マイケル・ジャクソン 精神の革命家:そのメッセージと運命』(日曜社),(翻訳) 長谷川 圭,セイヤーン ゾンターク,(解題) 安冨歩
安冨歩『新装版マイケル・ジャクソンの思想』(アルテスパブリッシング)に対する吉成学人さんの書評へのコメントです。

メイク・ザット・チェンジ
 マイケル・ジャクソンの評伝『メイク・ザット・

もっとみる
第4章『「幻影からの脱出」の書評』へのコメント

第4章『「幻影からの脱出」の書評』へのコメント

安冨歩『幻影からの脱出―原発危機と東大話法を越えて―』(明石書店)に対する吉成学人さんの書評へのコメントです。

大学教員の選挙への出馬 原発を巡る状況も含む日本社会そのものを正しく理解するために、日本で原発が成立したプロセスに位置づけられる日本の戦後政治体制について安冨先生が研究されたのが、今回の『幻影からの脱出』であり、さらに、さきに対談いたしました『満洲暴走』では、満洲が成立したころの歴史に

もっとみる
第3章『原発危機と「東大話法」書評』へのコメント

第3章『原発危機と「東大話法」書評』へのコメント

安冨歩『原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―』(明石書店)に対する吉成学人さんの書評へのコメントです。

前置き 野口です。ご感想を拝見しました。以前、東北に旅行したことがあり、東北は九州よりいくぶん気候が穏やかでは、という気がしておりましたが、うだるような厳しい暑さなのですね・・・。ご自愛ください。

『原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―』 この本で安冨先生は、現職

もっとみる
第2章『「親鸞ルネサンス」書評』へ...

第2章『「親鸞ルネサンス」書評』へ...

安冨歩・本田雅人・佐野明弘『親鸞ルネサンス 他力による自立』に対する吉成学人さんの書評へのコメントです。

 「形而上学」をめぐっては、宗教的信念と関係する、様々な議論があるのですね。安冨先生が、片岡祐介さんを教祖とする「純セレブ教」を生み出したのも、現代の形而上学的問題へのお考えに基づいているという理解ができるかもしれません。私は形而上学への問題意識をめぐる議論についてはまったく詳しく知りません

もっとみる