ひらおがひろな

私は志州の人間で、ここに記すは真でありたい。読者のほんのひとときの一部になれたら 幸い…

ひらおがひろな

私は志州の人間で、ここに記すは真でありたい。読者のほんのひとときの一部になれたら 幸いです。よろしくお願いします。

マガジン

  • 白球は潮風と共に

    長編小説。志州水産高校野球部のお話です。

  • ワンダフルブルーを巡る物語

    短編小説集。どこからどの順番で読んでもオッケーです。暇つぶしにどうぞ。寄ってらっしゃい見てらっしゃい。

  • ずいずいひつひつ随筆(^O^☆♪

    エッセイ集です。

  • 旋律を持つ言葉たち

    自作曲の歌詞です。

記事一覧

闇夜の国

夕日を浴びた砂浜で ぼんぼんぼんぼん盆踊り 焚き火の周りをわたしとあなた ぐるぐるまわって無になって わたしの影が長く伸び ちぎれて1人のヒトになり 叫び踊るよとめど…

白球は潮風と共に 第2章

第2章 栄光への日々  波木義哉は25歳のとき教員採用試験に受かり、晴れて教職の道を歩み始めた。初の赴任先は三重県立安濃津高校というところだった。体育教師となり、…

進化≒退化

いつのまにか 電子板の上 すべらす指 無意識の境地 何でも知っていて 何を聞いても いつでも答えてくれる 便利すぎて いつのまにか 頼りすぎていた 情報の波にのまれ…

出会ってくれてありがとう

 わたしの名前はさなほ。大和県立大学文学部2回生とは裏の顔、表の顔はアルバイトに勤しみ、好きなバンドのライブに行くことにいのちをかける可憐でキュートな乙女(自らの…

牢屋の窓からこんにちわ 

 ぼくは今牢屋の中にいる。何も悪いことはしていない。ネパネラの森の中を歩いていたら、1匹の猫のような生き物が倒れていた。近づくと、上から巨大な網が落ちてきて、見…

1

白球は潮風と共に 第1章 

第1章 海がある町の野球チーム  朝、家の外に出ると潮の香りがする。ここでは当たり前のことだ。ぼくの家のすぐ近くに海があるんだから。海がない町に住んだら、潮の香…

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生命確認継続讃歌

 朝日が昇れば一日は始まるけど、わたしは始まらない。今は始めたくない。切り替えなくちゃと思いつつ、昨日の延長を生きている。時の流れに乗らず、置いてけぼりだよ。自…

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かもしれないが止まらない

 車を運転し始めて7年が経った。  勤務地に向かうために車が必要になり、 中古のライフをローンを組み購入した。車を運転することは今だに心から好きにはなれない。リス…

毛虫がゆく

道路を渡る毛虫 どこに向かうの毛虫 もしや… 母毛虫が病で倒れ自宅に電話がないから医者毛虫を呼びに行ってるのかも フレーフレー毛虫 道路を渡りきれ 坂道を登る毛虫 …

3

草原の椅子

昔、都があったここは今や草原 人が生き死に栄華を極めたり 悲しみがのさばったり その時も空はあり、すべてを見てた 侍は刀を携え、何のために誰のために切るのか自らに問…

ワンダフルブルーな旅人

異国の路上で、聞いたことのない言語で歌われた陽気な歌を聞いた。ぼくは1人でこの国を旅する人間だった。その歌が気になって、道端の白髪のおじさんに拙い英語で歌の意味…

1

noteについて2024.4

わたしは世界の中の1つの本棚 それがこのnoteってことや 読んでくれる人がいてありがたい 何よりいろんな人のnoteを読んで 共感新鮮関心やさしさ驚きなどを感じて みんな…

1

中学校はぼくの胸の中に移転した

ぼくが通った中学校が取り壊された 町の子どもが減ったから そこは更地になり消波ブロックが並んでた それでも覚えている 廊下を走って怒られて早足に切り替え 授業中に居…

4

海のガラス

波にゆられて わたしはガラス 波に当たって 丸み帯びる 波にたゆたう わたしのいのち 波にのってる あなたのいのち 砂浜に漂着したわたしは いつのまにか光っていた …

5

わたしたちは何色の糸?

歯磨きしてるとき今日食べたものを思い返して ニンマリするのがわたしのルール 口内きれいにして眠りたい 裸足でフローリングを歩くとひんやり こんなところに季節を感じ…

2

白球物語 Part2

投手が全力で投げた白球は外角低めに 猛スピードで向かう 打者はその白球を真芯でとらえる 鋭い金属音が鳴り響く 白球は大きな弧を描き曇り空を舞い 電光掲示板に直撃する …

1

闇夜の国

夕日を浴びた砂浜で
ぼんぼんぼんぼん盆踊り
焚き火の周りをわたしとあなた
ぐるぐるまわって無になって

わたしの影が長く伸び
ちぎれて1人のヒトになり
叫び踊るよとめどなく

あなたの影はゆっくりと
あなたと別れ歩み出す
踊って跳ねて砂舞い散る

生きる喜び感じたいなら
闇夜に踊るもののけになれ
綱で明日を引っ張るように
夜明けを祝えいえいおー

わたしの影が影を生み
あなたの影も影を生み
みんな

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白球は潮風と共に 第2章

第2章 栄光への日々

 波木義哉は25歳のとき教員採用試験に受かり、晴れて教職の道を歩み始めた。初の赴任先は三重県立安濃津高校というところだった。体育教師となり、希望通り野球部に携わることができるようになった。監督は既にいたので、コーチという立ち場になった。野球部は弱くもなく強くもなく、毎年夏の県大会でベスト16に入るか入らないかという感じだった。
 波木には夢があった。選手がのびのびと野球をし

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進化≒退化

いつのまにか 電子板の上 すべらす指
無意識の境地
何でも知っていて 何を聞いても
いつでも答えてくれる
便利すぎて いつのまにか 頼りすぎていた

情報の波にのまれ
スクロールスクロール ハイ!オワリ
誰かの生活を垣間見て
スクロールスクロールあの人は生きてる 僕は?

もっとうまくつきあいたい
もっとうまくつきあえたら

いつのまにか 真っ白い紙の上
削りたての鉛筆で旅路の果て
何も知らない僕

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出会ってくれてありがとう

 わたしの名前はさなほ。大和県立大学文学部2回生とは裏の顔、表の顔はアルバイトに勤しみ、好きなバンドのライブに行くことにいのちをかける可憐でキュートな乙女(自らのことをそのように定義する人をあまり信用しない方がよいかもしれないが、話す程度なら大丈夫だと思うよ)。

 大学の授業を終え、バイト先に向かうときの気持ちは晴れ晴れしてる。シャンブルっていう喫茶店で働いてるんだけど、そこでの時間は不思議と早

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牢屋の窓からこんにちわ 

 ぼくは今牢屋の中にいる。何も悪いことはしていない。ネパネラの森の中を歩いていたら、1匹の猫のような生き物が倒れていた。近づくと、上から巨大な網が落ちてきて、見事に捕獲された。なんと原始的な方法だこと。わけがわからず網をちぎろうとするがちぎれず。叫び声を上げた、上半身裸の人間たちがどこからか出てきた、3人の筋肉隆々な男たちに担がれ、今牢獄にいる。8畳くらいの部屋で、トイレが個室で、なぜかキッチンが

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白球は潮風と共に 第1章 

第1章 海がある町の野球チーム

 朝、家の外に出ると潮の香りがする。ここでは当たり前のことだ。ぼくの家のすぐ近くに海があるんだから。海がない町に住んだら、潮の香りが恋しくなるんだろうか。
 海に近づくに連れ、波の音が大きくなる。足どりが徐々に早くなる。堤防に上り、両手を広げ太陽にあいさつ。おはよう太陽。海を見るとキラキラが広がっている。
 砂浜を走り、足腰を鍛えるのがぼくの日課だ。野球のため。ぼ

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生命確認継続讃歌

 朝日が昇れば一日は始まるけど、わたしは始まらない。今は始めたくない。切り替えなくちゃと思いつつ、昨日の延長を生きている。時の流れに乗らず、置いてけぼりだよ。自分で選んだんだよ。布団にくるまる、自ら生み出したぬくもりで落ち着き、胎児のような格好で、昨日のことを思い出す。
 昨日、わたしは仕事をしていた。わたしは知的障害者入所施設で支援員をしてる。そこで昨日夏祭りがあって利用者・スタッフ・お客さんと

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かもしれないが止まらない

 車を運転し始めて7年が経った。
 勤務地に向かうために車が必要になり、
中古のライフをローンを組み購入した。車を運転することは今だに心から好きにはなれない。リスクを背負っているような気持ちになるし、運転中は油断ならない。そんな中でも楽しいと思う瞬間はある。見晴らしの良い川沿いの道路なんかを走ったら、窓を開けて風を感じたりする。渋滞時に生じた苛立ちを何度音楽やラジオに助けられたか。なにより同乗者と

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毛虫がゆく

道路を渡る毛虫
どこに向かうの毛虫
もしや…
母毛虫が病で倒れ自宅に電話がないから医者毛虫を呼びに行ってるのかも
フレーフレー毛虫 道路を渡りきれ

坂道を登る毛虫
やけに急いでる毛虫
もしや…
第102回日本毛虫マラソン大会で1位を目指すために日夜特訓をしてるんじゃないのか
ゆけーゆけー毛虫 蟻も密かに応援中

毛虫はゆっくりじっくりゆく
誰にも止められない

大樹を登る毛虫
昨夜食べた葉に感動

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草原の椅子

昔、都があったここは今や草原
人が生き死に栄華を極めたり
悲しみがのさばったり
その時も空はあり、すべてを見てた
侍は刀を携え、何のために誰のために切るのか自らに問うと、料理に使うくらいが丁度いいんじゃないかなって微笑む
農民の暮らしに踊りは必要だった
皆で輪になり踊る 円循環 円循環
繰り返して創造破壊創造破壊
行動後悔改心行動後悔改心
土の上に在る我は肉体を纏った魂である

今も昔も変わらない

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ワンダフルブルーな旅人

異国の路上で、聞いたことのない言語で歌われた陽気な歌を聞いた。ぼくは1人でこの国を旅する人間だった。その歌が気になって、道端の白髪のおじさんに拙い英語で歌の意味を聞いた。するとおじさんはめちゃくちゃ早口で話し始めた。早口すぎて英語が聞き取れず、何度もゆっくり話してくれと英語で伝えた。

彼の恋人になりたいけど彼はもういない
彼の笑顔を思い出して悲しくなる
私の気持ちはワンダフルブルー
今日の空はワ

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noteについて2024.4

わたしは世界の中の1つの本棚
それがこのnoteってことや
読んでくれる人がいてありがたい

何よりいろんな人のnoteを読んで
共感新鮮関心やさしさ驚きなどを感じて
みんなが生きて記してることに勝手に喜んでる

ただのロマンチスト且つ楽観悲観で
日々生きるわたしはきっと誰かと分かり合いたい
どんな境遇の人でも
少しでも重なるところがあるはずや
誰しも背負った荷物やら誇りやら感情やらと向き合い生き

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中学校はぼくの胸の中に移転した

ぼくが通った中学校が取り壊された
町の子どもが減ったから
そこは更地になり消波ブロックが並んでた

それでも覚えている
廊下を走って怒られて早足に切り替え
授業中に居眠り隣のあの子に起こされて
職員室で会ったN先生が乱歩読んでて
夕陽に染まる校舎 あの日の時計も今はない

それでも忘れない
合唱コンクールの日の涙 
運動会に来てくれた両親の眼差し
黒板に書かれた日付け日直は誰だった?
朝日を浴びた

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海のガラス

波にゆられて わたしはガラス
波に当たって 丸み帯びる
波にたゆたう わたしのいのち
波にのってる あなたのいのち

砂浜に漂着したわたしは
いつのまにか光っていた 
誰かに拾われたいなんて1度も思わなかった
あたたかい太陽光 カモメの群れ
波の音が奏でる音楽に包まれ
子どもがわたしを拾った

その子の部屋にはクマのぬいぐるみがいて
わたしはそのクマにとっての宝石になった
クマは3年はここにいるら

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わたしたちは何色の糸?

歯磨きしてるとき今日食べたものを思い返して
ニンマリするのがわたしのルール
口内きれいにして眠りたい

裸足でフローリングを歩くとひんやり
こんなところに季節を感じるよ
冬なら速攻靴下履くよ

明日は仕事で明後日休み
みーちゃん今頃何してる? 
ラインは敢えてしない
さびしさに浸る時間も必要なんだ

携帯のアラームより目覚まし時計で朝起きる
枕元での存在感は半端ない
あくびしながらカーテン開ける

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白球物語 Part2

投手が全力で投げた白球は外角低めに
猛スピードで向かう
打者はその白球を真芯でとらえる
鋭い金属音が鳴り響く
白球は大きな弧を描き曇り空を舞い
電光掲示板に直撃する
狂喜乱舞する観客たちを横目に
打者は表情ひとつ変えずそれぞれの塁を回る
投手は空を1度見てたからマウンドの土をはらう

完璧なコースに完璧な直球を投げ込んだにも関わらず完璧に打たれた
あぁ世界は広いね やつは怪物だ

白球にとって勝敗

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