ひらおがひろな

私は志州の人間で、ここに記すは真でありたい。読者のほんのひとときの一部になれたら 幸い…

ひらおがひろな

私は志州の人間で、ここに記すは真でありたい。読者のほんのひとときの一部になれたら 幸いです。よろしくお願いします。

マガジン

  • ワンダフルブルーを巡る物語

    短編小説集。どこからどの順番で読んでもオッケーです。暇つぶしにどうぞ。寄ってらっしゃい見てらっしゃい。

  • 白球は潮風と共に

    長編小説。志州水産高校野球部のお話です。

  • ずいずいひつひつ随筆(^O^☆♪

    エッセイ集です。

  • 旋律を持つ言葉たち

    自作曲の歌詞です。

最近の記事

出会ってくれてありがとう

 わたしの名前はさなほ。大和県立大学文学部2回生とは裏の顔、表の顔はアルバイトに勤しみ、好きなバンドのライブに行くことにいのちをかける可憐でキュートな乙女(自らのことをそのように定義する人をあまり信用しない方がよいかもしれないが、話す程度なら大丈夫だと思うよ)。  大学の授業を終え、バイト先に向かうときの気持ちは晴れ晴れしてる。シャンブルっていう喫茶店で働いてるんだけど、そこでの時間は不思議と早くすぎる。昭和感漂いまくりのレトロな内装がそうさせるのか。店内は暗めでシャンデリ

    • 牢屋の窓からこんにちわ 

       ぼくは今牢屋の中にいる。何も悪いことはしていない。ネパネラの森の中を歩いていたら、1匹の猫のような生き物が倒れていた。近づくと、上から巨大な網が落ちてきて、見事に捕獲された。なんと原始的な方法だこと。わけがわからず網をちぎろうとするがちぎれず。叫び声を上げた、上半身裸の人間たちがどこからか出てきた、3人の筋肉隆々な男たちに担がれ、今牢獄にいる。8畳くらいの部屋で、トイレが個室で、なぜかキッチンがあり、勉強机と椅子があり、鉄格子越しに看守と思われるおばさんがいる。読書をしてい

      • 白球は潮風と共に 第1章 

        第1章 海がある町の野球チーム  朝、家の外に出ると潮の香りがする。ここでは当たり前のことだ。ぼくの家のすぐ近くに海があるんだから。海がない町に住んだら、潮の香りが恋しくなるんだろうか。  海に近づくに連れ、波の音が大きくなる。足どりが徐々に早くなる。堤防に上り、両手を広げ太陽にあいさつ。おはよう太陽。海を見るとキラキラが広がっている。  砂浜を走り、足腰を鍛えるのがぼくの日課だ。野球のため。ぼくは野球部のエースピッチャーなんだ。ピッチャーは足腰がしっかりしてないと、いい球

        • 生命確認継続讃歌

           朝日が昇れば一日は始まるけど、わたしは始まらない。今は始めたくない。切り替えなくちゃと思いつつ、昨日の延長を生きている。時の流れに乗らず、置いてけぼりだよ。自分で選んだんだよ。布団にくるまる、自ら生み出したぬくもりで落ち着き、胎児のような格好で、昨日のことを思い出す。  昨日、わたしは仕事をしていた。わたしは知的障害者入所施設で支援員をしてる。そこで昨日夏祭りがあって利用者・スタッフ・お客さんと0時くらいまで騒いだ。利用者は普段、21時には就寝だ。昨日は特別な日だった。  

        出会ってくれてありがとう

        マガジン

        • ワンダフルブルーを巡る物語
          4本
        • 白球は潮風と共に
          1本
        • ずいずいひつひつ随筆(^O^☆♪
          4本
        • 旋律を持つ言葉たち
          15本

        記事

          かもしれないが止まらない

           車を運転し始めて7年が経った。  勤務地に向かうために車が必要になり、 中古のライフをローンを組み購入した。車を運転することは今だに心から好きにはなれない。リスクを背負っているような気持ちになるし、運転中は油断ならない。そんな中でも楽しいと思う瞬間はある。見晴らしの良い川沿いの道路なんかを走ったら、窓を開けて風を感じたりする。渋滞時に生じた苛立ちを何度音楽やラジオに助けられたか。なにより同乗者との他愛ない会話はささやかな幸せだと思う。  本題はここから。運転中に、ふと疑問を

          かもしれないが止まらない

          毛虫がゆく

          道路を渡る毛虫 どこに向かうの毛虫 もしや… 母毛虫が病で倒れ自宅に電話がないから医者毛虫を呼びに行ってるのかも フレーフレー毛虫 道路を渡りきれ 坂道を登る毛虫 やけに急いでる毛虫 もしや… 第102回日本毛虫マラソン大会で1位を目指すために日夜特訓をしてるんじゃないのか ゆけーゆけー毛虫 蟻も密かに応援中 毛虫はゆっくりじっくりゆく 誰にも止められない 大樹を登る毛虫 昨夜食べた葉に感動した毛虫 もしや… 大樹のてっぺんで待つ恋人毛虫に 自分の気持ちを伝えるために登

          草原の椅子

          昔、都があったここは今や草原 人が生き死に栄華を極めたり 悲しみがのさばったり その時も空はあり、すべてを見てた 侍は刀を携え、何のために誰のために切るのか自らに問うと、料理に使うくらいが丁度いいんじゃないかなって微笑む 農民の暮らしに踊りは必要だった 皆で輪になり踊る 円循環 円循環 繰り返して創造破壊創造破壊 行動後悔改心行動後悔改心 土の上に在る我は肉体を纏った魂である 今も昔も変わらないこと ただ偉くなりたいやつらが争い 関係ない人々を巻き込んでしまう たくさんの土

          ワンダフルブルーな旅人

          異国の路上で、聞いたことのない言語で歌われた陽気な歌を聞いた。ぼくは1人でこの国を旅する人間だった。その歌が気になって、道端の白髪のおじさんに拙い英語で歌の意味を聞いた。するとおじさんはめちゃくちゃ早口で話し始めた。早口すぎて英語が聞き取れず、何度もゆっくり話してくれと英語で伝えた。 彼の恋人になりたいけど彼はもういない 彼の笑顔を思い出して悲しくなる 私の気持ちはワンダフルブルー 今日の空はワンダフルブルー おじさん曰くそんな内容の歌詞らしい。曲のテンポが早くてコンガが

          ワンダフルブルーな旅人

          noteについて2024.4

          わたしは世界の中の1つの本棚 それがこのnoteってことや 読んでくれる人がいてありがたい 何よりいろんな人のnoteを読んで 共感新鮮関心やさしさ驚きなどを感じて みんなが生きて記してることに勝手に喜んでる ただのロマンチスト且つ楽観悲観で 日々生きるわたしはきっと誰かと分かり合いたい どんな境遇の人でも 少しでも重なるところがあるはずや 誰しも背負った荷物やら誇りやら感情やらと向き合い生きてくんや 持ち物は自分で選ぶんや!と言いつつも 気づいたら増えとる 減らすのもし

          noteについて2024.4

          中学校はぼくの胸の中に移転した

          ぼくが通った中学校が取り壊された 町の子どもが減ったから そこは更地になり消波ブロックが並んでた それでも覚えている 廊下を走って怒られて早足に切り替え 授業中に居眠り隣のあの子に起こされて 職員室で会ったN先生が乱歩読んでて 夕陽に染まる校舎 あの日の時計も今はない それでも忘れない 合唱コンクールの日の涙  運動会に来てくれた両親の眼差し 黒板に書かれた日付け日直は誰だった? 朝日を浴びた校舎 体育館の静けさ ぼくが通った中学校はたった今胸の中に 移転したよ 工事は

          中学校はぼくの胸の中に移転した

          海のガラス

          波にゆられて わたしはガラス 波に当たって 丸み帯びる 波にたゆたう わたしのいのち 波にのってる あなたのいのち 砂浜に漂着したわたしは いつのまにか光っていた  誰かに拾われたいなんて1度も思わなかった あたたかい太陽光 カモメの群れ 波の音が奏でる音楽に包まれ 子どもがわたしを拾った その子の部屋にはクマのぬいぐるみがいて わたしはそのクマにとっての宝石になった クマは3年はここにいるらしく 居心地の良さを何度も伝えてくれた わたしは宝石 海出身ガラスの宝石  クマ

          わたしたちは何色の糸?

          歯磨きしてるとき今日食べたものを思い返して ニンマリするのがわたしのルール 口内きれいにして眠りたい 裸足でフローリングを歩くとひんやり こんなところに季節を感じるよ 冬なら速攻靴下履くよ 明日は仕事で明後日休み みーちゃん今頃何してる?  ラインは敢えてしない さびしさに浸る時間も必要なんだ 携帯のアラームより目覚まし時計で朝起きる 枕元での存在感は半端ない あくびしながらカーテン開ける 陽射しが暖かくてお昼にはきっと灼熱 通勤電車で景色みる 今日と昨日の違いについ

          わたしたちは何色の糸?

          白球物語 Part2

          投手が全力で投げた白球は外角低めに 猛スピードで向かう 打者はその白球を真芯でとらえる 鋭い金属音が鳴り響く 白球は大きな弧を描き曇り空を舞い 電光掲示板に直撃する 狂喜乱舞する観客たちを横目に 打者は表情ひとつ変えずそれぞれの塁を回る 投手は空を1度見てたからマウンドの土をはらう 完璧なコースに完璧な直球を投げ込んだにも関わらず完璧に打たれた あぁ世界は広いね やつは怪物だ 白球にとって勝敗はどうでもいい 白球は今を生き、過去も未来も抱え込み 冷静に在る 白球を追いかけ

          それでも確かめに行く

          この世にたしかなことがない 今夜寝たらもう目覚めないかもしれないだろ きみの好きなお菓子の名前を忘れた 覚えて忘れてをくりかえして  それでも 覚えているもの ドリップしてドリップして抽出されし 一滴のコーヒー 記憶の海に一隻の舟を もっとうまくやれないものかなぁ 今までうまくやってこれたものをあげてみて きみのことをぜんぶ知りたいという気持ちは ぼくのわがまま? きみの所作のひとつに宿る愛 この世にたしかなものがない 賞状めざしてさまよって 手にしたそれはただの紙  そ

          それでも確かめに行く

          ねぇ音楽

          お金を稼ぐための仕事が終わりタイムカード を押したら今日のことは一旦忘れよう 終わらない仕事 増えてく仕事 仕事があることへの感謝はある けど理不尽を浴びてすり減る必要はないよな やっぱり切り替えられない 車に乗ったらきみに会える ねぇ音楽 今の気持ちを代わりに歌ってよロックバンド 果てない荒野を行く人は果てない荒野を行くと決めたから行くんだ むちゃくちゃシンプル ぼくの果てない荒野はどこにある ねぇ音楽 不自由だから自由があるんだよな 仕事で出会った先輩と あのシンガ

          あの日のサスペンダー

          なんでこんなひもを肩にかけないかんのや わたしは納得いかへん おかあはかわいいと思っとるみたいやけど 肩痛いわ けどな  おかあの買ってくれたサスペンダーや  こんなもんつけるかぁ!って言うのは ちがう。 おかあの気持ちをむげにはできひん おかあが思うかわいいわたしをえんじたろやないか  サスペンダー似合うおてんばになって飛び跳ねてみよかな おかあの笑顔でわたしはほぐれる 今はそんなかんじやけどな 気に食わんことははっきり言うのがわたしや 今回のサスペンダーは

          あの日のサスペンダー