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檸檬読書日記

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#絵本

檸檬読書日記 月に砂漠を、リルケに手紙を、短歌にパラダイスを。 8月26日-9月1日

檸檬読書日記 月に砂漠を、リルケに手紙を、短歌にパラダイスを。 8月26日-9月1日

8月26日(月)

北村薫『月の砂漠をさばさばと』を読む。

作家の母親と、9歳の女の子・サキちゃん、2人の何気ない日常を描いた作品。

仲良し親子の会話にはほっこりとさせられるし、読んでいてとても心地よい気持ちになった。

クスリと笑えるところも多く、楽しい。

2人が作り出す物語も魅力的で、夢を見ているようなフワフワ感がある。
挿絵もフワフワと優しい色合いと描き方だから、余計に心地よい夢のよう

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檸檬読書日記 漱石の白百合は白にあらず、桃パフェ食し、小説は歩行戯曲は舞踏。 8月12日-8月18日

檸檬読書日記 漱石の白百合は白にあらず、桃パフェ食し、小説は歩行戯曲は舞踏。 8月12日-8月18日

8月12日(月)

舞い上がっている。
ようやく、ようやく、王城夕妃さんの新刊が出る!
嬉しい。ずっと待っていた。新刊は8年振りだよ。
楽しみ。
ただ、単行本というのが…。この方の全部文庫で持ってるからなあ。文庫が出るのを待つか…。うーむ、悩みどころ。

8月13日(火)

お盆で祖父の家に行って、準備を手伝う。
わっせわっせ。
今年も無事完了。ナスとキュウリはわが家で採れたものを使ったから、きっ

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檸檬読書日記 珈琲パフェは美味しく、ポーは息苦しく、ユトリロの壁は美しい。 7月8日-7月14日

檸檬読書日記 珈琲パフェは美味しく、ポーは息苦しく、ユトリロの壁は美しい。 7月8日-7月14日

7月8日(月)

なんだこの暑さは。溶かしにかかってきておるぞ。

とろとろと 熱の矢刺され とろとろと 固めるために アイスをおくれ

ジョン・クラッセン『ドクロ』を読む。絵本。

結構ダークな作品。
まあタイトル『ドクロ』の時点でなんだけれど、大人向きな絵本。

少女・オフィアは逃げていた。
辿り着いた先は大きな屋敷で、そこには人はなくドクロだけが暮らしていた。
ドクロは毎晩、顔のない骸骨に追

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檸檬読書日記 森見登美彦の区切り方、マティスは踊り、馴染み知らずの物語。 5月13日-5月19日

檸檬読書日記 森見登美彦の区切り方、マティスは踊り、馴染み知らずの物語。 5月13日-5月19日

5月13日(月)

小川洋子『約束された移動』を読む。

六つの短編集。

俳優が泊まった後のなくなった本を秘密の合図とする女性や、ダイアナ妃に憧れバーバラと名乗る女の人、元迷子係の末の妹や、突然老女に引っ付かれて離れたくなってしまった男性、黒子羊と出会い託児所を始めた女性や、希少言語の通訳をする女の人の話。

相変わらず少しひんやりと冷たく、それが凄く心地よい。温度はないけれど、生命が終わった瞬

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檸檬読書日記 珈琲の香りにむせ、蜜柑がごろごろ、春は黄色から。 3月11日-3月17日

檸檬読書日記 珈琲の香りにむせ、蜜柑がごろごろ、春は黄色から。 3月11日-3月17日

3月11日(月)

普段市販の飲み物を飲まないからか、もらった紅茶オレを冷蔵庫に入れたまま、その存在をすっかり忘れていた。
冷蔵庫を空けた際ふと目に止まって、そういえばもらったんだったなあと、賞味期限大丈夫かなあと確認してみたところ、大丈夫じゃなかった。3日過ぎていた。

でも3日くらいなら行けるかな…。恐る恐る。

活字者編集部・編『珈琲譚 喫茶と文芸をめぐる小曲集』を読む。

明治・大正・昭和

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檸檬読書日記 蛇は足を飾り、黒澤明応援隊と、季節外れのクリスマス。 2月19日-2月25日

檸檬読書日記 蛇は足を飾り、黒澤明応援隊と、季節外れのクリスマス。 2月19日-2月25日

2月19日(月)

「花粉のやつが飛んでいる」

そう忌々しそうに言うから

「雨とか降って落ちるといいのにね」

と返したら

「そうすると、降ってる時はいいけど、止んだ後にそれが舞うんだよ」

「でも、たくさん降ってたくさん落ちたら、その分早く終わるんじゃないの?」

「いや、そういうことじゃないんだよなあ。これだから花粉症じゃないやつは…やれやれ」

と言われてしまった。そういうことじゃない

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檸檬読書日記 カフカは人形になって、夏目漱石はぽこりぽこりと、秋は蘇る。 1月29日-2月4日

檸檬読書日記 カフカは人形になって、夏目漱石はぽこりぽこりと、秋は蘇る。 1月29日-2月4日

1月29日(月)

ラリッサ・トゥーリー・文、レベッカ・グリーン・絵『人形からとどいた手紙 -ベルリンのカフカ』を読む。絵本。

作家のフランツ・カフカは、ある日人形をなくした女の子と出会う。
悲しむ女の子に、カフカは人形から手紙を預かっていると、何通かの手紙を渡すのだった。

この話、実際にあった出来事を元に、現代風にアレンジ(特に手紙の内容を)しているものらしい。
カフカといえば、不条理だの救

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檸檬読書日記 川端康成は谷崎潤一郎と三島由紀夫の顔をして、太宰治は志賀直哉に構って欲しい。 1月15日-1月22日

檸檬読書日記 川端康成は谷崎潤一郎と三島由紀夫の顔をして、太宰治は志賀直哉に構って欲しい。 1月15日-1月22日

1月15日(月)

本屋に行って、先週買い忘れた『鉄道無常 内田百閒と宮脇俊三を読む』を購入。
ついでに、発売前から気になっていた、森田たま『石狩少女』を買う。パラッと少し拝見させてもらったら、結構良さそうだった。
あらすじから全体的に苦悩が多く辛そうだけれど、文学を愛した本読み少女の話らしいから、きっと良いに違いない。
後、表紙が素敵。

「鉄道無常」、正直単行本の表紙の方が好みで、少し残念感は

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檸檬読書日記 心情には短歌を、サンタには手紙を、クリスマスにはキャロルを。 12月18日-12月24日

檸檬読書日記 心情には短歌を、サンタには手紙を、クリスマスにはキャロルを。 12月18日-12月24日

12月18日(月)

布団から なかなか抜けぬ 洋服を なかなか脱げぬ 季節なりけり。

糸井重里『ふたつめのボールのようなことば。』を読み終わる。

『ボールのようなことば。』に引き続き、この「ふたつめ」も、とても良かった。
糸井重里さんの言葉は、苦味の中にも優しさがあって、苦味も結局は優しさという感じがする。
どの言葉も素敵で、深く、自分の中にある言葉に出来ないものが的確に文章となって表れてい

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檸檬読書日記 内田百閒を差し置いて、黒澤明に夢中です。 9月18日-9月24日

檸檬読書日記 内田百閒を差し置いて、黒澤明に夢中です。 9月18日-9月24日

9月18日(月)

またもや登場シャインパフェ。
今回は、シャインマスカットにヨーグルトにバニラアイスに牛乳寒天(蜜柑入り)。
爽やかで美味しい。

黒澤明『まあだだよ』を読み始める。

どうしよう。久しぶりに湧いている。

この作品、先々週内田百閒のことを少し書いた際、内田百閒なら『まあだだよ』という黒澤明監督の映画が良いと教えて頂いた。
けれど残念ながら、我が家にはDVDを見る機械も映画を見ら

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檸檬読書日記 宿命の王と、4次元の大泥棒。 9月11日-9月17日

檸檬読書日記 宿命の王と、4次元の大泥棒。 9月11日-9月17日

9月11日(月)

今話題らしい「ブリスボール」なるものを作ってみた。
結構簡単で、好みのドライフルーツ(自分は、プルーン、無花果、レーズンを入れた)と、好みのナッツ類(自分は、アーモンド、カシューナッツ、胡桃、かぼちゃの種を見れた)に、太白胡麻油とココアパウダー(無糖)を入れて、混ぜるだけ。

簡単!だが、何故か自分は失敗した。
原因は分かっている。欲張って、分量よりドライフルーツをたくさん入れ

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檸檬読書日記 芋粥は飽かんが、本は飽きぬ。 9月4日-9月10日

檸檬読書日記 芋粥は飽かんが、本は飽きぬ。 9月4日-9月10日

9月4日(月)

祖父の家に行った。
1人の時間があったから、せっかくだからと祖父から自転車を借りて古本屋と本屋に行った。(お小遣いもちゃっかりもらってしまった。ニマニマ。有難い)
そしたらあるわあるわ。

積読本凄いことになっているのに、思わず買ってしまった。(これでも結構我慢した)
『猫の文学館』だけは古書ではなく新刊だけど、探していた本だから嬉しい。この中の、夏目漱石「猫の墓」を読みたいがた

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檸檬読書日記 かいだんは怖く、ハツカネズミは切なく、鼻は皮肉。 8月21日-8月27日

檸檬読書日記 かいだんは怖く、ハツカネズミは切なく、鼻は皮肉。 8月21日-8月27日

8月21日(月)

かいだんが怖い。
怪談ではなく階段が。

昔から、下りより上りの階段が苦手だった。上っているとだんだんと視界が歪んでクラクラして、今自分が何処を歩いているのか分からなくなる。
おそらく下りは足元が見えるけど、上りになると足元が見えづらくなるからだと思う。だから、何処に足があるのか不安で怖い。
下りは難なく走っても下れるけど、上りはいつも慎重にヨタヨタ歩き。

この話をしたら「普

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檸檬読書日記 感覚を狂わす異質小説。 7月17日-7月23日

檸檬読書日記 感覚を狂わす異質小説。 7月17日-7月23日

7月17日(月)

たむらしげる『象の思い出』を読む。これは絵本、なのだろうか。

『水晶山脈』の時も思っていたけど、独得な世界観だった。

よくよく考えればとんでもないことになっているのに、そう感じさせない淡々とした文に、思わず素通りしてしまいそうになる。けれど読み終わってからじわじわと異質さが来る。
けれど読み進めていくと、その異質さが普通になっていく。異質なのが普通になっていく魔力があった。

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