吉村均

(公財)中村元東方研究所専任研究員。 東京大学大学院人文科学研究科修了。 『神と仏の倫…

吉村均

(公財)中村元東方研究所専任研究員。 東京大学大学院人文科学研究科修了。 『神と仏の倫理思想【改訂版】』『空海に学ぶ仏教入門』『チベット仏教入門』『日本人なら知っておきたい日本の伝統文化』他。 https://hitoshi-yoshimura.wixsite.com/home

マガジン

  • ナーガールジュナ(龍樹)と日本の高僧たち

    オンライン勉強会「ナーガールジュナ(龍樹)と日本の高僧たち」の参考として、過去に書いたものをアップしたり、新たに記事を書いています。

  • 二つの菩提心(世俗菩提心・勝義菩提心)勉強会

    オンラインでおこなっている「二つの菩提心(世俗菩提心・勝義菩提心勉強会」の関連資料です。

  • 【全文公開】以前、雑誌などに書いた文章

    以前、雑誌などに書いた原稿です。多くの方に伝われば、と願って書きました。

  • 日本文化の諸相

    実は意外と知られていない、日本の文化のさまざまなことを紹介します。

  • 伝統仏教の基礎

    簡単にですが、伝統的な仏教の基礎概念について紹介しました。 西洋や東南アジアの中国系社会、最近では中国本土でも仏教への関心が高くなってきていますが、仏教がどのように人の苦しみを和らげるかは、伝統的理解を知る必要があります。 明治以前の日本の高僧も、伝統的理解に基づいて教えを説かれているので、その教えを理解するためにも、前提となっている伝統的理解が役立ちます。 関心のある方と知識を共有できれば、と思います。

記事一覧

【全文公開】「チベットの瞑想法ロジョン(心の訓練法)」PR誌『ちくま』2018年12月号掲載

 アメリカでは、人口の一パーセントが仏教徒です。仏教に改宗しないまでも、英語で書かれた仏教書を読み、瞑想を生活に取り入れている「ナイトスタンド・ブッディスト」と…

吉村均
1日前
17

釈尊・龍樹・日本の高僧

開祖以前に遡らない?日本の仏教 以前、ある日本のお坊さまとお話しした時、「日本のお坊さんの多くは、開祖以前に意識が遡らない」ということをうかがいました。  たし…

吉村均
3週間前
35

ニチャン・リンポチェの思い出

 今年2月14日にご示寂されたチベットの高僧ニチャン・リンポチェの法要が、長崎県諫早市のお寺で営まれました(2月19日〜25日)。  亡命以前のチベットで仏教の学習・…

吉村均
3週間前
21

新講座「ナーガールジュナ(龍樹)が説く仏教の全体像」(神戸市安養寺・オンライン併用)

 以前、神戸市大倉山の安養寺を会場としておこなっていた仏教勉強会ですが、コロナ禍で、オンラインでの開催となっていました。安養寺での勉強会を再開し、そこから同時に…

吉村均
1か月前
7

竹内整一先生お別れの会

 昨年9月30日にお亡くなりになられた竹内整一先生(東京大学名誉教授)のお別れの会が、3月24日、東京・神田神保町の学士会館で行われました。  会の性格上、この言い方…

吉村均
1か月前
2

第5回こころの寺子屋研究会で「こころの考古学入門:内なる世界と仏教的視点の探求」と題して発表させていただきました

 第5回こころの寺子屋研究会で「こころの考古学入門:内なる世界と仏教的視点の探求」と題して発表させていただきました(オンライン開催。主催・一般社団法人こころの寺…

吉村均
1か月前
16

【全文公開】「弘法大師と私」(2021年)

『月刊高野山』2021年2月号掲載  大師号は亡くなられた高僧に贈られる諡号(しごう。おくり名)ですが、「お大師さま」といえば弘法大師を指すくらい、弘法大師は日本人…

吉村均
2か月前
45

2024年3月・5月・6月のホリスティックラウンジ配信講座:伝統仏教を学ぶ(連続講座)

講座のねらい  現在は、「仏教の教義」「浄土真宗の教義」などということを言いますが、宗教=教義に従うものというのは、西洋の一神教をモデルとした宗教の捉え方で、仏…

吉村均
3か月前
17

2024年2月のホリスティックラウンジ配信講座:仏教の核心:二つの真理(二諦:にたい)について

仏教の核心:二つの真理(二諦:にたい)について 2月4日(日)14時30分~16時(期間限定の見逃し配信あり)  仏教では、二つの真理(二諦=世俗諦(世俗の真理)・勝…

吉村均
3か月前
17

切り抜き動画【日本人なら知っておきたい日本の伝統文化】配信講座

東京・代々木のホリスティックラウンジ からの配信講座の切り抜き動画です。 【日本人なら知っておきたい日本の伝統文化】 菊と刀 手土産とプレゼント サンタクロースの…

吉村均
3か月前
8

感動!『正論』2月号で拙著『日本人なら知っておきたい日本の伝統文化』をご紹介いただきました(桑原聡「この本を見よ」)

 新刊の拙著『日本人なら知っておきたい日本の伝統文化』(ちくま新書)を、『正論』2024年2月号(12/25発売、産経新聞社)でご紹介いただきました! 桑原聡「この本を見…

吉村均
4か月前
8

「主体としての身体や自然、その声を聞く」『東方だより』令和3年度後期号(2022)

 新型コロナの流行で生活のあり方が大きく変わり、二年近くになります。  何十年も前、研究者となることを考えていた頃、ある授業で「西洋のデカルト的な心身二元論は、…

吉村均
4か月前
17

2024年1月のホリスティックラウンジ配信講座:聖徳太子説話を歩く

聖徳太子説話を歩く 日時:1月21日(日)14時30分~16時(期間限定の見逃し配信あり)  聖徳太子については様々なことが説かれていて、近年は「聖徳太子非実在説」がマ…

吉村均
4か月前
9

2023年12月のホリスティックラウンジ配信講座:【年末恒例】『般若心経』の解説と読誦

12月の東京代々木・ホリスティックラウンジからの配信講座は、毎年恒例の『般若心経』の解説と、一緒にお経をお唱えする会です。 【年末恒例】『般若心経』の解説と読誦 …

吉村均
5か月前
5

『日本人なら知っておきたい日本の伝統文化』(ちくま新書)の見本が届きました

 『日本人なら知っておきたい日本の伝統文化』(ちくま新書)の見本が届きました。  書店に並ぶのは、12月7日頃です。 (個人的には、この帯はとても気に入っています…

吉村均
5か月前
16

2023年を振り返って

少し早いですが、今年を振り返って。 論文「『歎異抄』を浄土信仰の流れに位置づける」  春に論文「『歎異抄』を浄土信仰の流れに位置づけるー蓮如本錯簡説を踏まえた読…

吉村均
5か月前
24
【全文公開】「チベットの瞑想法ロジョン(心の訓練法)」PR誌『ちくま』2018年12月号掲載

【全文公開】「チベットの瞑想法ロジョン(心の訓練法)」PR誌『ちくま』2018年12月号掲載

 アメリカでは、人口の一パーセントが仏教徒です。仏教に改宗しないまでも、英語で書かれた仏教書を読み、瞑想を生活に取り入れている「ナイトスタンド・ブッディスト」と呼ばれる人になると、人口の約一割に達するといいます。
 日本の禅やテーラワーダのマインドフルネス(ヴィパッサナー)瞑想と並んで、関心を持たれているのが、チベットに伝わるロジョン(心の訓練法)で、英語で沢山の本が出ています。
 日本では、長い

もっとみる
釈尊・龍樹・日本の高僧

釈尊・龍樹・日本の高僧


開祖以前に遡らない?日本の仏教 以前、ある日本のお坊さまとお話しした時、「日本のお坊さんの多くは、開祖以前に意識が遡らない」ということをうかがいました。
 たしかに、日本の宗派の多くは修行法でわかれていて、元々仏さまをまつる本堂よりも、開祖をおまつりする祖師堂や大師堂の方が、はるかに立派で大きかったりします。
 おまけに、大乗経典はお釈迦さまの教えではないという説や、宗教=教義に従うものという西

もっとみる
ニチャン・リンポチェの思い出

ニチャン・リンポチェの思い出

 今年2月14日にご示寂されたチベットの高僧ニチャン・リンポチェの法要が、長崎県諫早市のお寺で営まれました(2月19日〜25日)。
 亡命以前のチベットで仏教の学習・修行を達成された、最後の世代の方でした。
 亡命騒ぎがなければ、宗派の本山で、将来仏教を教えるお坊さまの指導をおこなわれる役割の先生でした。
 亡命後、今のようにインドやネパールの各地にチベット仏教のお寺が再建される前、インドのサン

もっとみる
新講座「ナーガールジュナ(龍樹)が説く仏教の全体像」(神戸市安養寺・オンライン併用)

新講座「ナーガールジュナ(龍樹)が説く仏教の全体像」(神戸市安養寺・オンライン併用)

 以前、神戸市大倉山の安養寺を会場としておこなっていた仏教勉強会ですが、コロナ禍で、オンラインでの開催となっていました。安養寺での勉強会を再開し、そこから同時にライブ配信(Zoomを使用)もおこないます。期間限定の見逃し配信もあります。

第1回(4月27日) 仏教の概観とナーガールジュナの主要著作の紹介
第2回(5月25日) 『宝行王正論』を読む(その1)
第3回(6月22日) 『宝行王正論』を

もっとみる
竹内整一先生お別れの会

竹内整一先生お別れの会

 昨年9月30日にお亡くなりになられた竹内整一先生(東京大学名誉教授)のお別れの会が、3月24日、東京・神田神保町の学士会館で行われました。

 会の性格上、この言い方は不適切かもしれませんが、盛会で、さまざまな年代、ジャンル、地域の方が来られていました。
 驚いたのは、竹内先生が東大に入られる前、長野高校時代の同級生の方が10人も参加されてたことで、竹内先生のお人柄を物語っていました。

 ご病

もっとみる
第5回こころの寺子屋研究会で「こころの考古学入門:内なる世界と仏教的視点の探求」と題して発表させていただきました

第5回こころの寺子屋研究会で「こころの考古学入門:内なる世界と仏教的視点の探求」と題して発表させていただきました

 第5回こころの寺子屋研究会で「こころの考古学入門:内なる世界と仏教的視点の探求」と題して発表させていただきました(オンライン開催。主催・一般社団法人こころの寺子屋協会)。

 期間限定で、アーカイブ動画を公開中です。どなたでもご視聴いただくことができます。

〈主催者による内容紹介〉
 今回は、日本思想史や仏教学、倫理学がご専門の吉村均さんに「こころの考古学」をテーマに、ご発表いただきます。
 

もっとみる
【全文公開】「弘法大師と私」(2021年)

【全文公開】「弘法大師と私」(2021年)

『月刊高野山』2021年2月号掲載

 大師号は亡くなられた高僧に贈られる諡号(しごう。おくり名)ですが、「お大師さま」といえば弘法大師を指すくらい、弘法大師は日本人に親しまれ、尊敬されてきました。近年は、「日本の空海」からさらに「世界の空海」になりつつあります。
 新型コロナの流行の前は、世界中から多くの人が高野山を訪れていました。それも単なる観光ではなく、宿坊に泊まり、朝の勤行に参加し、阿字観

もっとみる
2024年3月・5月・6月のホリスティックラウンジ配信講座:伝統仏教を学ぶ(連続講座)

2024年3月・5月・6月のホリスティックラウンジ配信講座:伝統仏教を学ぶ(連続講座)

講座のねらい
 現在は、「仏教の教義」「浄土真宗の教義」などということを言いますが、宗教=教義に従うものというのは、西洋の一神教をモデルとした宗教の捉え方で、仏教は本来、教義に従う教えではありませんでした。
 日本の各宗派は実践法も異なり、その教えを教義と捉えると、名前は同じ仏教でも、実際には別々の教義の別々の教えになってしまいます。
 古代インドでの仏教の誕生から日本における展開を辿ることで、諸

もっとみる
2024年2月のホリスティックラウンジ配信講座:仏教の核心:二つの真理(二諦:にたい)について

2024年2月のホリスティックラウンジ配信講座:仏教の核心:二つの真理(二諦:にたい)について

仏教の核心:二つの真理(二諦:にたい)について
2月4日(日)14時30分~16時(期間限定の見逃し配信あり)

 仏教では、二つの真理(二諦=世俗諦(世俗の真理)・勝義諦(究極の真理))ということを説きます。
 しかし、もし本当に二つ別々の真理があるのなら、それは真理ではないでしょう。
 『般若心経』の「色即是色、空即是色」(形が空で、空が形である)というのは、その境地のことを言っています。
 

もっとみる
切り抜き動画【日本人なら知っておきたい日本の伝統文化】配信講座

切り抜き動画【日本人なら知っておきたい日本の伝統文化】配信講座

東京・代々木のホリスティックラウンジ からの配信講座の切り抜き動画です。
【日本人なら知っておきたい日本の伝統文化】
菊と刀

手土産とプレゼント

サンタクロースのルーツ

お酒の飲み方

新刊『日本人なら知っておきたい日本の伝統文化』(ちくま新書)については、『正論』2月号(産経新聞社)でご紹介いただいています(桑原聡「この本を見よ」)。

感動!『正論』2月号で拙著『日本人なら知っておきたい日本の伝統文化』をご紹介いただきました(桑原聡「この本を見よ」)

感動!『正論』2月号で拙著『日本人なら知っておきたい日本の伝統文化』をご紹介いただきました(桑原聡「この本を見よ」)

 新刊の拙著『日本人なら知っておきたい日本の伝統文化』(ちくま新書)を、『正論』2024年2月号(12/25発売、産経新聞社)でご紹介いただきました!
桑原聡「この本を見よ」
 取り上げていただいたこと自体も感動ですが、その内容の素晴らしさ!
 本の最も重要な点について、本を読んでいない読者にも内容がよくわかり、かつ説得力を感じるような紹介の仕方をしてくださっています!
 しかも、書評を読んで満足

もっとみる
「主体としての身体や自然、その声を聞く」『東方だより』令和3年度後期号(2022)

「主体としての身体や自然、その声を聞く」『東方だより』令和3年度後期号(2022)

 新型コロナの流行で生活のあり方が大きく変わり、二年近くになります。
 何十年も前、研究者となることを考えていた頃、ある授業で「西洋のデカルト的な心身二元論は、心を主体、身体を客体と捉えていて、心と体が別々なのではなく、捉える視点がそもそも違う」ということを聞き、なるほど、と思いました。
 心が身体や自然を道具として使うことは、社会の飛躍的な発展、便利さをもたらしました。しかしその一方で、身心の不

もっとみる
2024年1月のホリスティックラウンジ配信講座:聖徳太子説話を歩く

2024年1月のホリスティックラウンジ配信講座:聖徳太子説話を歩く

聖徳太子説話を歩く
日時:1月21日(日)14時30分~16時(期間限定の見逃し配信あり)

 聖徳太子については様々なことが説かれていて、近年は「聖徳太子非実在説」がマスコミに取り上げられて、話題になりました。
 モデルになった皇子はいましたが、聖徳太子という名ではなく、弱小皇子にすぎず、『日本書紀』の聖徳太子関連記事は創作されたものだというのです。
 『日本書紀』における聖徳太子の事績、とくに

もっとみる
2023年12月のホリスティックラウンジ配信講座:【年末恒例】『般若心経』の解説と読誦

2023年12月のホリスティックラウンジ配信講座:【年末恒例】『般若心経』の解説と読誦

12月の東京代々木・ホリスティックラウンジからの配信講座は、毎年恒例の『般若心経』の解説と、一緒にお経をお唱えする会です。

【年末恒例】『般若心経』の解説と読誦 一緒にお唱えして新しい年を迎えましょう!
日時:12月10日(日)14時30分~16時(期間限定の見逃し配信あり)

 『般若心経』は、仏陀のさとりの智慧を説いた経典です。
 それをお唱えすることで、障害を取り除き、罪を滅することができ

もっとみる
『日本人なら知っておきたい日本の伝統文化』(ちくま新書)の見本が届きました

『日本人なら知っておきたい日本の伝統文化』(ちくま新書)の見本が届きました

 『日本人なら知っておきたい日本の伝統文化』(ちくま新書)の見本が届きました。
 書店に並ぶのは、12月7日頃です。

(個人的には、この帯はとても気に入っています。帯の写真は、私が葉山から撮ったもので、本の内容とも密接に関わっているのですが、本にははいっていません。帯がついているのは、発売後しばらくのあいだで、出版社に返品されて再出荷する際には取られてしまうので、もしこの表紙と帯を書店で見かけて

もっとみる
2023年を振り返って

2023年を振り返って

少し早いですが、今年を振り返って。

論文「『歎異抄』を浄土信仰の流れに位置づける」

 春に論文「『歎異抄』を浄土信仰の流れに位置づけるー蓮如本錯簡説を踏まえた読み直しー」が明治学院大学教養教育センター紀要『カルチュール』17-1に掲載されました。

 『歎異抄』は極めて有名で、日本で最も読まれている仏教書のひとつですが、私にとってはわからないところの多々ある本でした。
 有名な「悪人」も、ど

もっとみる